2016.08.24

肝炎研究10カ年戦略の中間見直し、C型慢性肝炎のSVR率95~100%など数値目標を設定へ

 肝炎治療戦略会議(座長:林紀夫関西労災病院院長)が8月22日、開催され、肝炎研究10カ年戦略の中間見直しについて議論されました。

 肝炎研究10カ年戦略とは、平成24年度からの10年間の戦略目標の達成を目指し、重点課題について集中的に研究を進めていくもの。

141129kousei

 今回の議論は、現在の進捗状況を評価して、戦略の見直しを行うものです。
 中間見直しを経て、平成33年度には目標の達成状況を評価して必要な措置を講ずることになっています。

 22日の戦略会議では、肝疾患の治療成績の数値目標を上げる中間見直し案が示され、方向性について了承されました。
 今後、厚労省は9月から10月にかけて中間見直しに関するパブリックコメントの募集を行うことになります。

 具体的な戦略の目標のうち、C型肝炎に関する数値は下記の通りです。

C型慢性肝炎、代償性肝硬変におけるSVR率を現状の約90%以上から約95~100%まで改善

非代償性肝硬変(Child-Pugh C)における50%生存期間を現状の約18ヶ月から約24ヶ月まで改善

肝硬変からの肝発がん率をC型肝硬変では現状の年率約5~8%から3~5%まで改善

 またB型肝炎に関する数値目標は下記の通りです。

抗ウイルス療法による5年後のB型肝炎のHBs抗原陰性化率を、現状の約6%から約8%まで改善

肝硬変からの肝発がん率を、B型肝硬変では現状の年率約3%から約2%まで改善

 以上の数値目標を達成するために、C型肝炎の臨床研究としては、「薬剤耐性ウイルスに効果のある治療法を開発する」、B型肝炎の臨床研究としては、「新規治療薬を開発し、臨床試験に導入する」とされています。

 福岡 古賀克重法律事務所 弁護士 古賀克重

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.08.23

前医療機関からの食種情報の確認不足による医療事故が3例、医療安全情報117号

 公益財団法人日本医療機能評価機構が、「医療安全情報」117号・2016年8月号を公表しました。

 今回は、他施設からの食種の情報を確認しなかったため、患者に適さない食事を提供した事例が3例報告されています。

160823anzeni

 第26回報告書の「個別のテーマの検討状況」で取り上げた内容になります。

 1つ目の事例は、医師が入院時の食事を指示する際、診療情報提供書に記載された食種を確認しないまま、「常食」と入力してしまったケースです。看護師も患者の咀嚼・嚥下状態を観察しませんでした。
 そのため15分後、患者がむせて、SpO2は80%に低下。その後、米飯を大量に吸引してSpO297%に改善しましたが、その後、看護師が転入前の食種を確認すると、前医では「全粥・粗刻み食」を提供していたことが分かったというものです。

 2つ目の事例は、医師が入院時の食事を指示する際、前施設からの食種に関する情報がなかったため、とりあえず「常食」をオーダ。看護師が夕食のセッティングをして、食事の摂取を3口ほど見守り退室しました。その後、食事摂取状況の確認のため訪室すると、患者がベッド上でぐったりしており、呼名に反応せず、口腔内にはミカンや米飯などが多量にあったというものです。
 実は、入院時に患者が持参した看護サマリには「全粥・軟菜・刻み食」と記載されていたにもかかわらず、看護師が確認していなかったものでした。

 いずれも医師ないし看護師が慎重に対応し、他施設からの診療情報提供書や看護サマリーの確認を徹底していれば避けられた事案です。

 2つの事例は幸いに患者の体調は回復したようですが、死亡等の重大な結果になっていれば、注意義務違反のそしりは免れなかったでしょう。
 高齢者や入院患者の誤嚥による医療事故は、医療機関の責任が認められることも少なくありませんから、基本に戻り徹底した確認が求められています。

 福岡 古賀克重法律事務所 弁護士 古賀克重

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.08.10

医療機関のHPを規制へ、美容医療トラブルをうけ厚生労働省が方針

 厚生労働省が美容医療に限らず全ての医療機関のホームページにおける虚偽、誇大な表現を規制する新たなガイドラインを作成する方針を決めました。
 
 ガイドラインでは、虚偽や誇大な表現、不適切な表示の掲載を禁止する予定です。医療法を改正し、違反した場合には罰則を設けることも視野に入っています。

 今回の方針は「美容医療」を巡るトラブルが相次いでいることが背景にあります。

160322kouro

 国民生活センターのPIO-NETに寄せられた美容医療サービスに関する相談は、2011年の1559件から2013年には2156件、2014年には2622件に達しています。
 そのうち広告に問題のありそうな相談は、2013年1195件、2014年1479件になっています。

 そもそも「HPは利用者が自ら検索して閲覧するため、医療法上の広告ではない」という理屈でこれまで規制してこなかったこと自体が問題でしょう。

 非常に法律相談も多い分野ですが、費用対効果から弁護士に依頼できずに泣き寝入りする相談者も少なくありません。
 また弁護士に依頼しても、なかなかカルテ開示に応じないことも経験しましたし、複数のカルテが発覚するなど偽造が疑われるケースもありました。
 さらに訴訟に至っても、細かな点から争い、なかなか早期には解決に結びつかないこともあります。

 被害に合わないように医療ホームページの規制が不可欠と思っていましたので妥当で方針でしょう。
 一方美容医療の利用者も飛びつかないように慎重に意思決定していくことが逆に求められることになります。

 美容医療サービスに関する相談(国民生活センター)

 包茎手術について説明を受けたが、十分に考える時間を与えられず承諾させられてしまい、手術を受けた。不要な施術があったので一部返金を望む。

 クレジット会社から督促通知が来て、20代の学生の娘が美容クリニックで130万円もの高額な顔のたるみ手術を受けたことが分かった。学生に契約させるなど、納得いかない。

 インターネットの広告をきっかけに、美容クリニックの植毛の無料カウンセリングに行った。アドバイザーの女性から、「今日、今週末のキャンセルが出た。今契約すれば料金が安くなる」と4時間以上も勧誘され契約した。契約書面にはキャンセル料が10万円かかると書いてあるのに、アドバイザーは「格安なのでキャンセルできない」と言う。解約したい。

 美容外科で、「約300万円が半額になる」と値引きを強調して勧誘され、リフトアップやしみ取りの契約をした。しかし、高額なので未施術分を解約したい。

 エステ店から紹介された美容外科で、全身脱毛の契約を50万円でした。一切解約しないと記載がある同意書にサインをしたが、高額で支払うことが難しく、施術前なので解約したい。

 福岡 古賀克重法律事務所 弁護士 古賀克重

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.08.01

群馬大学病院が患者18名死亡について調査報告書、「患者中心の医療から乖離」と指摘

 群馬大学附属病院で腹腔鏡手術などを受けた患者18名が死亡した問題で、第三者委員会が調査報告書をまとめました。

 実は当初死亡8例について前調査委員会が調査し、2015年3月に公表していました。
 ところが、その後、第三者のみで構成された再調査が必要ということで改めて2015年7月に医療事故調査委員会が設置されていたものになります。

160801gunmai

 2009年度に第1、第2外科で術後早期に死亡したのは男性医師の開腹手術の患者8人だけでした。2009年10月、上司の診療科長が男性医師に対して、高難度の肝切除術を控えるよう助言します。

 ところが男性医師は同年12月に手術を再開した結果、3例の死亡事例が発生。
 上司が男性医師に対して、2010年3月に再び手術を休むよう要請したものの、やはり改善策がとられないまま男性医師は手術を再開していました。

 この点、報告書は「適切に対応していれば死亡事例は防ぐことが出来た可能性がある」と指摘しています。

 その他にも、男性医師の医療記録は、「記載が極めて乏しく、患者がどのような状態なのかを読み取ることができず、不適切なものであった」。この点についても教授が何度か注意をしたということですが、改善見られないまま放置されていました。

 男性医師の医師としての技量・倫理はもちろんですが、改善を放置して見過ごした教授の対応、病院としてのガバナンスに著しい問題があったことが浮かび上がる調査報告書になっています。

 「何があったのか知りたい」。群馬大病院の患者死亡問題で、父親(当時61)を亡くしたさいたま市の40代女性は訴え続けてきた。

 父親の肝臓にがんが見つかり、開腹手術を受けたのは2009年4月。執刀した同病院の男性医師から「腫瘍はとれた」と言われ、成功したと思っていた。
 しかし容体は次第に悪化。女性と母親は「他の医師にも診てもらえないか」と尋ねたが、男性医師は「できない」と言うのみだった。
 父親は手術の約2カ月後に亡くなった。敗血症という死因以外、男性医師から具体的な説明はなかった。「すぐに手術は必要だったのか」。女性は数カ月後、疑問点を記した手紙を送ったが、返信はなかった。

 事態が動いたのは14年末。男性医師による腹腔(ふくくう)鏡や開腹の手術を受けた18人が術後に死亡していたことが発覚し、病院の担当者からの連絡で父親も調査対象に含まれていることを知った。死亡から5年以上。「やっぱりかと……」

 家庭菜園が趣味で、アウトドアが大好きだった父親。入院中も「またキャンプに行きたいね」と話していた。今年6月、同じ思いを共有する遺族が会を結成し、女性も加わった。「父は病院を信頼していた。組織を立て直してもらいたい」(7月30日付け日経新聞)

 福岡 古賀克重法律事務所 弁護士 古賀克重

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.07.27

子宮頸がんワクチン被害者13名が福岡地裁に提訴、九州原告団を結成

 ◆ 福岡地裁提訴の概要 
 子宮頸がんワクチンによる被害者63名が7月27日、東京、大阪、名古屋、福岡の各地方裁判所に集団訴訟を提起しました。

 原告数63名の内訳は、東京地裁28名、大阪地裁16名、名古屋地裁6名、福岡地裁13名です。
 慰謝料として一人当たり1500万円の請求です。

 福岡地裁に提訴した原告13名は、福岡県5名、山口県1名、熊本県2名、長崎県2名、沖縄県3名。
 年齢は10代10名、20代3名(16歳から22歳)。1回目のワクチン接種時の年齢は全員10代です(12歳から17歳)。

 ワクチンとしてはガーダシル2名、サーバリックス11名になっています。

160728sikyuk

 ◆ 入廷行動
 福岡では14時に集合して、15時から原告団弁護団による入廷行動を行いました。
 原告13名のうち3家族が実際に入廷行動に参加し、6家族はその様子を見守ります。

 福岡の午後の気温は30度を超える猛暑となり、原告の皆さんの体調も心配でしたが、梅本美有さんを先頭にゆっくりと、しかし力強く歩を進めました。

 ◆ 記者会見
 無事提訴を終えた後、裁判所近くの会場に移動して記者会見を行いました。
 記者会見には梅本さん親子と福岡県在住の被害者のお母さんの3名が臨みました。
 多数のテレビカメラを前にして3人ともかなり緊張されていましたが、きっちりと自分の言葉で被害を伝えておられました。

 まず「裁判に踏み切った思いを教えて下さい」という質問に対して、美有さんは、「今まで解決を求めてきましたが、このままでは十分な救済のメドが立たないと思って裁判が必要だと感じました」、「被害者である自分が動かないと解決しないという思いから裁判に参加したのです」と力強く思いを述べました。

 また梅本さんのお母さんも、「子宮頸がんワクチンの副作用ではないかと病院に訴えると、病院の態度が急変してとても冷たくなったので、その病院に行くのは辞めた」、「娘にこの苦しみをいつまで強いれば良いのでしょうか」「治療法を確立して頂きたい」と訴えました。

 さらに匿名原告のお母さんは、次のように訴訟に参加した思いを切実に語りました。

 「娘は中2まで元気でプログラマーになるのが夢でした。ところがワクチン接種後、自宅近くの中学にさえ登校できなくなりました。何とか中学卒業して高校に進学しましたが2年生で退学せざるを得ませんでした」、「娘は痛みに加えて短期記憶にも支障が出ています。何ら治療法が確立されていません。国・製薬企業の責任を明確化することが、元気な娘を取り戻す一番の方法だと考えて原告に参加しました」

160728sikyuk2

 ◆ 九州原告団の立ち上げ
 1時間近い記者会見が終了した後、非公開で、原告弁護団のみの会議を開催しました。
 この会議で九州原告団の規約を定めた上、正式にHPVワクチン薬害訴訟九州原告団が立ち上がりました。

 その後、参加した家族全員が一言ずつ今日の感想を述べていきます。

 「同年代の被害者と出会えて良かった」
 「未成年なので出来ることが限られているけど、皆さんと力を合わせてやっていきたい」
 「被害者が集まり裁判をすると知ってほっとしました」
 「参加するつもりはなかったけど、今日の提訴行動に参加できて本当に良かったです」
 「今日の行動に参加し、たくさんの仲間・弁護士さんに支えられているとわかり、勇気をもらいました」

 原告の皆さんの思い・被害・これまでの家族の苦しみを聞き、弁護団としても最終解決への思いを新たにした1日になりました。
 既に追加提訴に参加希望の方も多数おられますので、準備が整い次第、追加提訴していく予定です。

 HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)薬害訴訟提訴にあたっての声明

 本日、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の接種によって深刻な副反応被害を受けた63名の被害者が、国及び製薬会社(グラクソ・スミスクライン株式会社、MSD株式会社)に対して、損害賠償請求訴訟を東京、名古屋、大阪及び福岡の各地裁に提訴しました。
 この裁判の目的は、被告らの法的責任を明らかにすることによって、一日も早く被害者の健康を回復させ、将来にわたって安心して暮らせるようにすることであり、その真相を明らかにして、二度とこのような薬害が起こらないようにすることです。

 HPVワクチンは、子宮頸がんそのものを予防する効果は証明されていません。一方で、その接種による重篤な副反応(免疫系の異常による神経障害等)が多数報告されています。
 そもそも子宮頸がんは、原因ウイルスであるHPVに感染しても発症に至る確率は極めて低く、また、子宮頸がん検診によって、がんになる前の病変を発見し、負担の少ない治療で予防できる疾病です。にもかかわらず、有効性にも安全性にも問題のあるHPVワクチンの製造販売が承認されました。製薬会社は、接種推進を謳う専門家団体に巨額の寄付金を提供するなどして大々的なマーケティング活動を行い、承認から異例の短期間で公費助成、定期接種が実現しました。そして、公権力による接種勧奨によって300万人を超える中学生・高校生の女子に接種されたのです。

 副反応による被害はとても深刻です。多様な症状があり、それらが併発、重層化するため、身体的に多大な負担をもたらします。また、これらの症状は改善と悪化を繰り返す特徴があり、今後も発症の可能性があります。加えて、病院や学校などにおいて詐病であると言われるなど、無理解な対応によって苦しんでいる被害者も多数います。治療法も確立されておらず、将来に対する不安は計り知れません。多くの被害者の未来が奪われようとしています。

 私たちは、この裁判を通じて、被害者が接種前の健康を取り戻し、その未来が再び開かれるように裁判所そして社会に訴えかけます。そして、被告らに対し、その法的責任に基づく必要かつ十分な救済策を実施することを要求します。
 私たちの裁判に対する皆様の温かいご支援をお願い致します。

 福岡 古賀克重法律事務所 弁護士 古賀克重

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.07.26

子宮頸がんワクチン被害、明日全国で集団提訴へ

 子宮頸がんワクチンによる被害者が明日7月27日、東京、大阪、名古屋、福岡の各地裁に集団訴訟を提起します。

 原告数は63名(東京地裁28名、大阪地裁16名、名古屋地裁6名、福岡地裁13名)。慰謝料として一人当たり1500万円を請求します。

 福岡でも事前に会見して被害を訴えました。

160726sinbun

 7月27日は15時から福岡地裁の正門前で提訴のための入廷行動を行った上、15時30分から記者会見を予定しています。
 記者会見には被害者の2家族が記者会見に臨みます。

 福岡県大川市の女性(18)はワクチン接種から数ヶ月後の中学3年の夏、激しい頭痛に襲われるようになった。症状は全身の痛みや倦怠感にも広がり、高校は2年で退学。今は自宅で療養生活を送る。痛みで失神したり、体が思うように動かずに転倒してあばら骨にひびが入ったりしたこともあったといい、「プログラマーの夢は諦めるしかない。普通に生活できる体に戻してほしい」と話す。

 北九州市の梅本美有さん(18)も接種後に生活が一変した。高校1年で接種を受けた3日後から足が激しく痛むなどの不調が起こり、症状は深刻化。3年の時にやむなく単位制高校に転校した。保育士を目指して大学進学を考えていたが、「このままでは一人でも生活できない」という。

 医療機関での検査では異常はないが、もともとは年に一度、風邪をひくかどうかの丈夫な体で、ワクチン接種以外に心当たりはないといい「国と企業は許せない」と訴える。

 九州弁護団の前田牧事務局長は「訴訟を通し、多くの人に当事者の苦境を知って欲しい」と話している(7月26日付け西日本新聞)

 福岡 古賀克重法律事務所 弁護士 古賀克重

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.07.21

子宮頸がんワクチン被害者が佐賀県へ被害救済の申入書を提出

 7月27日に全国で集団訴訟を提起することになった子宮頸がんワクチン問題。

 全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会福岡県支部長の梅本邦子さんらが佐賀県庁を訪問し、被害救済の申し入れを行いました。

 梅本さんの長女の美有さんは子宮頸がんワクチン接種による副作用で学校を止めざるをえないなど深刻な被害に合い、今も苦しんでいます。
 福岡地裁への訴訟にも参加を決めています。

160721sagasinbun              (写真は7月19日佐賀新聞より)

 佐賀県に対する申入書では、被害者の思いを聞く場を設けること、就労や進学の支援など8項目を要望しています。
 佐賀県では2016年3月までに1万8530人が子宮頸がんワクチンを接種しました。少なくとも4人に副作用が出て、うち1人は回復していないことが判明してます。

 この日は、被害者連絡会の梅本邦子福岡県支部長らが、県庁で山口祥義知事と古谷宏教育長宛の申し入れ書を担当部局に手渡し、文書での回答を求めた。要望では、独自に被害者へのヒアリングをし実態調査などを求めている。

 18歳の娘が副作用で苦しんでいるという梅本さんは「頭痛や吐き気など体に変調をきたした状態で生活している。ワクチンを打って数カ月や数年たって体調不良になることも多い。被害の実態を少しでも知ってもらえれば」と語った。(7月19日付け佐賀新聞)

 福岡 古賀克重法律事務所 弁護士 古賀克重

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.07.20

2016年のがん統計予測が公表、がん罹患数は101万人・死亡数は37万4000人に

 日本のがん統計については、罹患データは4~5年、死亡データは1~2年遅れて公表されています。
 一方海外では、これらの遅れを数学的な手法で補正して、現時点でのがん統計を予測する試み(短期予測)が実施されています。

 そこで日本のデータに基づいてこの短期予測を行う試みがなされ、2016年のがん罹患数予測および死亡数予測が公表されました。

160720ganyosou

 それによると、2016年のがん罹患数予測は101万0200例(男性57万6100例、女性43万4100例)になっています。2015年よりも2万8000例増加したことになります。

 部位別には、大腸、胃、肺、前立腺、乳房(女性)の順になっています。
 2015年と比較すると、胃が第3位から第2位に、肺が第2位から第3位になりました。

 2016年のがん死亡数予測は3万4000人(男性22万0300人、女性15万3700人)になっています。2015年よりも3000人増加したことになります。

 部位別には、肺、大腸、胃、膵臓、肝臓の順になっています。

 「医療過誤ではないか?」という法律相談でも、3件に1件は癌に関する内容になっています。

 部位別では肺がん、胃がん、肝臓がんの相談が比較的多く、内容としては「見落としによる治療遅れではないか」「治療内容の妥当性」が多くなっている印象です。

 福岡 古賀克重法律事務所 弁護士 古賀克重

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.07.19

与薬時の患者取り違えが6例、医療安全情報116号

 公益財団法人日本医療機能評価機構が、「医療安全情報」116号・2016年7月号を公表しました。
 今回は与薬時、患者氏名の確認が不十分であったため、患者を取り違えた事例が6例報告されています。

 第42回報告書の「個別のテーマの検討状況」でも取り上げられた内容になります。

160719medsafe

 1つ目の事例は、患者Bの氏名が記載してある薬を持った看護師が、患者Aを患者Bと思い込みました。
 そして患者Bの薬を見せながら「Bさんですね」とフルネームで声をかけました。患者Aが「はい」と返答したため、患者Bのフロセミド錠40mg1錠を内服させてしまったというものです。
 看護師はその直後、患者Aのネームバンドに記載した名前を見て、間違いに気づいたというものです。

 2つ目の事例は、看護師が、患者Bに睡眠薬を投与する際、患者Aを患者Bと思い込み、同性で同年代の患者Aの病室に行きました。
 看護師は、薬包の患者氏名とネームバンドの照合を行わず、患者Bの薬を患者Aの胃管より投与しました。
 その後、患者Aが舌根沈下を起こした際、看護師が患者Aのゴミ箱を見ると患者Bの氏名が記載された空の薬包があり、間違いに気付いたものです。

 医療機関の再発防止の取り組みとして、与薬時、薬包などの氏名とネームバンドを照合する、そして口頭で患者を確認する際も、患者に氏名を名乗ってもらうことが指摘されています。

 医療過誤訴訟でも与薬時だけでなく、手術時の患者取り違えによる深刻な事故が見受けられます。基本中の基本ですが徹底が必要な注意事項となります。

 福岡 古賀克重法律事務所 弁護士 古賀克重

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.07.12

子宮頸がんワクチン被害者64人が集団訴訟へ、福岡地裁にも14人

 子宮頸がんワクチンによる被害者が東京、大阪、名古屋、福岡の各地裁に集団訴訟を提起することになりました。

 大阪・東京で弁護団が会見して情報を公開しました。

 提訴日は7月27日、原告数は64名(東京地裁28名、大阪地裁16名、名古屋地裁6名、福岡地裁14名)。
 慰謝料として一人当たり1500万円を請求します。

160713sikyukei

 薬害C型肝炎訴訟の集団訴訟提起時は16名(東京地裁13名、大阪地裁3名)でしたし、ハンセン病違憲国賠訴訟も13名からのスタートでした。

 それに比較すると子宮頸がんワクチン問題は、非常に多くの原告が1次原告に加わったと言えます。

 「64名」という人数は、被害者連絡会によるこれまでの地道な活動の成果と言えますし、解決に向けた被害者の思いの強さがうかがえます。

 なお今後訴訟を継続しながら、随時、追加提訴を行っていくことになります。

 これに対して、厚生労働省は、「現段階では詳細を把握していないのでコメントできない。症状を訴える人たちに対しては引き続き寄り添った支援をしていきたい」とコメントしました。

 また子宮頸がんワクチンを製造販売する製薬企業のグラクソ・スミスクラインは「訴状の内容が分からない段階でコメントは差し控えたい」、MSDは「提訴が行われた場合、法廷で証拠を提出する」とそれぞれコメントしています(7月13日付けNHK)。

 東京訴訟の原告28人の平均年齢は18歳。11~16歳の時にワクチンを接種した後、車イスでの生活を余儀なくされるなどしたという。

 全国弁護団共同代表の水口真寿美弁護士は「裁判を通じて国と製薬企業の責任を明確にし、原告が安心して生活できるようにしたい」と話した。(7月12日付け共同通信)

 福岡 古賀克重法律事務所 弁護士 古賀克重

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.07.08

子宮頸がんワクチン推進意見に反論、被害者らが会見で訴え

 薬害オンブズパースン会議が7月4日、「『ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種推進に向けた関連学術団体の見解』に対する意見書を公表しました。

 学術団体見解は、「専門的な見地から、本ワクチンの積極的な接種を推奨する」としています。
 しかし、HPVワクチンについては、未だに、副反応の正確な発生率や被害実態を明らかとする調査の結果は示されておらず、これまでの副反応報告や、患者の診察にあたっている医師の研究報告からは、その安全性に重大な問題があります。

160708sikyukei1

 そしてHPVワクチンには、このような副反応のリスクを冒してまで大規模な接種を行うに見合うだけの有効性や、公衆衛生上の必要性は到底認められません。したがって、HPVワクチンの接種を推奨すべきではないという意見です。

  薬害オンブズパースンの記者会見には、松藤さん、九州の梅本さんなど6名の患者・家族も同席。会見に同席した患者・家族からは次次に異論の声が上がりました。

 まず学術団体の声明は「診療体制・相談体制、専門機関が全国的に整備された」と記載していますが、この点にも批判が出ました。

 例えば、記者会見に出席した全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会の松藤美香代表は「根本的な治療法がないのに、診療体制が整ったというのは違和感がある」と述べました(7月5日付け日経新聞)

 千葉県在住の大学1年生・園田絵里菜さん(19)は2011年、中学3年生の頃、3回接種しました。その後、頭痛や関節痛に悩まされるようになり、やがて外出もできないほど悪化し、車イスでの生活を余儀なくされました。そのため、高校も自宅で勉強できる通信制へ編入せざるを得ませんでした(7月4日付けFNNニュース)。

 その彼女は、「地元の病院は本当に何も分からない、知らない。医療提供が全然できていない状況になっています」と実情を訴えました(7月4日付け日テレニュース24)。

 一緒に会見に臨んだ園田さんの母小百合さんも「治療体制が整っているなら娘はこういう姿ではない。とても憤りを覚える」と話しました(7月5日付けView Poinnt)。

 そして患者らは国に対しても注文を付けて、「積極的に接種を勧めることを再開すべきではない」と注文を付けました。

 福岡 古賀克重法律事務所 弁護士 古賀克重

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.07.05

C型慢性肝炎治療薬ヴィキラックスで1名死亡、厚生労働省が使用上の注意改訂指示

 C型慢性肝炎に対する抗ウイルス薬「ヴィキラックス配合錠」

 「オムビタスビル」、「パリタプレビル」、「リトナビル」の3剤配合剤で、適応は、ジェノタイプ1型のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」です。

141224viekira

 2015年9月に製造承認され同年11月に販売開始されるや、早速使用上の注意の改定指示が出されていました(改定の概要は、「禁忌」の項に「Child-Pugh 分類 B の肝機能障害のある患者」を追記すること、「重要な基本的注意」の項に肝不全に関する注意喚起を追記すること、重大な副作用」の項に「肝不全」を追記すること)。

 今回さらに厚生労働省は2016年7月5日、製造販売元のアッヴィ合同会社に対して、添付文書の「重大な副作用」に急性腎不全を追記して注意喚起するように指示しました。

 ヴィキラックスは11月の発売以降約3000人が使用。
 うち9人が急性腎不全になり、70代の男性一人が死亡したことが明らかになったことを受けたものになります。

 いずれにせよ添付文書において、「本剤は、ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者に対してのみ投与すること」と警告されている通り、専門医の経過観察の下で慎重に投与していくべきになります。

 福岡 古賀克重法律事務所 弁護士 古賀克重

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.07.04

医療事故情報第45回報告書が公表、人口呼吸器の回路接続外れに注意喚起

 医療事故情報収集等事業第45回報告書が公表されました。

 報告書の対象期間は平成28年1月から3月。日本医療機能評価機構が、この間の各医療機関から報告された医療事故情報とヒヤリ・ハット事例情報をとりまとめたものになります。

 事故の概要としては、「療養上の世話」が348件(40.2%)と約半分を占めています。その他、「治療・処置」が230件(26.6%)、「薬剤」が38件(4.4%)、「ドレーン、チューブ」が68件(7.9%)、「検査」が29件(3.4%)と続きます。
 この傾向は毎回同じです。

160705medsafe

 事例情報として950件が報告されています。
 報告義務対象医療機関からの865件のうち死亡が82件(9.5%)、障害残存の可能性がある(高い)が90件(10.4%)、障害残存の可能性がある(低い)が230件(26.6%)になっています。

 当事者職種としては、看護師552件、医師504件。医師からの報告が増えているようです。

 個別のテーマとしては、「腫瘍用薬に関連した事例」「外観の類似した薬剤の取り違えに関連した事例」「人口呼吸器の回路の接続外れに関連した事例」が取り上げられています。

 腫瘍用薬は複数の薬剤を使用すること、患者の体重によって投与量が決定されること、薬剤の取扱に注意が必要なこと、そして患者の生命・健康への影響が極めて大きいことから、これまでも多数報告されています。

 また生命維持装置である人工呼吸器は、呼吸回路の接続が弛んだり外れたりすると、患者の生命に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 2010年以降に43件が報告されており、特に呼吸回路と気管チューブの接続部分が外れたケースが24件と最も多くなっていました。

 そのほか「病理診断時の検体取り違え」も3か月で1件報告されたため、2011年から遡り8件について改めて特集されています。
 病理診断の種類としては組織診(CT下肺生検の組織、乳腺針生検の組織など)が4件になっています。
 8件のうち半数の4件は、誤った病理診断によって治療が行われています。誤って肺がんと診断され、本来しなくてよい右肺下葉切除術を施行するなど、患者の生命・健康に深刻な影響を及ぼしますので注意が必要です。

 福岡 古賀克重法律事務所 弁護士 古賀克重

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.07.01

FDAが全ゲノタイプに有効な慢性C型肝炎治療薬を初承認

 FDA(米食品医薬品局)が6月28日、1から6型まで全ゲノタイプ(遺伝子型)の慢性C型肝炎治療薬を承認しました。

 「ソホスブビル(Sofosbuvir)」と「ベルパタスビル(velpatasvir)」の合剤である「エプクルサ(Epclusa ギリアド・サイエンシズ社)」です。

160701fda

 全ゲノタイプに使用できる慢性C型肝炎治療薬としては初になり、1日1回の経口薬です。

 C型肝炎ウイルスは遺伝子型によってグループが分かれ、現在少なくとも6つの遺伝子が判明しています。
 各遺伝子型によって薬剤の効果も異なるため、それぞれ薬剤が研究されてきました。

 例えば日本のC型肝炎患者は1b型が一番多く 1a、2a、2bの患者もいます。

 一方、アメリカでは75%が遺伝子1型、20から25%が遺伝子2型ないし3型になっているほか、遺伝子4、5、6の患者もいますので、アメリカでは使いやすい薬剤といえるのかもしれません。

 また定価は12週間投与で7万4760ドル(約767万円)とされています。
 ギリアドは、「(高いと批判を受けた)ソバルディの8万4000ドルやハーボニーの9万4500ドルよりも安い」と強調して市場に売りだそうとしているようです。

 なおエプクルサの副作用としては、頭痛や倦怠感が指摘されているほか、抗不整脈薬であるアミオダロンとの併用は推奨されていません。

 福岡 古賀克重法律事務所 弁護士 古賀克重

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.06.22

医療事故調査制度の受付件数が報告、8か月で251件と低調

 2015年10月1日から運用開始した医療事故調査制度。
 年間1000件から2000件が想定されていましたが大幅に下回る件数で推移しています。

 日本医療安全調査機構が平成28年5月末時点の状況を公表しました。

160624iryo

 それによると2016年5月末まで累計251件にとどまっています。
 開始した10月は19件、その後、11月27件、12月36件、1月33件、2月25件と推移していました。
 3月には最多の48件になりましたが、5月はまた減少し30件でした。

 地域的には関東信越地区が106件と一番多く、近畿と九州が39件と続いています。

 診療科としては、外科が増えて一番多かった内科を越えて42件、内科は37件、整形外科27件、消化器科19件、産婦人科17件となっています。

 医療事故調査報告(院内調査結果)がなされた件数は5月に13件あり、合計78件になりました。
 一方、センター調査の依頼件数は2件のみであり、院内調査結果がそれなりに受け止められていることを示唆しています。

 いずれにしろ医療事故調査は、予想された年間1000件はおろか500件にも達しない情勢。
 院内調査が必要不可欠な事案について、例えば遺族が問題にしていないことからうやむやにしているケースがないか等、原因分析も必要と思われます。

 福岡 古賀克重法律事務所 弁護士 古賀克重

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«よくわかる肺がんQ&A 患者のためのガイドブックが公開