2008.05.14

薬害肝炎救済法後提訴の初和解

 平成20年5月14日、福岡地裁において、薬害肝炎救済法成立後の原告5名(平成20年1月31日提訴)が、国との間で和解しました(企業との裁判は継続)。
 薬害肝炎全国原告団弁護団として、新法成立後提訴について、全国で初和解ケースとなります。

 和解成立後、福岡県弁護士会館3階ホールにおいて、実名公表原告の小林邦丘さん、弁護団代表浦田秀徳弁護士らが記者会見を行いました。
 小林さんは、「先日、法律ができる前に提訴した九州原告59名は全員和解成立していました。本日は、法律ができた後に提訴した方々の初めての和解が成立したということで、非常に嬉しく思います。まだまだ被害者は埋もれています。掘り起こしが少しでも進むことを期待したいと思います」と述べました。


 和解原告
  ・ 原告番号60番 50代女性 慢性肝炎
     佐賀県  産科出血にフィブリノゲン投与(1982年)
  ・ 原告番号61番 40代女性 慢性肝炎
     佐賀県  産科出血にフィブリノゲン投与(1988年)
  ・ 原告番号62番 50代女性 慢性肝炎
     宮崎県  子宮手術にフィブリノゲン投与(1989年)
  ・ 原告番号63番 50代女性 慢性肝炎
     沖縄県  産科出血にフィブリノゲン投与(1986年)
  ・ 原告番号64番 40代女性 慢性肝炎
     福岡県  産科出血にフィブリノゲン投与(1989年)

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2008.05.09

フィブリン糊使用で新たに4病院判明

 フィブリン糊を使用した医療機関については、厚生労働省が先日4月25日に34医療機関を追加発表したばかりですが、5月9日、さらに4医療機関での使用が確認されました。
 その中には九州の2医療機関も含まれています。これらの医療機関における手術経験があるC型肝炎の患者さんは、医療機関へ問い合わせをされることをお勧めします。


 ・福岡 社会保険田川病院    ・沖縄 県立宮古病院
 ・愛知 碧南市民病院   ・大阪府 国立病院機構刀根山病院


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2008.05.02

カルテ一部不開示に損害賠償が認められた事案

 薬害肝炎訴訟において給付金が受領できるか、ポイントはカルテ(医療記録)の存在です。カルテが存在している医療機関は、少なくとも患者から問い合わせがあった場合には、誠実にカルテを調査して正確に回答する義務があるというべきです。
 薬害肝炎弁護団の問い合わせに「使用していない」と回答しておきながら、1年後に「精査したところ使用が確認できた」と再回答してきた医療機関もありましたが、やはり問題というべきでしょう。

 この点、医療機関の杜撰なカルテ管理体制が問われた判決が出ています。
 患者側がカルテ隠匿改ざんを主張した事案について、医療機関の損害賠償責任を認めた平成20年2月21日大阪地裁判決です。隠匿改ざん自体は認めませんでしたが、証拠保全手続きおよびその後の訴訟手続きの中で、一部医療記録を患者に開示しなかった以上、債務不履行責任は免れないと判示しています。
 なお、医療機関は独立行政法人(以前の国立大学病院)ですから、その問われた責任は大きいというべきでしょう。


 被告において,本件入院カルテ1ないし6及び本件手術関連記録1を隠匿して原告に開示しないのではなく,被告主張のとおり,被告において本件入院カルテ1ないし6及び本件手術関連記録1を紛失したために原告に開示できなかったとしても,被告は,本件入院カルテ1ないし6及び本件手術関連記録1を原告に開示できなかったのであるから,診療契約上のてん末報告義務違反として債務不履行責任を免れない。
 以上によれば,被告には,本件入院カルテ1ないし6及び本件手術関連記録1を原告に開示できなかった限度で,診療契約上のてん末報告義務違反として債務不履行責任を負うこととなる。


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2008.04.28

チーム医療における総責任者の説明義務

 最高裁判所第一小法廷が平成20年4月24日、チーム医療として手術が行われた場合の総責任者の説明義務違反について判断しました。
 チーム医療の総責任者が常に自ら患者に説明しなければいけないものではなく、主治医が十分な知識・経験を有していれば、主治医に説明をゆだねて構わないとの判断です。
 医者だけではなく弁護士がチームとして訴訟を行うことも増えていますが(薬害肝炎などの集団訴訟などがまさにそうです)、常に、代表や事務局長が、個別原告に対して説明を行わないといけないというのは非現実的。実際は担当弁護士が担当原告に対する説明等を行います。その意味でも常識的な判断といえるでしょう。
 もっとも、「主治医の説明が不十分でも、総責任者が必要に応じて主治医を指導・監督していた場合には責任を負わない」とした点はやや疑問です。総責任者の「指導・監督」の対象は、「主治医が行った説明が十分だったか」という結果まで及ぶべきです。でなければチーム医療治療を受けていた患者には、「何のためのチーム医療なのか」と納得できない思いがどうしても残ってしまいます。


 一般に,チーム医療として手術が行われる場合,チーム医療の総責任者は,条理上,患者やその家族に対し,手術の必要性,内容,危険性等についての説明が十分に行われるように配慮すべき義務を有するものというべきである。しかし,チーム医療の総責任者は,上記説明を常に自ら行わなければならないものではなく,手術に至るまで患者の診療に当たってきた主治医が上記説明をするのに十分な知識,経験を有している場合には,主治医に上記説明をゆだね,自らは必要に応じて主治医を指導,監督するにとどめることも許されるものと解される。そうすると,チーム医療の総責任者は,主治医の説明が十分なものであれば,自ら説明しなかったことを理由に説明義務違反の不法行為責任を負うことはないというべきである。また,主治医の上記説明が不十分なものであったとしても,当該主治医が上記説明をするのに十分な知識,経験を有し,チーム医療の総責任者が必要に応じて当該主治医を指導,監督していた場合には,同総責任者は説明義務違反の不法行為責任を負わないというべきである。このことは,チーム医療の総責任者が手術の執刀者であったとしても,変わるところはない。
 これを本件についてみると,前記事実関係によれば,上告人は自らB又はその家族に対し,本件手術の必要性,内容,危険性等についての説明をしたことはなかったが,主治医であるC医師が上記説明をしたというのであるから,C医師の説明が十分なものであれば,上告人が説明義務違反の不法行為責任を負うことはないし,C医師の説明が不十分なものであったとしても,C医師が上記説明をするのに十分な知識,経験を有し,上告人が必要に応じてC医師を指導,監督していた場合には,上告人は説明義務違反の不法行為責任を負わないというべきである。ところが,原審は,C医師の具体的な説明内容,知識,経験,C医師に対する上告人の指導,監督の内容等について審理,判断することなく,上告人が自らBの大動脈壁のぜい弱性について説明したことがなかったというだけで上告人の説明義務違反を理由とする不法行為責任を認めたものであるから,原審の判断には法令の解釈を誤った違法があり,この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。


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2008.04.26

フィブリン糊、新たに34医療機関で使用

 厚生労働省が2008年4月25日、フィブリン糊を使用していた医療機関34を追加して発表しました。
 福岡の総合せき損センターや大分の別府医療センターからは既に原告が出ています。
 下記の医療機関で心臓手術、骨折、やけどなどの手術・治療を受けた方は病院にお問い合わせください。


・福岡  西福岡病院/労働者健康福祉機構総合せき損センター
・大分  国立病院機構別府医療センター/国家公務員共済組合連新別府病院
・沖縄  沖縄医療生協沖縄協同病院
・青森  ときわ会ときわ会病院/国保百石病院(現・国保おいらせ病院)
・秋田  秋田赤十字病院
・群馬  前橋赤十字病院/慶仁会城山病院
・千葉  県千葉リハビリテーションセンター/東京歯科大千葉病院/船橋市立医療センター/明星会東条病院
・東京  慈敬会府中医王病院
・神奈川  明芳会横浜新都市脳神経外科病院
・新潟  齋藤記念病院
・長野  県身体障害者リハビリテーションセンター(現・県立総合リハビリテーションセンター)
・岐阜  下呂市立金山病院
・静岡  聖隷福祉事業団総合病院聖隷浜松病院
・愛知  聖霊会聖霊病院/三菱名古屋病院/名古屋市立守山市民病院/小牧市民病院
・京都府  京都大医学部付属病院/京都市身体障害者リハビリテーションセンター付属病院/三菱京都病院
・大阪府  日本生命済生会付属日生病院/NTT西日本大阪病院
・兵庫  沖縄徳洲会神戸徳洲会病院
・島根  玉造厚生年金病院
・広島  公立みつぎ総合病院/祥和会脳神経センター大田記念病院
・徳島  県立三好病院

 なおフィブリン糊の利用方法としては下記のものが報告されています。


・外科
 肝臓癌等の肝切除面の止血、大動脈瘤、胃癌・胃潰瘍等の手術時、肺癌・肺嚢胞の肺切除面の止血と空気漏れ防止、気胸に対する胸膜接着、腸管吻合、胆石除去(結石をフィブリン塊に包埋して取り除く方法)
・心臓血管外科
 腹部又は胸部大動脈瘤の手術時、心筋梗塞・狭心症に対するバイパス手術時、弁膜症・弁置換術、先天性心疾患の手術時、人工血管のプレクロッティング
・脳神経外科
 脳出血等の脳血管障害の手術時、脳腫瘍の手術時、硬膜接着、髄液漏れの防止
・整形外科   骨折等、骨接合、骨移植
・産婦人科、産科、婦人科   子宮癌・子宮筋腫等の手術時
・泌尿器科  腎結石等の尿路結石除去(結石をフィブリン塊に包埋して取り除く方法)
・内科  気胸に対する胸膜接着
・腹部外科  心臓バイパス術、弁置換術
・救急部  食道静脈瘤、気胸に対する胸膜接着
・呼吸器(内)科  気胸に対する胸膜接着、肺癌・肺嚢胞の肺切除面の止血と空気漏れ防止
・呼吸器外科  気胸に対する胸膜接着、気管瘻
・消化器科、胃腸科  肝生検、胃癌・胃潰瘍等の手術時
・口腔外科  口腔腫瘍の手術時、口腔形成術
・消化器外科  肝臓癌等の肝切除面の止血

 その他にも小児外科、麻酔科、耳鼻咽喉科、循環器(内)科、皮膚科、形成外科、眼科、歯科、小児科での使用例が報告されています。

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2008.04.24

薬害肝炎、183名が全国一斉提訴

080228nyutei1 薬害肝炎全国原告団弁護団は4月24日(木)午後、全国一斉提訴を行いました。九州訴訟も過去最大の42名の被害者が、福岡地方裁判所に提訴。これで薬害肝炎九州原告団も150名になりました(うち薬害肝炎救済法が成立する前に提訴していた59名は既に和解成立済みです)。全国的にも過去最大の183名の提訴になり(大阪地裁48名、東京地裁60名、名古屋地裁19名、仙台地裁14名)、その結果、薬害肝炎全国原告団は617名になりました。

 他の特徴としては、鹿児島から初の提訴者が出たことです。今回の提訴は九州沖縄山口9県すべてから被害者が出たことになります(福岡県15名、熊本県5名、佐賀県3名、大分県4名、長崎県6名、宮崎県3名、鹿児島1名、沖縄県1名、山口県4名)。

 このように薬害肝炎被害者が次々と被害回復を求めて提訴する一方で、問題も山積みです。
 厚生労働省のホームページ「フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について」によって、投与が判明している患者のうち、5969名(60%)に対する告知がされていない事実が判明しました。少なくとも、連絡先不明者についてはさらなる調査が必要というべきでしょう。実際、医療機関によっては、連絡先不明者について住民票調査などにより告知の努力を行っているところもあります。
 薬害肝炎訴訟は医療機関の法的責任を追及したものではありません。しかし司法が動き、行政が動き、そして国会が動き、患者会が動いているにもかかわらず、血液製剤を投与した当事者である医療機関が、その保存するカルテで投与が確認できる患者に告知しないのでは、到底社会的責任を果たしているとはいえないでしょう。

 薬害肝炎九州弁護団は、福岡、長崎、鹿児島でそれぞれ記者会見を実施しました。長崎の会見には原告の福田衣里子さんも参加し、地元紙に写真付きで大きく報道されました。
   長崎会見
   鹿児島会見

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2008.04.12

B型肝炎訴訟、福岡地裁に提訴へ

 B型肝炎訴訟全国弁護団が平成20年4月12日、東京で全国会議を開きました。新たに福岡地裁、札幌地裁に5月30日提訴する方針が決まりました。今後、全国全国計11地裁で順次提訴する方針のようです。
 B型肝炎訴訟は平成18年6月に最高裁が予防接種と感染との因果関係を認定して国の責任を認めるまで17年間かかりました。
 薬害C型肝炎訴訟で歴代の厚生労働大臣は、面談を求める原告団に対して「裁判で係争中であるから会えない」と面談を拒否してきました。ところが、最高裁が明確に責任を認めたB型肝炎訴訟では、「裁判が終了して損害賠償責任を果たした以上、会う必要はない」と面談を拒否し、B型肝炎患者の治療体制整備について、原告団と協議することを拒否してます。

 また、薬害C型肝炎訴訟において厚生労働省は、大阪高裁が和解協議において線引きの和解案を提示したことを受けて(なお、この線引きの和解案自体、厚生労働省と法務省が大阪高裁に対して、「国はこの線引きの和解案でしか応じられない」と強く求めたものです)、「行政は司法を越えることはできない。司法判断は尊重するほかない」と強弁しました。
 そうであれば、B型肝炎訴訟は最高裁が明確に責任を認めている以上、もはや厚生労働省は争う余地はないはずです。
 厚生労働省はただちに原告救済に乗り出すとともに、B型肝炎原告団との間において、治療体制整備について協議を開始すべきです。

 B型肝炎訴訟全国弁護団のHP

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2008.04.11

全国自治体のインターフェロン治療費助成の告知状況

 先日4月1日から開始したインターフェロン治療助成の内容を報告しました(「肝炎、インターフェロン助成が開始」)。
 神奈川県肝臓病患者会協議会・あすなろ会の会報を作成している方から以下のようなメールを頂きました。
 「肝炎インターフェロン治療費助成のブログを拝見いたしました。とても分かりやすく問題点を論述されておりますので大変勉強になりました。この記事を私たちの会の500人の会員へ送る会報にぜひ載せて本件の理解を深めていただこうと思い、この記事の転載を許可いただきたくメールいたしました。宜しくお願いいたします。」

 弁護団で実施している110番でも「治療費助成」に関する相談が少なからず寄せられています。なかなか正確な情報が全国の患者さんに流れていないようです。
 そこで47都道府県がインターフェロン治療費助成についてHPでどのような告知をしているか調査してみました(4月10日現在)。書式をダウンロードできるようにしたり、Q&A形式にしたり、国の助成より進んだ助成を維持したりと意気込みの感じられる県も数多くあります。
 一方、何も告知していない県も少なからずありました。自治体が半額を負担するため、余り人数が出てもらっては困ると考えているのでしょうか。県民への告知について意を尽くして頂きたいと思います。


 インターフェロン治療費助成についてHPで告知し、かつ、書式ダウンロードも可能な県
北海道 従来の制度でウイルス性肝炎についても医療費助成事業を行い、肝硬変や肝がんの治療でも助成が行われている。
秋田県 申請書・診断書ダウンロード可、受付保健所明記。
宮城県 申請書・診断書など多数の文書のダウンロード可。
千葉県 書類のダウンロードにくわえ、丁寧で分かりやすい説明あり。
埼玉県 説明がQ&Aでまとめられており分かりやすく、見やすい。
東京都 昨年10月から国に先行して治療費助成を実施。なお、非課税世帯は今回の助成制度では負担1万円だが、東京都は負担額0円を維持しており評価できる。国はこの東京都の姿勢を見習うべき。
神奈川県 申請書・診断書のほか課税状況調査票の記入例などあり。
山梨県 もう少し丁寧な説明も欲しいところ。
群馬県   ・静岡県   ・石川県   ・福井県
和歌山県 トップページの重点トピックス欄にも記載あり。
奈良県 トップページのトピックス欄にも記載あり。
大阪府 助成対象となる副作用の範囲など、細かい点までQ&Aがあり丁寧。
愛媛県   ・島根県   ・広島県
岡山県 トップページの注目情報に記載あり。
福岡県 申請書・診断書にくわえ世帯調書等もダウンロード可。
佐賀県 月額管理表、治療計画書等もダウンロード可。
長崎県 コンパクトに整理されているほか、医療機関・薬局へのコメントもあり。
大分県

 インターフェロン治療費助成についてHPで告知
福島県 ただ新着情報にはあがっていないので見つけにくい。
栃木県 4月3日に肝炎無料検査実施をアップしているが助成は作成中。
茨城県 1枚ののPDFのみ。
富山県   ・愛知県   ・三重県
兵庫県 Q&Aでわかりやすく説明するも、書式ダウンロードできず。
鳥取県   ・山口県   ・熊本県

 HPで告知されてていないが、何らかの告知を行っている県
岩手県 HPには記載がないが、3月28日のメールマガジンで言及。
岐阜県 県政記者クラブ配布資料で数行触れているのみ。

 インターフェロン治療費助成についてHPで言及のない県
青森県  ・山形県  ・新潟県  ・滋賀県  ・京都府
香川県  ・徳島県  ・高知県  ・宮崎県  ・沖縄県
鹿児島県 薬害肝炎救済法の詳しい説明はあるものの、助成については言及なし。

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2008.04.08

裁判員の辞退理由

 裁判員制度が来年平成21年5月21日から開始することが決定しました。同日以降に起訴された重大事件が対象になります。来年7月以降には皆さんにも呼び出し状が届く可能性があります。

 個人的には裁判員制度は日本の司法を大きく変えるきっかけになると期待しています。「弁護士はなんて弁論が下手なんだ」、「検察官はなんて一本調子なんだ」、「裁判官はなんて杓子定規なんだ」「結局、裁判なんて常識で、法律家でなくても大丈夫なんだ」・・・裁判員に参加した方には司法の敷居が一気に低くなると思います。そして裁判員参加者からの司法に対する不満や要求が、司法全体をさらに健全化していくことでしょう。

 そうはいっても色々な意味で負担になる方々もおられます。そこで裁判員法が辞退事由を定めるだけではなく、平成20年1月17日には裁判員を辞退できる理由について定めた政令が公布されたほか、最高裁も平成20年4月8日までに裁判員辞退の考慮要素についてまとめました。


 法律で定められた辞退事由(裁判員法16条)

・年齢が70歳以上である(1項)
・地方公共団体の議員であり会期中である(2項)
・学生である(3項)
・次に掲げる事由があり、選任期日に出頭することが困難(8項)
 イ 重い疾病又は傷害
 ロ 重い病気の配偶者や親族等の入通院に自ら付き添う必要がある
 ハ 重要な仕事であり自ら処理しなければ著しい損害が生じる恐れ
 ニ 父母の葬式出席等社会生活上の重要な要件であり他の日に行えない
 


 政令で定められた辞退事由(平成20年1月17日付け政令第3号)

・妊娠中や出産8週間以内である
・別居の親族や同居人を自ら継続的に介護や養育する必要がある
・妻や娘の出産に伴う入退院の付添いや出産立会いの必要がある
・遠隔地に転居しており裁判所に出頭するのが難しい
・自分や第三者に身体上精神上または経済上の重大な不利益が生じる
 

 さらに、最高裁がまとめた辞退の考慮要素によれば、以下の事情は裁判員を辞退する際に考慮されそうです(必ず辞退が認められるものではなく、個々の裁判官の判断に委ねられる点はご注意ください)。
 ポイントは、A代替性(他の人に代わりができるか)、B悪影響(不在による悪影響があるか)という点です。


 裁判員辞退の際に考慮されそうな事情

・夫と二人で理容店を営業する50代の女性でアルバイトでは難しい
・小物屋を一人で営む60代の店主だが不況でアルバイトも雇えない
・緊急手術を行う必要がある熟練の外科部長
・重要な学会発表を予定する内科医であり裁判日と発表が重なる
・受験シーズンを控えた中学高校の担任の先生
・卒業式などの行事が裁判日に重なる先生
・会社の決算期を控えた経理責任者
・就職活動中で現に就職説明会や面接と裁判が重なる
・家族で営む旅館の女将で年末年始の繁忙期に当たる
・Jリーグの試合出場が予定されるレギュラーのプロサッカー選手
・建築中の建築物の現場監督責任者である
・妻と二人で行う農家であり田植えの繁忙期に当たる

 なお、裁判官が裁判員法に定める辞退事由を認めなかった場合でも、検察官や弁護人が、理由を示さずに裁判員を不選任にすることができます(裁判員法36条・理由を示さない不選任の請求)。ですから裁判員候補者が、「どうしても裁判員になれない」という事情や「なりたくない」という気持ちを検察官や弁護人に伝えることができれば(?)、辞退事由がない場合でも、裁判員から除外される可能性はあります。
 実際裁判員模擬裁判でも、「傍聴者が指摘した、常識的な感覚で辞退を認めても良いのではないかと考えられる『気の毒な』裁判員候補者は、検察官及び弁護人の権利行使によって、事実上、裁判員に選任されずに済んだ」(季刊刑事弁護42号・25頁など)というケースが報告されています。
 裁判員制度は、「国民に強いる」制度ではなく、「国民に参加して頂く」制度と捉えるべきであって、個々の辞退申出については柔軟に解釈すべきですし、裁判官が頑な場合には、弁護人・検察官が不選任請求を積極的に利用していくことが求められます。「強いられた裁判員」は、結局のところ、裁かれる被告人にとっても不利益になるでしょう。

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2008.04.07

婦人公論、まだ終わらない薬害C型肝炎訴訟

080407koron 婦人公論最新号(2008年4月22日号)に、山口美智子さんのインタビュー記事が掲載されています。訴訟当初にも取材してくれたライターの岩村明美さんの記事です。
 薬害肝炎全国原告団の闘いと解決まで、そして薬害肝炎訴訟の今が分かりやすくまとめられています。


 参議院本会議の電光掲示板に「反対0」という数字が出た瞬間は、やっとここまで来たと本当にうれしかったですね。5年間にわたって、私たち原告が求め続けてきたことが、やっと実現した、と。感無量でした・・・私たちはまだ、真の全面解決を目指して進んでいる途中。これまでずっと、先の見えない道を走ってきて、まだ走り続けているという感じです。(同誌より)

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