2012.05.21

第三者監視組織の設置を求める緊急院内集会

 Daisannsya1
 薬害肝炎全国原告団弁護団が平成24年5月21日、薬害監視の第三者機関設立を求める緊急院内集会を開催しました。参議院地下1階の部屋は100名近い参加者の熱気であふれました。

 まず薬害肝炎全国弁護団の鈴木利広代表が、これまでの第三者監視組織の議論の経緯、民主党の歴代大臣が設置を約束しながら守っていない約束不履行の状況を説明。

(2010年6月28日・大臣協議・長妻大臣発言)
「平成24年の通常国会に法案を提出できるように制度設計などについて詰めていきたいと考えていること・・平成24年3月までに法律を制定し、4月1日からスタートさせるよう最大限の度量kをしてほしいという意見については、そのように考えている旨を回答した。」 

(2011年7月8日・大臣協議・細川大臣発言)
「平成23年10月頃に大臣直属の私的諮問機関を設置する予定であり、本格的な第三者機関監視・評価組織に必要な法整備については、今、部会において議論しているところであるから、それに基づいて、来年(注2012年)の通常国会への改正法案提出を行い、正式な第三者機関の設置を確実に進めていくことを回答した」

 続いて、山口美智子原告団代表が強く理解を求めました。
 「大臣が法案を提出するから待ってくれと約束したからこそ、私たちは最終提言から2年間待ってきたのです。それを今になって大臣が提出できないということでは話が違います。薬害防止のための第三者組織設立は必要不可欠。『反省なくして再発防止なし』。これが私たちの気持ちです。大臣自らが閣法として設立させることが大事。必ず作ってもらいたい。ぜひご理解を頂き、お力を貸してください。」

 さらに、薬害オンブズパースンの事務局長であり、検証委員会のメンバーでもあった水口弁護士が訴えます。
 「私は薬害オンブズパースンという民間の第三者組織の事務局長としてかかわってきました。到達点としては薬害監視の第三者組織が必要。それを自ら政府が作る。それが私たちの活動の到達点でもあるし、検証委員会の提言の一つでもあります」

 この日の緊急院内集会には、与野党から9名の国会議員、25名の国会議員秘書も参加しました。
 まず社民党政策審議会の副会長の吉田忠智議員が挨拶。
 「国会会期末が6月21日とちょうど1か月になりました。社会保障と税の一体改革以外については審議が止まっている。毎回厚生労働大臣が約束しているのに実現できないのはこの薬害の根深さ。政官業の癒着そのものが度重なる薬害を招いた。この第三者機関の設置はそういった癒着を断ち切る大きな力になる。大きなエネルギーと力がいると思うので、一緒に第三者組織の設立に向けて頑張っていきたいと思います」

 民主党の山井和則議員は、「薬害肝炎原告団弁護団の力で薬害肝炎救済法ができた。原告の皆さんの必死の運動がなければこの議員立法は成立しなかった。それをふまえて肝炎基本法も成立した。さらにこういう皆さんの活動がなければB型肝炎訴訟の解決にもおよばかった。残された大きな問題がこの第三者機関の設立である。閣法として成立させる目処がたっていないのは申し訳ない。皆さんの思いを受け止めて1日も早く提出し、成立させるように努力したい」と述べました。

Daisannsya2 そのほか、薬害肝炎救済法の成立に当時の与党として尽力頂いた議員も参加しました。
 その一人・公明党の坂口力議員は、「自分が与党の時には官僚も説得することは説得してやってきた。民主党政権になって長妻大臣、細川大臣も約束しました。小宮山大臣にも国会で質問しましたが、小宮山大臣は『今年中には』という回答だった。あと半年残っているので何とか努力してくれるのではないか。ぜひともやってほしい。私も発言を続けたいと思っている」と期待を述べました。

 共産党の穀田恵二議員が、「この会期中に形はどうあれ力を尽くしたい。ここにいる議員の皆さんにも、自分の党に戻って責任を持とうと言いたい」と呼びかけると、会場は大きな拍手に包まれました。

 最後に薬害被害者団体・薬被連の花井氏が今の現状を的確に表したコメントをして、集会は最後を迎えました。
 「薬被連は11の薬害団体からなります。薬害再発防止を願って既に半世紀経ちました。政府が薬害再発防止のための検討会を開催したのは、薬害肝炎が初めてであり、画期的なことでした。その検討会の最大の目玉がこの第三者監視組織になります。綿々と続く戦いの集大成と思っているのでよろしくお願いします」、「またもう一つだけ言っておきたいことがあります。大臣が約束したことを行わないというのは今までなかったのではないか。全会派一致で今回も利害を超えてお願いしたい」

 既に薬害肝炎検証委員会の寺野彰委員が、「薬害防止に関する第三者監視評価組織に関する薬事法改正条文案」を発表しています。法改正自体はさほど困難なものではなく、要するに、民主党政府・厚労大臣の決意の問題といえるでしょう。

第○章 薬害防止に関する第三者監視評価委員会

(設置及び目的)
第○条 薬害の発生および拡大を未然に防止するため、厚生労働省に薬害防止に関する第三者監視評価委員会(以下「委員会」という。)を置く。

(権能)
第○条 委員会は、前項の目的を達成するため、医薬品安全行政の「全般」及び「個別医薬品・医療機器」の安全性に関し、以下の事務をつかさどる。
 イ 自ら発議して、調査・審議すること
 ロ 厚生労働省、独立行政法人医薬品医療機器総合機構及び関係行政機関に対して、薬害防止のための適切な措置を採るように提言、勧告、意見具申を行うこと
 ハ 前項に基づき講じた措置について関係行政機関に報告を求めること

(資料の提出要求等)
第○条 委員会は、厚生労働省及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構から、定期的に医薬品及び医療機器の安全性に関する情報の報告を受ける。
2 委員会は、患者、医薬品・医療機器製造販売業者、医療機器賃貸業者・修理業者、医療機関等から医薬品及び医療機器の安全性に関する情報を収集することができる
3 委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、以下の権限を有する
 イ 厚生労働省、独立行政法人医薬品医療機器総合機構及び関係行政機関の長に対し、資料の提出・説明その他の必要な協力を求め、行政機関に依頼して医薬品・医療機器製造・販売事業者や医療機関等の外部の情報を収集させること
 ロ 医薬品及び医療機器の安全性に関する情報の調査・分析を、行政機関を通じて、外部の研究機関等に委託し、外部機関による調査結果を検証して、これに基づいて評価すること

(職権の行使)
第○条 委員会の委員は、自ら審議事項を発議することができ、独立してその職権を行う。

(組織)
第○条 委員会は、薬害被害者、市民、医師、薬剤師、医薬品評価専門家、法律家など、十人以内(臨時委員、専門委員を除く)で組織する。
2 委員会に、特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、委員会の議決に基づき、臨時委員を置くことができる。
3 委員会に、専門の事項を調査審議させるため必要があるときは、委員会の議決に基づき、専門委員を置くことができる。
4 委員は常勤もしくは非常勤とし、臨時委員及び専門委員は、非常勤とする。

(委員の選任・任命)
第○条 委員の選任については、薬害の発生を未然に防止するために独立して医薬品行政の監視・評価を行う見識を有する者を選任するに相応しい手続を定め、これに基づき選任し、厚生労働大臣が任命する。

(委員の任期等)
第○条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
3 臨時委員は、その者の任命に係る当該特別の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。
4 専門委員は、その者の任命に係る当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとする。

(委員長)
第○条 委員会に、委員長を置き、委員の互選により選任する。
2 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代行する。

(事務局)
第○条 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置く。
2 事務局には、委員会の独立性、専門性、機動性を確保するに相応しい、専門的知識及び能力を有する職員を適切な規模で置く。
3 事務局には、事務局長を置き、事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。

(運営)
第○条 会議の資料及び議事録は原則として公開とする。

(政令への委任)
第○条 第○条から前条までに定めるもののほか、委員会に関し必要な事項は、政令で定める。

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2012.05.17

テラプレビルは慎重に、日本肝臓学会が新たな治療指針

 C型肝炎の新治療薬「テラプレビル(テラビック錠)」について、治験段階で出ていなかった腎臓機能障害の副作用が判明して問題になっています。

 ・「C型肝炎治療新薬「テラビック」で17名に重篤な副作用

 日本肝臓学会は平成24年5月18日、テラプレビルについて、「副作用が出やすい66歳以上は原則として使用しないなど、取扱を慎重にすべきという治療指針を公表します。

 65歳以下でも副作用が心配な患者さんは、かかりつけ医、もしくは、専門医によく相談して、来年に承認されるより副作用の少ない治療薬を待つこともできそうです。

 なお、薬害肝炎の被告企業でもあり、テラプレビルの販売製造業者でもある田辺三菱製薬は、今後も、市販後調査の結果を随時、迅速に公表していくことが求められています。

  ・日本肝臓学会


 厚生労働省研究班が今春まとめた指針では、ウイルス量が多い患者の初回治療や従来の治療法で完治しなかった患者への治療で、この新薬を含めた治療法を第一選択肢にしている。

 一方、日本肝臓学会は、新たな指針で、65歳以下も病状が進んでいなければ、副作用の少ない次世代の薬の承認を待つことを選択肢に加えた。次世代の薬は早ければ来年には承認される見通し(平成24年5月17日朝日新聞)

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2012.05.14

公害の歴史を残すために~イタイイタイ病資料館がオープン

 薬害の資料をどのように後世に残していくか。現在、薬害肝炎原告団弁護団も国(厚生労働省)に対して薬害資料館の建設を求めています。

 議論が進む中、イタイタイ病資料館が建ち上がっている情報に接しました。

 大正時代から富山県神通川流域に、中高年女性を中心に骨が脆くなって全身が痛む症状が多発しました。余りの激痛に絶えられず、患者が「イタイ、イタイ」と泣き叫ぶために「イタイタイ病」と付けられます。

 やがて患者達が立ち上がり、神岡鉱山から排出されたカドミウムが原因として、集団訴訟を提起しました。

 3年の審理の末、昭和46年6月30日富山地裁判決(判例時報635号17頁)は、患者勝訴を言い渡しました。四大公害訴訟の中で最初の司法判断です。
 カドミウムとイタイイタイ病の因果関係を認めたものであり、公害訴訟上、画期的な判決として位置づけられています(拙著「集団訴訟実務マニュアル」(日本評論社・222頁)。

 半世紀近く経つにつれて資料の散逸が危惧されていましたが、富山県知事が平成22年2月、イタイイタイ病資料館の基本構想を策定し、平成24年4月29日にオープンにこぎ着けたものです。

  ・富山県立イタイイタイ病資料館

 小学生向け副読本が紹介されているほか、バーチャル展示室も設けられるなど、関わった方達の工夫の跡がうかがえます。

 被害の実態、被害回復の過程、そして再発防止の視点を共有するためにも、このような歴史的な資料を集約した施設は極めて重要。

 今後の薬害資料館の議論にも参考になりそうです。

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2012.05.10

C型肝炎治療新薬「テラビック」で17名に重篤な副作用

 昨年11月に発売されたC型肝炎の治療薬「テラビック」。
  ・テラビックが11月28日に発売

 薬害肝炎の被告企業である田辺三菱製薬が製造販売していることからも注目を集めていました。

 今回、そのテラビック錠(テラプレビル製剤)の副作用として、17名の患者に重い腎機能障害が発生していることが判明しました。

 この「腎機能障害」は、実は、能書には記載されていなかった副作用です。
  ・テラプレビル製剤(テラビック錠)の能書と副作用

 平成24年3月2日に開催された第7回肝炎対策推進協議会において、腎臓への影響があることが報告されていましたが、実際に副作用を発症した患者数・内容が明らかにされるのは初めてです。

 (熊田博光委員・虎ノ門病院分院長)
 それから、もう一つは尿ですね。いわゆる尿酸とかクレアチニンという腎臓の機能にも影響するということが、治験のときはそんなにクローズアップされていませんでしたが、当院で行った61例の治験で見ると、クレアチニンというのは通常0.9~1.0ぐらいですが、1.5とか高い方は2まで上がった。こういう方たちにこのまま使っていくと、どんどん上がってしまうので、いわゆる抗尿酸剤を使いますと下がると。腎臓のことも考えなければいけないということもわかっております(肝炎対策推進協議会議事録)。

 相変わらず田辺三菱製薬によるプレスリリースなどは行われていません。
 薬害肝炎被害のような「被害の隠蔽」にならないよう、速やかに情報公開していくべきでしょう。

 注:本ブログをアップ(5月10日午前9時56分)した後、田辺三菱製薬は、5月10日のうちに、特に公開日時を明らかにせずに、「C型慢性肝炎治療薬テラビックに関する適正使用について」とする注意喚起をサイトトップに表記した。

 厚労省によると、今月8日までに3358人に使われた。重い腎機能障害を起こしたのは50~70代の男女。薬を飲み始めて1週間以内に発症した人が多いという。

 厚労省は、服用開始から1週間は腎臓機能検査を少なくとも2回行うよう求めている。また、説明書に重い腎機能障害を追加することも検討している(平成24年5月10日朝日新聞)。

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2012.04.24

薬害肝炎救済法の延長を求める緊急院内集会を開催~今だ放置されている418リスト

 薬害肝炎全国原告団弁護団が平成24年4月24日、「薬害肝炎救済法の延長を求める緊急院内集会」を衆議院第一議員会館にて開催しました。

 まず薬害肝炎全国原告団の山口美智子さんが挨拶。続いて請求期限延長の必要性について、東京弁護団の高井弁護士が配布資料に基づき説明しました。今年の2月に突然医療機関からフィブリノゲン投与を求める手紙が届いて、ようやく提訴にこぎ着けた事例などを紹介し、延長の必要性を説明しました。

Innaisyukai_0424 薬害肝炎救済法は2008年1月16日、自公政権下、議員立法により全会一致で成立したものです。
 その請求期限は、2013年の1月15日。請求期限の延長については、救済法付則3条が「給付金等の請求期限については、この法律御施行後における請求の状況を勘案し、必要に応じ、検討が加えられるものとする」とされています。
 そしてフィブリノゲン製剤投与者が29万人以上、C型肝炎感染者1万人以上と推計。ところが、薬害被害者と判明して裁判によって給付金を受給したのは1914名(厚生労働省発表)にとどまります。

 請求が少ない原因としては、カルテ調査・被害者告知が不十分であること、そもそもC型肝炎に感染していることに気付いていない人が88万人もいること(第1回肝炎対策推進協議会報告)などが上げられます。
 以上の状況をふまえると、薬害肝炎被害者の全員一律救済のためには、請求期限延長が不可欠なのです。

 この日の緊急院内集会には与野党から国会議員約20名が参加(代理出席含む)。

 まず野党時代に薬害肝炎問題に火を付けた民主党山井和則議員が、国会対策の会議中であるにもかかわらず参加して頂きました。
 「早いもので5年が経過した。患者のために歴史に残る戦いだったと思う。しかし山口代表の指摘のように救済はまだ道半ば。秋以降の臨時国会で必ずやっていきたい。党派で意見が違うことはないし、やれると思っている。願わくば未解決で残っているということを全国会議員・マスコミで共有してもらい、我々も頑張っていきたい。大きな宿題となっている第三者機関の法律についても、忘れずに取り組んでいきたいと思います」と述べました。

 共産党でこの問題を追求し続けている衆議院高橋千鶴子議員は、「私も3月7日の厚生労働委員会で質問させて頂きました。公明党の坂口議員が私の前に熱意あふれた質問をしておられたので、私も質問の順番を変えて最初に薬害肝炎問題を質問致しました。『議員立法だから各政党で協議して欲しい』という厚生労働大臣の答弁はあまりに無責任というほかありません。政府が法延長するという意思がなければ駄目なんです。期限を区切ることが政府の気持ちということがあってはならない。超党派で延長を訴えるとともに、政府がやっていけということも言っていきたい。(薬害再発防止のための)第三者機関設置の問題も、基本合意が反故にされたという大きな問題だ。重大な問題と言わなければならない」と力強く訴えました。

Innnai3 薬害肝炎九州原告団の元代表である民主党の福田衣里子議員は、「1月16日のことを昨日のことのように思い出します。当時は原告は1000名程度かと言われていたが2000名程度になった。長期に渡る弁護団の活動の成果と思います。私も3年近く裁判をして原告番号15番でした。なかなか原告数も100人を越えませんでした。苦しかったが闘ってよかった。延長問題は必ず超党派で実現したいと思っている。速やかに延長できるようにしたい。第三者組織も長妻大臣が明言した問題ですので、必ず形にしたいと思います。」

 田村智子議員は、「参議院で厚生労働委員会を担当しています。私は薬害肝炎救済法が成立した際は、国会の外から皆さんの活動に共感していた。新しく勉強して受け継いでいかないといけないと思っています。私なりに同僚の議員にこの問題を知らせて頑張って参ります」

 救済法成立にも尽力を頂いた公明党の渡邉孝男議員は次のように語りました。
 「薬害肝炎救済法の期限が来年1月を迎えるということで、私のところにも多数の問い合わせが入っています。まだまだ救済されていない人が多いので、延長して救済することが大事だと思っております。私もこの問題に皆様の声を拝聴しながら進めていきたいと思います」

 いつも原告を暖かく励ましてくれる社民党福島みずほ党首は、「病院の中でカルテの調査が遅れている。何万人にも投与されたと聞いているが、数としてあがってきていない。本日あらためて訴えてくださって、改めて法律の延長を勝ち取っていきたいとと決意しました」と述べました。

 最後に薬害肝炎の各地原告団から、東京原告団代表の浅倉さん、大阪原告代表の武田さん、名古屋原告の宮井さん、九州原告11番さんらがそれぞれご自分のエピソードを交えながら、救済法延長の必要性を切々と訴えました。

 九州原告11番さんは、「なぜ自分が肝炎になったのかを知りたいという思いで私は九州の裁判に参加しました。裁判を通じて様々なことを知りました。驚くことばかりだったが自分が立ち上がるには、裁判に参加して大変良かったと思っています。まだ全員が裁判できておらず、和解できていない状況があります。私のように裁判に参加できる途を閉ざさないで頂きたい」と延長の必要性を訴えました。

 最後に薬害肝炎全国弁護団を代表して私から挨拶しました。
 取り上げたのは、「418リスト被害者がまだ全員救済されていないこと」です。
 ちょうど先週、熊本の患者さんから連絡があり、その患者さんが418リストの該当者でした。

Kaiken この「418リスト」というのは、1987年、いわゆるフィブリノゲン製剤による集団感染が発覚した際、企業と国が把握した感染被害者418名の一覧表。
 国及び企業はこの418リストに基づき感染被害者に告知することもなく放置したのです。

 2007年秋、われわれ薬害肝炎全国原告団弁護団は、「命のリストを放置した!」とこの問題を厳しく追求。大きな社会問題となり、薬害肝炎救済法成立の大きな原動力になりました。
 ところがこの418リストに掲載された感染被害者がまだ全員救済されていないわけですから、薬害肝炎救済法の延長は不可避というべきなのです。

 なお本日、薬害肝炎全国弁護団は全国一斉提訴も行い、厚生労働省記者クラブで記者会見も行いました。

 一斉提訴数は、26名(仙台3、東京9、静岡3、名古屋2、大阪4、高松1、福岡4)です。提訴後の薬害肝炎全国原告団数は、1957名(仙台152、東京566、静岡31、神奈川15、名古屋182、大阪576、広島26、島根22、岡山19、鳥取6、奈良1、香川8、山口2、九州351)、和解数は、1779名になりました。
 また和解数のうち、151名はカルテがないケースになります。

 今後も薬害肝炎全国原告団弁護団は救済法の延長を求めるとともに、被害掘り起こしを全国で継続していく予定です。救済法の延長、薬害監視の第三者機関設置とともにご支援をお願い致します。

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2012.04.23

第3回医療事故に係る調査の仕組み検討部会の開催案内

 医療事故の原因究明を制度化するための議論が3年ぶりに再開されています。

 厚労省は2008年に第三者機関を設置する案をとりまとめていましたが、医療界が反対していたため頓挫。ようやく 「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」において議論が再開したものです。

 本年2月15日に第1回、3月29日に第2回が開催されています。
  ・第1回議事録
  ・第2回議事録

 前回の第2回検討部会は、5団体(日本医師会、日本医療法人協会、日本病院会、全日本病院協会、全国医学部長病院長会議)からそれぞれ15分程度のヒアリングを行いました。

 例えば、日本医師会は、「全ての医療機関に院内医療事故調査委員会を設置する」、「医療界、医学会が一体的に組織・運営する第三者機関による医療事故調査を行う」、「医師法21条の改正を行う」、「ADRの活用を推進する」、「患者救済制度を創設する」などを提案しています。

 第3回検討部会は4月27日に開催され、引き続きヒアリングを行う予定。
 なお傍聴希望者は4月25日(水)12時必着でファックスによる申し込みが必要です(傍聴申し込み)。

 厚労省は、過失の有無に関係なく、医療事故の被害者に補償する無過失補償制度について、昨年8月から検討会で議論を重ねている。その中で、補償制度を導入するには、医療事故の原因究明や再発防止に取り組む組織の議論が欠かせないとの意見で一致した・・

 ・・医療事故で妻を亡くした永井裕之さんは「議論の再開を待ち望んでいた。大綱案の何が認められないのかから議論し、修正して前に進めてほしい」と話した(朝日新聞)。

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2012.04.20

ようやく不活化ポリオワクチンが承認へ

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の第2部会が平成24年4月19日、いわゆる不活化ポリオワクチンの製造販売の承認を了承しました。なお議事は公表されないようです(開催案内)。

 生ワクチンでは副作用があるため、関係者が不活化ポリオワクチンの早期承認を求め続けていました。
 神奈川県が2011年11月から国に先駆けて提供を求めるなど社会問題化。国もようやく今年秋からの導入を決めていたものです。

 ちなみに世界では既に86カ国で承認済み。また神奈川県では既に不活化ポリオワクチン接種の予約申し込みは3月26日時点で5000人を超えていました。

 ようやく・・という感もありますが、接種控えが全国的に広がっていますので、スムーズな移行作業が求められるでしょう。

 ・ポリオ不活化ワクチン、神奈川県が提供へ
 ・不活化ポリオワクチンを来年秋から導入へ(小宮山大臣閣議後会見)

 厚生労働省の医薬品第2部会は19日、フランスのワクチンメーカー、サノフィパスツールの日本法人が申請していたポリオ(小児まひ)単独の不活化ワクチン「イモバックスポリオ」の製造販売を承認してよいとする意見をまとめた。厚労省は「すみやかに正式承認する」としている。

 予防接種法に基づき、乳幼児は秋以降、接種費用が原則、公費負担され、無料で受けられる見通し。生きたポリオウイルスによる生ワクチンが使われてきた1960年代以降で不活化ポリオワクチン承認は初となる(4月20日付け西日本新聞)。

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2012.04.18

薬事法改正、政府案提出を放棄

 政府・民主党が平成24年4月15日、医薬品行政を監視・勧告する「第三者組織」の設置を盛り込んだ薬事法改正案の今国会への提出を断念したと報じられました。

  ・「薬事法改正案提出を断念~薬害肝炎原告団との約束反故

 それに対して小宮山洋子大臣は閣議後の記者会見で事実関係が違うと述べました。

 そして小宮山大臣は、「議員立法としてこの国会に提出されることは全く否定しているものではありません」と述べています。

 しかし薬害肝炎原告団と民主党の歴代厚生労働大臣との約束は、国の責任として、今国会に薬事法改正案を提出するというものでした。

 小宮山大臣がリーダーシップを発揮して第三者組織設置を含んだ薬事法改正案を今国会に提出しない限り、約束反故という本質に何ら変わりはありません。

 (記者)
 薬害の第三者機関についてですが、一部報道で今国会での薬事法改正案は…。

(小宮山洋子大臣)
 昨日の報道ですね。それは、書いた社には間違っていると私から抗議をいたしました。(国会の)委員会で言ったのは、政府として法案を提出するのは今国会は難しいということを言ったので、今は議員立法の動きがありますので、議員立法としてこの国会に提出されるということは全く否定しているものではありません。事実関係をきちんと報道してほしいということを報道した社には申入れをしています。

(記者)
 そうすると、薬事法の改正案ということで、政府として今国会というのは難しいけれども、議員立法であれば道筋をつけるべくということですか。

(小宮山洋子大臣)
 もちろんです。これは、第三者機関については政府として取り組めればいいのですが、いろいろな今までの経緯もありこれは超党派の議員立法でやっていただくことがいいということを私からも議員にそういうお話しをして、今はそこの動きがあるというふうに承知をしています(平成24年4月17日閣議後記者会見)。

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2012.04.16

薬事法改正案提出を断念、薬害肝炎原告団との約束反故

 政府・民主党が4月15日、医薬品行政を監視・勧告する「第三者組織」の設置を盛り込んだ薬事法改正案の今国会への提出を断念したと報じられました。


 薬害肝炎訴訟における2008年基本合意に基づき、薬害再発防止の検証委員会が設置。
 検証委員会は薬害防止のためには医薬品行政を監視する「第三者組織」が必要不可欠と最終提言していたものです。

 民主党の歴代厚生労働相は、大臣協議において、「2012年の通常国会に法案を提出する」と約束していたにもかかわらず、その約束を反故にするものです。

  ・2011年5月20日 薬害肝炎全面解決のための要求書を提出
  ・2011年7月 8日 細川厚生労働大臣との大臣協議
  ・2011年12月26日 医薬品制度改正検討部会が薬害関し組織の新設を提言

 「第三者組織」は、国家行政組織法第8条に基づき、薬害の発生や拡大を未然に防ぐために設置する。20年に原告団と舛添要一厚労相(当時)が交わした基本合意書に、設置することが盛り込まれていた。

 政権交代後の22年には、長妻昭厚労相(同)が原告団との公開協議で「24年の通常国会に法案を提出できるよう制度設計を詰める」と表明。23年には細川律夫厚労相(同)も「薬事法改正案を24年の通常国会に提出する」と述べていた。

 ところが、小宮山洋子厚労相は今年3月の衆院厚生労働委員会で「今国会の法案提出は難しい」と述べた。小宮山氏は、衆参両院への設置が見込まれる社会保障と税の一体改革に関する特別委員会に常時出席する可能性が高く、民主党国対幹部は「薬事法改正案の審議まで手が回らくなる」と指摘する。

 政府・民主党は、衆院選マニフェスト(選挙公約)に記した後期高齢者医療制度の廃止法案についても今国会での審議を見送る方針で、消費税法案の審議の影響を受ける法案は今後続出しそうだ。

 「第三者組織」設置の見送りについて、山口美智子原告団長は産経新聞の取材に対し「首相には国民の命を思う姿勢がない」と批判している(平成24年4月16日付け産経新聞)。

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2012.04.11

新型インフルエンザ特別措置法案の背景と問題点

 新型インフルエンザ特別措置法案が今国会で審議されています。3月30日には賛成多数で可決され、参議院に送付されました。

 かなり拙速な審理ですが、背景には、日本医師会が、新型インフルエンザ対策の法制化を強く求めていることがあるようです。

 国からのヒアリングの中で、日本医師会は、ワクチン接種・医療体制の構築を実効性あるものにするためには、日医の関与が必要不可欠であるとして、政府対策本部に日医の代表を参画させることを求めたほか、指定公共機関と同様の仕組みを新型インフルエンザ対策に関する法制度に組み込む際には、国の指定公共機関に日医を指定することが妥当という意見を述べています。

  日本医師会ニュース(平成24年1月20日号)

 背景はおくとして、同法案には過剰な人権制限規定が多数見受けられるなど問題点が少なくありません。

  概要
  法律案理由

 
 例えば多数の者が利用する施設の使用制限(45条)では、「学校、社会福祉施設、興業場その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者・・に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる」と定めているものです。

 つまり、同条は、表現の自由として認められる集会の自由を制限する規定です。

 ところがその要件は、「新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるとき」という極めて抽象的なものです。

 さらに、その対象も、前述のように「政令で定める多数の者が利用する施設」と、極めて広範な施設に運用される恐れがあるものです。

 薬害オンブズパースン会議は、「新型インフルエンザ等対策特別措置法案に対する緊急声明」(PDF)を発表しています。

 1 法案の提出
2012年3月9日、「新型インフルエンザ等の発生時において国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすること」を目的とするとされる、新型インフルエンザ等対策特別措置法案(以下、「法案」という。)が国会に提出された。しかし、法案に定められた措置は、新型インフルエンザ対策としての必要性及び有効性に乏しい一方で、国民の人権や生活・経済活動に与える影響は大きく、重大な問題をはらんでいる。

 2 過大な被害想定
 法案は、新型インフルエンザ対策の手段として政府に強力な権限を与えるものとなっている。
 その前提となっているのは、上限値で入院患者数約200万人、死亡患者数約64万人という被害想定である(新型インフルエンザ対策行動計画p6)。
 しかし、この被害想定は、1918年に発生したスペインインフルエンザのデータを元に推計したものであり、行動計画も、「新型インフルエンザワクチンや抗インフルエンザウイルス薬等による介入の影響(効果)、現在のわが国の衛生状況等については推計の前提とはしていないことに留意する必要がある」として、その推計の問題点を自認している(p6)。
 ワクチンや抗ウイルス薬の効果はさておき、100年前と現在との、衛生状態や医療水準の著しい違いを考慮しない被害想定が過大であることは明らかである。
 また、新型インフルエンザの被害想定に関しては、鳥-ヒト感染による鳥インフルエンザ(H5N1)患者の死亡率の高さが指摘されることもあるが、軽症患者や不顕性感染者数を含めた総感染者数が把握されれば死亡率は大幅に下がると思われるものであり、やはり危険性が過大評価されている。
過大な被害想定は、感染者差別や風評被害を誘引することにもつながるものであり、政府は、直ちに上記被害想定を見直すべきである。

 3 個別の対策の効果にも疑問
(1) 法案は、新型インフルエンザの海外発生期における水際対策として、港・空港での検疫と感染者の停留措置(29条)、船舶・航空機の来航の制限要請(30条)を定めている。
 水際対策は、2009年のA型H1N1亜型インフルエンザ(09Aインフルエンザ)発生時にも失敗に終わっており、行動計画においても、ウイルスの国内への侵入を防ぐことは不可能であり、国内侵入の時期を遅らせることが目的であるとされている(行動計画p8)。
 しかし、現代における国際交通網の発達や、インフルエンザの潜伏期間(1~5日)、不顕性感染者の存在などからすれば、たとえ国内侵入を遅らせる目的としても、水際対策にはデメリットを上回る有意な効果は期待できないというべきである。

(2) インフルエンザワクチンの接種(28条、46条)に感染防止効果がないことは周知のとおりであり、流行防止効果や重症化予防効果についてもエビデンスはない。
 仮に効果があるとしても、新型インフルエンザ発生前に製造されるプレパンデミックワクチンが発生した新型のウイルスに適合するかどうかは全く不明であり、発生後にワクチン株を決定して製造されるパンデミックワクチンも、流行期に入る以前の適切な時期に広く供給することはきわめて困難である。

(3) 法案は、国内発生期における感染拡大の防止措置として、学校、社会福祉施設、興業場その他の多数の者が利用する施設の使用・催物開催の制限等を定めている(45条)。
  しかし、人が不特定多数人と接触する機会は多様に存在することからすると、催物の開催や特定施設の利用を制限したとしても、効果は期待できないというべきであるし、効果を高めるために制限を徹底すれば、かえって経済活動や国民生活に著しい支障を与え兼ねない・・・

 5 まとめ
 法案が前提とする被害想定は著しく過大であり、個々の対策も、その必要性及び効果は乏しい。
 それに対して、法案の定める措置による人権の制限や、社会生活及び経済活動に与える影響、対策に要する人的・経済的負担の大きさなどを考えると、法案は、新型インフルエンザ対策としてバランスを著しく欠いている。

 09Aインフルエンザ対策に対する十分な検証と反省がなされないまま、これをさらに拡大強化するような権限を政府に与える新法を制定することなど、断じて許されてはならない。

 よって、当会議は、新型インフルエンザ等対策特別措置法の制定に強く反対する。

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