« June 2009 | Main | August 2009 »

2009.07.31

民法成年年齢の引下げ最終報告書

 民法の成年年齢の引下げについての最終報告書(第2次案)が、法務省サイトにアップされました。
 最終報告書を取りまとめる15回会議で配布された資料ですので、若干内容は変わるかもしれませんが、大枠はこれで分かります。25頁(末尾参考資料等をいれると39頁)ありますが、わかりやすい内容にまとまっています。

  最終報告書(第2次案)

 先日のエントリーで指摘した「他の法令への波及」という問題点については、次のように注釈で指摘しています。

 なお、部会では、民法の成年年齢の引下げのみの検討を行い、その他の法令(未成年者飲酒禁止法、少年法等)については、年齢条項の見直しに関する検討委員会の決定に沿って、それぞれの法令を所管する府省庁・部局において検討が行われることと考えている。したがって、部会においては、民法の成年年齢の引下げがその他の法令に及ぼす影響については検討の対象としておらず、ここでいう民法の成年年齢の引下げは、未成年者飲酒禁止法や少年法等の年齢の引下げを含意するものではない(注2、3頁)。

 「他の法令への波及効果」が、民法成年年齢引下げ議論に後ろ向きの影響を与えないように、慎重な書きぶりで予防線を張っていますが、国会等で審議される際には、他の法令に波及させるか否かは検討せざるを得ないでしょうし、事実上、議論を引き起こしますので注意が必要です。

 18歳・19歳を成人として取引対象にすることによって拡大しかねない消費者被害対策としては、以下のように指摘しています。

 ア 若年者の社会的経験の乏しさにつけ込んで取引等が行われないよう、取引の類型や若年者の特性(就労の有無、収入の有無等)に応じて、事業者に重い説明義務を課したり、事業者による取引の勧誘を制限する、イ 若年者の社会的経験の乏しさによる判断力の不足に乗じて取引が行われた場合には、契約を取り消すことができるようにする ウ 若年者が消費者被害にあった場合に気軽に相談できる若年者専用の相談窓口を消費生活センターに設ける エ 18歳、19歳の者には契約の取消権がないということを18歳、19歳の者に自覚させるような広報活動をする オ 特定商取引に関する法律7条3号、特定商取引に関する法律施行規則7条2号では、老人その他の者の判断力の不足に乗じて一定の取引をした場合には、主務大臣が販売業者に対して、必要な措置を指示することができる旨の規定が置かれているが、ここに「若年者」を付け加えるなどの意見がだされた(16頁17頁)。

 ウ、エなどは、消費者3大被害者層(若年、高齢者、主婦)に共通な施策ですし、そもそもあまり実効性はないと思われます。
 実務的なポイントは、イの規定内容になるでしょうか。

 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.30

「成人18歳」法制審議会(民法成年年齢部会)の最終報告

 法制審議会の民法成年年齢部会は7月29日、民法の成人は18歳が適当とする最終報告書をまとめました。ただし、法改正の時期は、国会の判断に委ねるべきとしています。

  民法成年年齢部会の名簿

 「成人」に関連する主立った現在の民法の条文は下記の通りです。

 年齢20歳をもって、成年とする(4条)

 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる行為については、この限りではない(5条1項)

 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる(5条2項)

 男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることができない(731条)

 成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない(782条)

 成年に達した者は、養子をすることができる(792条)

 未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない(798条)

 成年に達しない子は、父母の親権に服する(818条1項)

 後見は、次に掲げる場合に開始する(838条)
 一 未成年者に対して親権を行う者がないとき・・

 20歳を成年とする規定は、明治9年にさかのぼります。
 明治9年4月1日太政官布告第41号が、「自今満二十年ヲ以テ丁年相定候」としました。旧民法が、「丁年」を「成年」と改め、さらに現行民法に引き継がれたものです(遠藤浩「基本法コンメンタール・民法総則・第5版」(日本評論社、26頁)。

 江戸時代は元服すれば「大人」とみなされていましたが、明治政府は、21歳成人を主流としていた当時の欧米諸国を模倣して、「20歳成人」と定めたようです。

 では現在の各国の制度はどうなっているでしょうか。

 18歳 アメリカ(一部除く)、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、ロシア、オランダ、中国

 20歳 日本、韓国(但し選挙権は19歳から)、台湾、タイ(但し選挙権は18歳から)、ニュージーランド

 21歳 アルゼンチン、エジプト、南アフリカ、モナコ(但し、いずれも選挙権は18歳から)

 そのほか、法務省によると、昨年8月に調査した187国のうち141国が、18歳を成人としているとのことです。
 ちなみに、天皇・皇太子・皇太孫の成年は、現在も18歳です(皇室典範22条)。

 一方、引き下げによる弊害はないのでしょうか。
 確かに、大学生や20歳前半の消費者被害(呉服商法、インターネット詐欺、ネズミ講など)は、弁護士相談にも比較的多数寄せられています。成年を引き下げた場合さらに被害が拡大する可能性はあるでしょう。
 しかしこの点は法制審議会が、「引き下げで生じる恐れがある消費者被害対策の充実を条件」としており、評価できます。
 
 一番の問題は、191件にものぼるこ成人年齢に関する法律の取扱でしょう。
 例えば、少年法は、20歳未満の少年を対象としていますが、民法における成人年齢引き下げに伴い、少年年齢も引き下げるとなると、少年保護行政は根本からの大転換に迫られます。
 その他にも、公職選挙法はもとより、未成年者飲酒禁止法、未成年者喫煙禁止法、銃刀法、競馬法、モータボート競争法、医師法、税理士法などが関連してきます。

 いずれにせよ総選挙後の国会審議に委ねられますが、過去に「民法、少年法の成人年齢を18歳に」としていた民主党も、今回のマニフェストからは外しており、先行きは不透明です。
 また、今回の最終報告書はあくまで成年年齢部会のものにすぎず、正式に法務大臣に諮問されるためには、9月の法制審議会総会で可決される必要もあります。

 臓器移植法改正のときのようにバタバタと決めるよりは、民法成年年齢部会が、選挙前のこの時期に早めに国民、国会に問題提起したことは意義があるでしょう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.29

B型肝炎集団訴訟、全国初の原告本人尋問へ

 最高裁判決後も国が全面解決に踏み出さないために始まったB型肝炎集団訴訟。7月29日午前10時から福岡地方裁判所において、予防接種B型肝炎訴訟の原告本人尋問が行われました。

 現在は全国10地裁で係争中ですが、原告本人尋問が開始したのは福岡地裁が初めて。
 福岡地裁の原告数は100名を越えていますが、いわゆる「チャンピオン立証」(原告全員ではなく、論点に応じて本人尋問を行う原告を絞り込む方式)ですので、本人尋問は数期日で終了します。

 次回の期日は、10月13日、10月28日に予定されています。

 B型肝炎訴訟も、早期全面解決に向けて動き出しました。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.28

Twitterで薬害肝炎定期協議(厚労大臣協議)を速報

 本日7月28日13時30分から厚生労働省内において、薬害肝炎原告団弁護団は、舛添厚生労働大臣との定期協議にのぞみます。

 定期協議とは、原告団弁護団と国との間の基本合意に基づき開催されるもので、事前に原告団弁護団が厚生労働省に対して求めた事項について協議が行なわれます。
 今回は、被害実態調査、恒久対策(肝炎の治療体制)、検証(薬害の再発防止)の3項目についての協議です。

 Twitter(ツイッター)で速報してみたいと思います。
 弁護士古賀克重on Twitter

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.27

消費者庁はいずこへ

 8月末から9月にかけて、「消費者行政活性化事業」の一環として、福岡県消費生活相談員の研修が開催されます。今回私に講師依頼があったのは、その中の「情報通信サービスに関わる法律と基礎知識」というコマ。「情報通信サービス分野における新たなサービスの提供と新しい消費者問題について講義してください」ということですので、Twitter(ツイッター)なども取り上げてみたいと思って準備中です。

 この事業のそもそもの出発点は、消費者庁関連予算が計上されたことです。
 「地方消費者行政活性化のための基金」などに、平成20年度補正予算で255億円が計上されていました。

 消費者庁関連予算の概要

 政局の嵐の中で「消費者庁問題」はまだまだ影が薄い感じもしますし、選挙結果次第ではどこに向かうか不透明感もつきまといます。

 しかし「消費者庁設置は、消費者が主役となる国民本位の行政へのパラダイム・シフトを実現するものともいえ、その歴史的意義は大きく、戦後の行政機関の新設の中で、環境庁設置に匹敵するもの」(宇賀克也『消費者庁関連3法の行政法上の意義と課題』(ジュリスト1382号、36頁)とも指摘されています。

 消費者庁の趨勢は、裁判員制度とともに、司法が真の意味でこの社会に根付くかを問うている試金石のように思えます。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.24

九州弁護士連合会が一斉テレビCMを実施へ

 東京の法律事務所による地方での積極的なTVCMは、弁護士広告自由化を積極的に活用する営業努力といえますが、一方で、過払い事件を念頭においた「食い散らかしではないか」という批判も絶えずつきまといます。

 この点、九州弁護士連合会(福岡県弁護士会、佐賀県弁護士会、長崎県弁護士会、熊本県弁護士会、大分県弁護士会、宮崎県弁護士会、鹿児島県弁護士会、沖縄弁護士会)は、多重債務無料相談キャンペーンにあわせて、九州各県で一斉にTVCMを放映できないか協議中です。

 弁護士会や各地弁護士連合会が主体となって法律相談の掘り起こしを行い、会全体で相談にこたえていく体制作りも、今後の一つの方向性のように思えます。

 なお、福岡県弁護士会は、多重債務相談だけではなく交通事故相談についてもCMを放映しているほか、同会広報PTでは今後、他の分野(例えば、相続遺言、家事離婚など)についてのCM放映も鋭意検討中です。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.23

原爆症全面解決にも厚労省が抵抗

 政府が集団訴訟の全面解決を検討するも、厚労省が激しく抵抗して遅れる政治決断・・・
 どこかで見たような光景がまたもや繰り返されています。

 薬害肝炎訴訟では、5地裁判決が出揃った2年前の冬、当時の福田総理大臣と舛添厚生労働大臣は、原告弁護団の訴えを受けて政治決断を迫られました。
 しかし激しく抵抗する官僚の前に右往左往し、その決断は遅れに遅れました。

 原爆症訴訟についても、官僚側がいまだ抵抗を続けてようです。

 産経新聞より

 原爆症認定集団訴訟をめぐる被爆者救済問題で、全面解決に近い形での決着を模索する首相官邸と、財源を理由に救済対象の拡大に慎重な厚生労働、財務両省が水面下で激しい綱引きを続けている。
 麻生太郎首相は8月6日の「広島原爆の日」までに決着させたい考えだが、今後の展開次第では、薬害肝炎問題への対応から支持率を急落させた福田康夫内閣の二の舞になりかねない・・・・
 
 河村氏は22日にも舛添要一厚生労働相と首相官邸で対応を協議。全面解決に難色を示す舛添氏に「あなたが腹を決めないと、『あなたのせいでできなかった』と言われますよ。あなたの手柄になるんだから」と決断を迫った。
 だが、舛添氏は記者団に「『原告側にとっての全面解決』よりも『みんなにとって納得のいく解決』を目指したい」と慎重姿勢を崩さない。

 舛添氏が決断できないのは、財務、厚労両省が激しく抵抗しているからだ。  ある財務省関係者は「全員救済は原爆投下と症状の因果関係が不明なものまで国が責任を持つことになりかねない。300人の救済で終われば数十億円で済むが、原告ではない人が原告と同じ救済を求めると費用はさらに膨らむ」と指摘。
 原爆症と認定されていないが、被爆者健康手帳を交付されている約25万人に医療特別手当の支給を広げると毎年約1000億円になるとの試算も弾く。

 平成19年の薬害肝炎訴訟問題では、厚労省が「数兆円の負担増となる」との情報を流し、政治決断を遅らせた。河村氏は「『財源は無制限に』とはいかないが、実際に被爆し、苦しんだのは事実だ」と述べ、厚労、財務両省を牽制(けんせい)したが、両省が譲る気配はない。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.22

生活ほっとモーニング「肝臓がん 治療最前線」

 明日23日にNHK生活ほっとモーニングが「肝臓がん 治療最前線」と題して、肝臓癌治療(ラジオ波焼灼療法や経口抗ガン剤のネクサバール)や慢性肝炎治療(インターフェロン治療)について取り上げます。

 日進月歩の肝炎治療ですが、最新治療を分かりやすくまとめているようです。

 放送日:7月23日(水)午前8時35分~9時25分 NHK総合テレビ
 出演者:泉 並木さん(武蔵野赤十字病院副院長)、千住 明さん

 日本の肝臓がんの死亡者数は、年間3万人を超え、肺がん、胃がん、大腸がんに続いて多い。
 再発率も高くきわめて治りにくいがんの一つと言われてきたが、最近では、さまざまな治療法が開発され、完治や長期生存が可能になり始めています。

 中でも、患者への負担が少ない治療法として注目されているのが「ラジオ波焼灼療法」です。
 腹部の外から針を刺し、直接がん組織にラジオ波を当てて、100度前後の熱で焼き壊死(えし)させます。手術に比べて患者の体に与える負担が小さく、再発しても何度も繰り返して行えるのが特徴です。 2004年に健康保険の適用も認められ、現在、およそ1000か所の医療機関で行われており、一般的な治療法として広まりつつあります。

 さらに今年5月、がんの進行が進んだ患者が待ち望んでいた経口抗がん剤「ネクサバール(一般名・ソラフェニブ)」の承認が下りました。
 ネクサパールは「分子標的薬」といわれる新しい治療薬の一つで、がん細胞だけを狙い撃ちするという特性があり、従来の抗がん剤に比べて副作用が少ない。海外では延命効果が報告されており、今後、治療の新しい選択肢として期待されています。

 番組では、肝臓がん治療の最前線の動きについてリポートするとともに、肝臓がん予備軍である肝炎患者の対策などを含め、わかりやすく伝えます。

| | Comments (0) | TrackBack (2)

2009.07.21

NHK、産経新聞もTwitter(ツイッター)

 日本のメディアでも広がりつつあるミニブログのTwitter(ツイッター)。

 朝日新聞、毎日新聞に続いてNHKも開始したようです。
   NHKのTwitter

 特番「SAVE THE FUTURE」の生放送中に投稿したりしています。

 産経新聞も大阪本社が開始しました。
   産経新聞のTwitter

   毎日新聞、朝日新聞はこちらから。

 アメリカではつい先日も、オバマ大統領が7月22日に記者会見することをサイトより早くツイッターで速報し、それをAP通信がツイッターで速報しました。
   オバマ大統領のTwitter

 日本では自民党、民主党の議員が4~5名ほど開始しネットでは評判になっているものの、まだ一般には認知されていません。

 閣僚クラスの議員が利用し始めるとさらに耳目を引きそう。
 8月30日衆議院選挙後に選ばれる総理大臣にはツイッターを利用して国民に直接語りかけて頂きたいものです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.17

ツークリック詐欺

 メール送信した偽サイトにアクセスさせて個人情報を盗み取る「フィッシング詐欺」、ネットオークションを利用した「オークション詐欺」、クリックすると数万円の利用料金を請求する「ワンクリック詐欺」などインターネットを利用した様々な「悪徳商法」が引きも切らず発生しています。

 国民生活センターの発表している被害事例
 警視庁の説明

 「HTAを利用した新たなワンクリック詐欺」が報告されていましたが、さらに、「ツークリック詐欺」も見受けられるとのことです(トレンドマイクロの説明会

 この発展形とも言えるツークリック詐欺では、「電子消費者契約法」などを意識してか、ユーザーに同意を求める表示が何度も繰り返し表示される。およそこの手のサイトでは、じっくり契約内容や表示を読むユーザーは少なく、ダイアログが出てきてもどんどんクリックしてしまうことが多いというが、実はここに、ぱっと見ただけでは気付かれないように「入会金X万円を支払う」旨が明示されている。

 さらに、あえてコンテンツを少しだけ見せることで、「よく確認せずにクリックした自分が悪い、対価を支払わなければならない」と思わせるように仕向けるという。

 何回もクリックさせることで支払いを拒絶しにくい心理状況に陥らせる点がキモです。構造はワンクリック詐欺と全く同様であって支払う必要はありません。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.16

薬害肝炎原告団、舛添厚生労働大臣と大臣協議開催

 麻生総理の「解散宣言」のあおりで「肝炎基本法」が廃案になる見込みですが、薬害肝炎原告団弁護団は引き続き、恒久対策(肝炎治療体制)の整備、再発防止(薬害肝炎の検証)、薬害被害者の個別救済(フィブリノゲンを使用した医療機関から患者への告知)等をもとめて活動中です。

 まず肝硬変患者の障害認定を求めていますが、一定の前進がありそうです。

 また、7月28日には、薬害肝炎原告団弁護団が国と合意した基本合意に基づき、大臣協議が開催されます。

  「09.6.30 薬害肝炎全面解決のための要求書.pdf」をダウンロード

 日時:7月28日(火)13時30分~14時30分
 場所:厚生労働省内

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.15

解散で17法案が廃案、肝炎基本法も成立せず

 民主党などの野党が14日、首相問責決議可決を受けてすべての国会審議に応じない方針を決めたため、衆議院にかかっている法案が解散により廃案となることになりました。

 薬害C型肝炎原告団・B型肝炎原告団・日本肝臓病団体協議会が、昨年来求めていたB型・C型問わず「肝炎患者の治療費助成」などを国の責務として定める法律(「肝炎対策基本法」与党衆議院議員提出、「特定肝炎対策緊急措置法案」野党衆議院議員提出)も成立せず、廃案になります。
 本日15日15時から、薬害C型肝炎原告団代表の山口美智子さんほか3団体は、厚生労働省記者クラブで会見します。

 政局に翻弄され廃案となるのは、政府提出の17法案だけではなく、議員立法の91法案も合わせて合計108法案です。
 法案の成立率は89・9パーセントとねじれ国会前の水準に近づきましたが、法案の具体的な中身に目を向けるとかなりの重要法案が廃案になったことが分かります。

 まず、廃案となる政府提出法案の中では、共謀罪を創設する「組織犯罪処罰法改正案」、公務員などが加入する共済年金を厚生年金と統合し、保険料率を一本化する「被用者年金一元化法案」、原則1割の自己負担を見直す「障害者自立支援法改正案」、国連安全保障理事会決議によって北朝鮮に出入りする船舶への貨物検査を可能にする「北朝鮮貨物検査特別措置法案」、中央省庁の幹部人事を一元管理するために内閣人事局を新設する「国家公務員制度改革関連法案」、日雇い派遣の原則禁止を盛り込んだ「労働者派遣法改正案」などの重要法案が廃案になります。
 
 そのほかの政府提出法案は、「地方公務員法・地方独立行政法人法改正案」、「独立行政法人統計センター法改正案」、「行政不服審査法案」、「行政不服審査法施行関係法整備法案」、「行政手続法改正案」、「独立行政法人通則法改正案」、「独立行政法人通則法施行関係法整備法案」、「独立行政法人気象研究所法案」、「成田国際空港株式会社法改正案」、「確定拠出年金法改正案」、「小規模企業共済法改正案」の合計17法案です。

 政府提出法案以外では、与野党で合意できていた児童ポルノ写真などの単純所持を禁止する「児童買春・児童ポルノ禁止法改正案」が廃案になります。

 そのほか国政選挙における候補者の納める供託金を引き下げる「公職選挙法改正案」、政党が解散を決めた後に政党交付金を政治団体に寄付することを禁じる「政党助成法改正案」、企業・団体献金を禁止する民主党提出の「政治資金規正法改正案」、株価の大幅下落に備え、政府が市場から株式を買い取る仕組みを整備する「資本市場危機対応臨時特例措置法案」、後任者決定まで前任者の職務継続を認める「国会同意人事職務継続規定法案」、11月12日を休日にする「天皇在位20年記念日休日法案」なども廃案になります。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

2009.07.14

与党PTも政府に申し入れ(新しい肝炎総合対策の一層の推進)

Yotorogo 衆議院厚生労働委員会において、民主党・社民党・共産党が、肝炎問題を取り上げた7月8日、与党(自民党公明党)は、与党肝炎対策に関するプロジェクトチーム(与党PT)を開催して、総合的な肝炎対策をより一層推進するために、政府に対して申し入れを行いました。

 新しい肝炎総合対策の一層の推進について
 昨年1 2月に与党が取りまとめた「新しい肝灸解合対策の一層の推進」に基づき、本年4月から肝炎インターフェロン治療の「医療費助成制度」の運用変更が行われるなど、新たな取組が推進されているところである。
 肝炎患者のニーズや実情等を踏まえ、一人でも多くの牙が治療を受けやすい環境を整備するべく、騰合的な肝炎対策をより一層推進するため、政府においては、下記事項につき、適切な対応を図られることを求める。

 (肝炎の医療費助成事業について)
 B型・C型肝炎に対し、根治を目的としたインターフェロンの医療費助成を行ってきたが、 C型肝炎に対する肝がん予防を目的とした投与について、その効果を検証し、助成の是非について早急に籍論を得ること。
 また、 B型肝炎に対する核敢アナログ製剤及び定期的な検査の費用について、その助成のあり方を検討すること。

 (肝炎ウイルス検査について)
 肝炎患者の早期発見のため、.自治体の実施する肝炎ウイルス無料検査について、受診横合を確保することが難しいと考えられる労働者にも受診しやすい検査体制のあり方を検討すること。

 (治療体制の整備について)
 肝疾患診療連携拠点病院については、全都逢府県での指定を早急に実現するとともに、指定された拠点病院の実態調査を行うなどして、機能充実に向けた取組について検討すること。

 (情報提供の充実について)
 昨年、敦置された肝炎情報センターについて、 B型・C型肝炎患者の方それぞれのニーズを踏まえた情報提供のあり方について検討すること。

 (研究について)
 肝炎及び肝硬変に対する効果的な新薬の開発等、肝炎研究7カ年戦略における目標達成に向けて研究の充実に努めること。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

厚生労働委員会での肝炎問題質疑(民主党岡本充功議員)

Logo 衆議院厚生労働委員会で「肝炎問題」を取り上げた7月8日、共産党・社民党に続き、民主党も質疑において、インターフェロン治療助成が進まない状況をふまえて、「肝炎問題の総合対策」の推進を求めています。

 [岡本委員] 続いて、ちょっと肝炎対策についてお伺いをしたいと思います。我が党も、かねてよりずっと肝炎対策の包括的な解決を求めて、法案も提出して、その解決を要望しているわけです。私の資料の最後、五ページですけれども、いわゆる一つ使用面での話でいうと、インターフェロンの治療を断った理由というのを厚生労働省がお出しになられて、費用の問題よりも、忙しかったり副作用が心配な人がインターフェロンの治療を断っているんだから、お金の問題ではないというような話をされているんですね。
 私は、実際自分が診療していて思うんですけれども、忙しくて入院、通院ができないという人も、忙しい理由は、遊びで忙しいわけじゃないんですね。みんな仕事が忙しいんです。何で仕事が忙しいかといえば、やはり働かないと食えないからですよ。
 副作用が心配だというのもこれは似たような話で、実際に私のところであった話ですけれども、小さな中華料理店の店長、マスターである方がこのインターフェロンの治療をお断りになられた。自分が中華なべを振らないと、その店はもたないんですよ。その人は、はっきり言ったら忙しいかもしれない。もしくは、副作用で中華なべが振れなくなると料理ができなくて困る、つまり、それをやらなければ自分は食べられない。
 だから、そういう意味で、通院にかかわるさまざまな支援、例えば子供さんを抱えている方であれば、その子供さんをいっとき、入院をどうしてもしなければいけないインターフェロンの導入時等がありますので、そこで少し面倒を見てさしあげるような状況、もしくは、先ほど言った小さな中華料理店を経営している店長さんなんかの場合は、いわゆる休業に対して何らかの支援ができないかというようなことも含め、やはり包括的にこれは考えるべきじゃないかということを私は思うわけなんです。
 大臣、どうでしょう。やはり費用が一つ大きなネックになっている。今お話ししたように、一番、二番もこの中に、経済的理由でこれが一番、二番になっているということをぜひかんがみて、いわゆる金銭面での支援をより前進させるべきだと考えるんですが、大臣、御答弁いただけますか。

 [舛添国務大臣] 今委員御指摘のように、またこの資料の五枚目にありますように、さまざまな理由があると思いますから、それぞれに対応しないといけない。
 例えば、経団連に対して、こういうことをちゃんと従業員に対して配慮するように経営者に言ってくださいというようなことを私は申し入れをしています。それから、とにかくよく頑張って研究していただいて、さらに副作用がないような形の治療法というのも研究者の皆さんにやっていただかないといけない、そういうこともあります。
 費用の面も、今おっしゃったように、忙しいとか、入院、通院できないというのは、それはもちろん仕事が一番関係あると思いますから、こういうことについて社会保障制度全体でどういうふうに救うのか、これは納税者である国民の御理解も得ながら、やはり総合的にやっていかないといけないというふうに思います。
 ほかの病気の方々、困っている方々、たくさんおられます。こういう方に対する支援もやりたいのは、もうそれは岡本さんと私は全く同じなんですけれども、財源の措置を含めてこちらも考えないといけないので、そういう形で、総合的な新しい社会保障制度の構築というのはやはり党派を超えて考えるべき時期に来ていると思っております。

 [岡本委員] インターフェロン治療に入る方の数も目標値を下回っているし、また、もう一つ言うと、今大臣がお話しになられた経団連にお願いしても、私の言っているような中華料理店は経団連に入っていないんですよ、多分。
 聞いたことはないですけれども、多分入っていないと思います。そういう人をやはりいかにきめ細やかにケアしていくかということが求められている。経団連だけが日本の労働者の働き口じゃありません。そういうことで、お願いをしたいと思います。
 それから、ほかの病気ももちろん重要です。特定疾患や特定疾病の拡大というのも我々は目指していきたいと思います。しかし、これはやはり、最高裁も含めてですけれども裁判所が国の因果関係、国の責任を認めているものでありますから、他の疾病と比べてもやはり国の関与が大きくなきゃいけないんだろうと思っています。
 きのうも名古屋地方裁判所で新たに六名の方の和解が成立したという話でありますけれども、和解成立した方が今1064人で、新規提訴等の人数が1472人と伺っています。新規提訴等のうちで、既に和解した方が856人ということです。
 しかし、まだできていない方がみえるこのC型肝炎訴訟の和解でありますけれども、こういった実態も含め、より国の積極的な対応を求めたい、そうお願いをしたいと思います。大臣、お答えを一言、簡潔にお願いします。

 [舛添国務大臣] 新しい総合的な肝炎対策、皆さんの御尽力のおかげでやっと始まったばかりですから、これをきちんと定期的に検証し、問題があればそれは改善していく、そういう努力をやっていきたいと思っております。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

厚生労働委員会での肝炎問題質疑(社民党阿部知子議員)

Shaminrogo 衆議院厚生労働委員会において「肝炎問題」を取り上げた7月8日、社民党の阿部知子議員は、九州弁護団調べの治療内容の地域格差を取り上げて、肝炎の治療体制の整備の必要性を強く舛添大臣に迫りました。

 [阿部委員] 社会民主党の阿部知子です。先ほど岡本委員とのやりとりを拝聴しながら、大臣は、いろいろな他の御病気もある中で、肝炎の治療に対して国がいかほどの財政支援をなすべきかということについて、ある意味では他の疾患との考えねばならないところもあるというふうに述べられたやに伺いますが、私はちょっとそれは御認識の点でいかがかなと思うんですね。
 なぜならば、B型肝炎については、これは予防接種に起因するという三年前の最高裁判決がございますし、また、忘れもしません、二年前になりますか、C型肝炎のフィブリノゲン等々でいろいろな御病気で苦しんでおられる方々が連日国会に来られて、これは明らかに薬害であるということで、政府もそのことを認められて和解という形になっていったんだと思うんですね。
 他にももちろん人間にはいろいろな御病気がありますけれども、この肝炎という病気がこうした国の責任の大きくかかわる分野で起きているということで、ここにおる議員総体も、立法府として、治療に患者さんが一人でも多く到達できるように何らかやらねばならないという思いでみんなおるのだと思うのです。

 そこにあって大臣が、さっきいかなる意味でおっしゃったのか、ちょっと私は、言葉じりをとらえたのかもしれませんが、そういう御認識ではないということを、要するに、やはり国が明らかにこの肝炎について対策的な責任を負っていかねばならないという御認識であるという点を一点確認させていただいた上で、お手元にございますように、地方議会からも数多くの要望書というのが、例えば、健康局の肝炎対策推進室に対して、あるいは医薬食品局に対して厚労省に持ち込まれているわけです。
 どの自治体の要望書を拝見しても大体軸は三つで、これは基本的には、国の政策上、行政上の問題からくることであって、やはり早急に一人でも多くの患者さんが治療を受けられるような、例えば費用の負担は国で行う、事務費の負担も国で行ってほしいと。そうでないとなかなか自治体が大変であるという、当然のことなんだと思います。
 こういうたくさん寄せられた要望書の点も踏まえて、大臣に冒頭の、やはり国としてのきちんとした向かい合う姿勢を大臣にはもう一度明確にしていただきたいですので、お願いします。

 [舛添国務大臣] 先ほどの岡本さんの質問のときに、要するに、仕事をやめないといけないから通院できないとかいろいろな理由がありましたね。そのときに、やはりお金の問題がかかわっているというような話があったので、社会保障全体の中でどういう手だてをして救うかというのはさまざまありますよと。
 それで、ほかの病気の話もあって、それを並列的に並べたわけではなくて、労働政策の問題もそこにかかわってきた問題まで広がりましたからそういうことを申し上げたので、一生懸命この肝炎の問題に対して解決のために努力した立場からすれば、そういうことは当然わかっていることであります。
 ただ、要するに、肝炎に対する総合的な政策をやりました、そして、これは検証していかないといけないです。地域の格差の問題もあるでしょう、それから、今言った経済的理由というのは本当に、例えばもう少し補助率を上げることができるのか、そういうこともあるでしょう。
 だから、これは検証をして、そしてきちんと対応していきますよということを申し上げたので、総合的な政策を進めるということについて、国が中心になってやるということは、これはもう当然のことであります。
 それから、なぜこういう問題が起こったかということの検討会も、昨年度で終わらせないで今年度もまた引き続き行い、そこには患者の皆さん、原告の皆さん方にも代表として入っていただいて、対応して、反省点を反省し、二度とそういうものが起こらないようにやるということをやっていますから、どうか誤解がないようにお願いいたしたいと思います。

 [阿部委員] 患者さんたちの望んでおられるのも、反省を形にしてくれと。実際に治療を受けられる、あるいは、肝炎と知らないで進行してしまって亡くなっていく方もまだまだいるということを、何とか形にして現実に救ってほしいというか、それは当然でもあるし、患者さんたちの思いは、また国も当然そうすべきであるという文脈なんだと思うんです。
 この国会、7月28日が会期末ですが、閣法で出されている肝炎対策基本法もまだ成立はしておりませんし、私ども野党が出した、せめて現在のインターフェロン治療での、予定された十万人に行っていないわけですから、その分のお金を何とか回してでも、一人でも多く使ってほしいということも、これは今筆頭同士でお話しということでありますが、なかなか形が見えない中で、やはりその中でも一歩でも国には進んでもらわねばならない。
 だって、命が本当にそれで失われるということは、ここは山井さんであればもっといつも強くおっしゃっているところですので、私もその思いは同じでありますが。
 資料の二枚目を見ていただきますと、これは九州訴訟の原告団の皆さんからいただいた資料で、無料の肝炎の検査にいたしましてもかなり地域差、例えば大牟田市では人口一万人に対して92.5件、そして長崎市では6.51件とか、そもそも受けている件数に物すごい格差がある。
 それから、下はインターフェロン治療費助成の人口割合で、一万人に対してどのくらいの方が助成を受けられているか。これも、佐賀県が九州では一番数が多く、沖縄に至っては1.02と。
 ここは、さっき大臣がおっしゃった、例えば仕事を休んで受けられるかどうかの問題もありましょうが、やはり地方といたしましては、国によるきちんとした財源的な裏打ちが、全額だっていいんじゃないかと思うほど、そして、まず全国均てん化する、そうした姿勢を、もちろん基本法にその精神はあるわけですけれども行政としても示してほしいということなんだと思いますが、大臣、この点についてもいかがですか。

 [舛添国務大臣] それは、担当者を集めた会議とか通知などで常に申し上げております。ただ、その実施主体は各自治体にあるわけです。
 これは先ほど議論になった妊婦健診の公費負担の拡大もそうなんですが、一生懸命こちらがやったって、結局、お金に色がついていないので、大阪のある町なんかはほかのことの財源に使っちゃって5回がふえない、14回どころか5回のままだというようなことがありますから、これは引き続き努力をしたいというふうに思っておりますけれども、ぜひ自治体の皆さん、苦しい財政事情はよくわかりますけれども、一緒になって協力していただきたいと思っております。そして、引き続きそういう督促はしたいと思っております。

 [阿部委員] 自治体の皆さんは、事務費の点も含めての補助をやはり望んでいるわけです。本当にやりたいけれども、各自治体逼迫しておるわけですから、大臣にはもう一度各自治体から寄せられた要望書をしっかり読んでいただいて、本当に一歩でも進めていただきたいと強く冒頭お願いを申し上げるものです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

厚生労働委員会での肝炎問題質疑(共産党高橋千鶴子議員)

 7月8日の厚生労働委員会において、各野党が肝炎問題をそれぞれの視点から切り込みました。

Kyosanrogo 共産党の高橋千鶴子議員は、B型肝炎問題が最高裁判決後も放置されている点、肝炎基本法について国会議員アンケートに回答した与党議員は賛成している点、立法の必要性などを指摘しました。

 これに対して、舛添大臣は、「B型肝炎問題は最高裁判決の趣旨にのっとって認めていくから(救済の対象は最高裁判決の対象だった5名より)当然ふえるわけであります」、「(肝炎基本法については)国権の最高機関の国会の場で、我々国会議員がきちんと議論をして、いい法律をつくりたいと思っております」などと回答しました。

 質疑の詳細は下記の通りです。

 [高橋委員] 日本共産党の高橋千鶴子です。初めに、肝炎対策について伺いたいと思います。
 先月十六日、B型肝炎訴訟最高裁判決からちょうど三周年の日に、元原告らと舛添厚労大臣との面会そして謝罪が初めて実現をしました。提訴してから十七年、勝利判決から三年と、丸二十年目のことであり、既に二名の方が他界をされております。
 元原告は、〇六年最高裁判決後、繰り返し大臣への面会を求めていました。また舛添大臣になってからも、原告団長だった木村伸一さんが昨年一月八日の本委員会で参考人に立ち、最高裁判決があったにもかかわらず、いまだに国からの謝罪もないのだ、このような発言をされております。
 それからもう一年半たっておる。なぜ今日までおくれてしまったのでしょうか。面会に当たって、大臣はどのような意思、決意を表明されたのか、お答えください。

 [舛添国務大臣] これはできるだけ早くお会いしたいということで、先般、ちょうど平成十八年の最高裁判決の三年目になりますので、お会いして、これは厚生労働省を代表しまして心からおわびをする。
 それから、二度とこういうことが起こらないような対策をきちんと講じたい、こういうことで、皆さん方の御意見もいただきましたし、それからお亡くなりになった御遺族の御意見も賜りましたので、そういう思いを政策の上で実現できるように努力をしてまいりたいと思っております。

 [高橋委員] 二度とこのようなことが起こらないようにと大臣がおっしゃったということでありますけれども、それがどのような意味なのか。
 つまり、とても狭く言われては困るんだ、本当に二十年かけてその一言、たった十分でしたけれども、聞いた五名の方だけが国の責任があるのだというのであれば、またこれから長く長く、もう今三百三十人もの方が新たに提訴に踏み切っています。またそれを繰り返さなければならないのか、このことがやはり問われているのだと思うんです。
 大臣もきっとその場でいただいたのではないかなと思うんですけれども、B型肝炎の原告団の皆さんがこのような「もう待てない」という陳述集を作成されて、もうごらんになったかなと思うんですけれども、改めて読み返してみて、直接伺った皆さんの思いというのが、本当に心に突き刺さるものがございます。

 例えば東京原告の坂岡さん。九九年に、三十二歳の若さで息子さんをB型肝炎で失っている。職場から吐血をしたという知らせを受けて、翌日には、息子さんはB型肝炎で肝硬変どころか肝臓の三分の二が肝がんになり、腹水もたまり、静脈瘤がいつ破裂するかわかりません、あと一週間の命と言われる。
 翌日にもう命の宣告をされて、頭の中は真っ白になったとおっしゃっています。一週間のところを、親子で本当に向き合って、密度の濃い、二十五日間生き抜いてくれたと言っています。
 しかし、両親とも血液検査はマイナスであり、なぜ息子さんが発病したのかがわからなかったし、息子さん自身も、なぜこのようなことが突然自分の身に降りかかったのかと思いながら亡くなっていったのではないかと思います。
 九州原告の二十番の女性。三十九歳のときにB型肝炎に感染していることを知りました。十一歳の息子さんと九歳の娘さんがいずれも感染をしていた。
 自分のせいで子供たちを大変な病気にしてしまったと自分を責めていたということ。その中で特に、高校生になった息子さんがベッドの上でにらみつけるような目で、お母さんのせいで僕はB型肝炎になったと言われたこと。あるいは娘さんも、お母さんは肝炎がおさまっているから、これから発症する私の怖さがわからぬやろと大きな声で言われた。

 やはり多くの皆さんに共通されるのは、自分自身が病気で苦しむ、そのことと同時に、あるいはそれ以上に、子供さんに先立たれたり、子供さんが普通なら結婚、出産という道を歩むであろうということをあきらめさせなければならない、そういうことに対して、親がどれほどつらいのかということだと思うんです。
 私は、多くの原告の皆さんが自分のせいだと責めていた、もう全く出口の見つからない中で、この06年の最高裁判決が、決してそうではなかったんだ、私の責任ではなかったんだ、国の責任だったと気づかせてくれた、そのことに本当に大きな意味があったのではないか、この趣旨を本当に生かすべきだと思うのです。
 まず、その点に立って確認をさせていただきますが、まさか集団予防接種による感染が北海道の元原告五人だけだなどとは考えていない、ほかにも当然いるということを認めますか。

 [舛添国務大臣] 今、全国の地裁で三百三十人の方が提訴をされております。基本的には最高裁の判決の趣旨をよく体してこれは対応しないといけないと思いますが、問題は、最高裁判決の要件があります。
 その要件の判定をだれが行うのか。これをやはり訴訟の場で行う、司法の場で行うしかないというのが今のシステムでありますので、そういう形で前向きに解決を考えていきたいと思っております。

 [高橋委員] 私が聞いているのは五人だけではないということ。それはもしかしたら個々に、私は割合的には極めて少ないかと思いますが、あるかもしれません、いろいろな事情が。だけれども、基本的にはやはりそれ以外に考えられないということを皆さんがおっしゃっているわけです。
 いずれにしても、80年代の半ばまで注射の回し打ちが行われていた、国がそれを認める態度をとっていた。それがたった五人だけであったはずはないのだ、それはもう認めるということでよろしいですね。

 [舛添国務]大臣 何人いるかというのは私はわかりません。ただ、先ほど言ったように、事実として三百三十人の方が提訴をされている。それ以外にどれだけいるのか。
 いるともいないとも、何人いるというのも、それは私は一人一人数えたわけではありませんからわかりませんけれども、今申し上げられる事実はそういうことであります。

 [高橋委員] 答弁を逃げないでください。何人いるかなんて聞いていません。五人だけで終わりとは絶対言えないでしょう。そのことだけを聞いているんです。

 [舛添国務大臣] ですから、三百三十人の方々が提訴されているということもありますから、それについて最高裁判決の趣旨にのっとって認めていく。そうすると、それは当然ふえるわけであります。
 今、絶対にないとか絶対にあるとかそういう形の御質問をなさったので、私は神様じゃありませんから、絶対に何人いる、何人いないということは、医学者でもないしそういう形でのお答えはできないので、非常に正直に、誠意を持って答えたつもりであります。

 [高橋委員] では、絶対にを取りましょう。可能性は当然否定できない。そうでしょう。三百三十人と大臣がおっしゃっているのも、その中の、まだまだ私は微々たるものだと思いますよ。
 だけれども、いずれにしても、あれだけの長い時代、そういう背景があったんですから、それは五人で終わりだとは言い切れないだろう、そういう立場に立つのが当然ではありませんか。

 [舛添国務大臣] 最初からそう質問していただければ、可能性は否定いたしません。

 [高橋委員] わかりました。ここを確認させていただきたいと思います。
 この問題は、C型肝炎についても同じように、血液製剤だけではなくて注射の回し打ちなどということもあったと思います。
 ですから、大きく言って、やはり医療行為によるものであるということを認めて、大部分が国の責任であるんだ、そのことを明確にして、根拠法の成立、先ほど来議論にされている医療費助成、検査の促進などの総合的な対策、これが求められるのであろうと思います。
 そこで、少し具体的な話をいたします。

Continue reading "厚生労働委員会での肝炎問題質疑(共産党高橋千鶴子議員)"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.13

「最先端ITで弁護士育てる」

 朝日新聞の記事からです。

 「最先端ITで弁護士育てる」(7月13日朝日新聞朝刊)  テレビ電話会議システムを使った講義が九州・沖縄の4大学の法科大学院で行われている。IT(情報)を活用した遠隔授業で、質が高く、司法過疎を見据えた未来型弁護士の育成を目指す。・・・スクリーンによる授業は、九州、熊本、鹿児島、琉球の国立4大学の法科大学院が連携して勧める最先端の遠隔講義システムだ。NTTに開発を依頼し、1校あたり数千万円をかけて導入した。・・講義中、学生の手元にあるのはノートパソコンだけ・・講義はネットを通じたチャットで行った・・

 要は各ロースクールの教室をTV電話会議で結び共通の講義を行うものです。「最先端IT」というと違和感もありますが、ロースクールの学生がパソコン、ネットに慣れるという意義付けでしょうか。

 以下の指摘もありました。

 離島が多い鹿児島や沖縄では、離島の住民が法律相談をしたくても、弁護士側が「移動時間と費用がかかりすぎる」などの理由で断る場合も少なくない。・・・鹿児島大学は、テレビ電話を活用して法律相談を行い、電子データで資料をやりとりするという将来像を描く。また弁護士が少ない過疎地でも、都市部と同じレベルの司法サービスを住民に提供したいと考えている。

 鹿児島県弁護士会をはじめ九州弁護士連合会の弁護士会は、既にテレビ電話会議による会議を行っていますので、弁護士会側のシステムは利用可能です。

 一方、離島にお住まいの各家庭でテレビ電話会議システムを利用できる人(インターネット環境にある人)がどれ位おられるかというと、なかなか難しいところがあります。弁護士会が自前で、わざわざ各離島にテレビ電話会議を利用できる「法律相談場所」を提供することも非現実的です(むしろ公設事務所を出せるかどうかの問題であり、公設事務所を出せばそもそも面談相談できる)。

 となると、各行政が住民サービスの一環として庁舎内にテレビ電話会議システムを利用できる場所を設置し、それを弁護士会と結んで、テレビ電話会議を利用した法律相談を実施するということはありえるかもしれません。

 最後に残るのは法律相談料の収受。
 例えば福岡県弁護士会はチケット制度といって、行政から一定の料金をまとめて支払ってもらい、当該行政区の住民からの法律相談を無料で実施する制度を広く行っています。
 このチケット制度を利用した行政であれば、法律相談料の収受もないため利用可能かもしれません。

 もっとも行政と折衝してそこまでの「仕掛け」を作っても、ニーズがどこまであるかは検証が必要になりそうです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.10

フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について(7月10日)

 厚生労働省が本日7月10日、フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査結果を発表しました。
   2009年7月10日調査結果

 現在厚生労働省は2週間に1度のペースで調査結果の発表を続けています。
   5月30日報告
   6月13日報告
   6月27日報告

 前回6月27日報告から今回はかなり数字に変動がありました。患者への告知割合がかなり伸びています。

投与年月に回答のあった医療機関 682→876
投与判明した患者数 9836人→1万2745人
患者への告知 4089人(41%)→7399人(57%)

 一方で問題は、未告知の医療機関の中に、「今後告知する予定である」(169人・1%)、「その他(未記入)」(941人・7%)という怠慢というべきケースがあることです。
 また、「連絡先が不明又は連絡が付かない」(2204人・17%)ケースも、かなりあります。

 医療機関は薬害肝炎訴訟で被告にはなっていません。しかしその有効性・有用性に疑問を持ち使用しなかった医療機関や医師が多数いる半面、漫然と投与し続けた医療機関には、最後の1人まで告知する努力が求められています。もちろん厚生労働省にもそれを即していく責務があります。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

検証会議&肝機能障害の評価に関する検討会(第6回)

 第6回の肝機能障害の評価に関する検討会が来週開催されることになりました。
 懸案の肝硬変の障害認定に関する議論がメインテーマとなります。

 傍聴希望者は厚生労働省に申し込む必要があります。7月14日(火曜日)お昼までということです。
 申込み用紙

 日時:平成21年7月17日(金)10時~12時
 場所:厚生労働省17階 専用第21会議室
 議題:肝機能障害について

 また、次回検証会議の日程も決定しました。前回会議での意見を踏まえ時間が延長され、3時間になります。

 日時:平成21年7月29日(水)15時30分~18時30分
 場所:厚生労働省17階専用18~20会議室


| | Comments (0) | TrackBack (0)

ショートメッセージ(SMS)、異なる携帯会社で相互接続へ

 現在は同じ携帯電話会社でしか利用できないショートメッセージサービス(SMS)。
 ドコモが7月8日、ソフトバンクモバイル、KDDI、イー・モバイル、ドコモの4社間で、別の携帯電話会社の加入者間でもSMSを利用できる相互接続の実現のめどがたったことを明らかにしました。
 早ければ2010年度にも利用が開始します。

 確かに弁護士同士や依頼者に連絡する際も、同じ携帯電話会社か否か確認しないで済みますから便利です。

 ただ一方的に携帯にメール連絡が入るというのも億劫といえば億劫かもしれません。

 また「電話連絡されたし。連絡ない場合は職場に訪問します。090-○○○○-△△△△」というメッセージが入る、いわゆるSMSを利用した架空請求の増加が報告されています。

   宗像市消費生活センターの報告
   北海道立消費生活センターの報告
   鹿児島市消費生活センターの報告
   国民生活センターの報告

 SMSの相互乗り入れでこのような架空請求も増えると予想されますので注意が必要です。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.09

水俣病救済法成立、あらたな始まり

 水俣病救済法が7月8日、参議院本会議で可決され成立しました。
 第2の政治決着の問題点は既に「水俣病救済法、成立へ」でまとめた通りですが、集団訴訟の歩みにとってはまた別の意義があるでしょう。

 まず一つは最高裁判所が果たした役割です。

 関西水俣病最高裁判決(平成16年10月15日判時1876号3頁)は、国と熊本県の規制権限不行使の違法を正面から認めました。
 この時点で既に当時の村山連立内閣が水俣病患者に対してあわびを表明し、チッソとの間でも協定書が調印されていました。
 ですから、既に高裁段階で原告と企業が和解していたクロロキン薬害事件において、最高裁が「極めて限界的な事例」(調査官解説)と指摘しながら国の責任を認めなかったのと同じように、水俣病訴訟でも「政治決着済み」であることで、国を免責する方向に傾きかねない(もちろん判旨に出ないにせよ)ところでした。
 しかし最高裁は正面から検討して、国の責任を認めました。
 「人の命と健康」がかかわる場面で、司法が積極的に判断していく姿勢を最高裁が打ち出し、それが第2の政治決着を引き出したということができます。

 2つめは、機能不全を起こしている行政(官僚組織)を、国会が立法によって正していくという手法です。

 ハンセン病訴訟、中国残留孤児訴訟、薬害肝炎訴訟と、行政が踏み出せないときに司法判断を参考にしつつ、国会は特別措置法などの立法によって被害回復の道筋を付けました。水俣病訴訟でも採用されたこの手法が、定着しつつあると指摘できるでしょう。

 3つめは、半世紀に渡る水俣病問題が新たなステージを迎えたということです。

 集団訴訟の先駆けとも言われる「4大公害訴訟」の一つである水俣病訴訟は、1967年6月に新潟水俣病訴訟が、1969年6月に熊本水俣病訴訟が提起されました。
 その後、未認定患者の救済を求めた「第2次訴訟」、国の責任を問うた「第3次訴訟」、そして関西水俣病最高裁判決と、今日まで紆余曲折を経ながら闘われてきました。

 訴訟を継続している原告弁護団は第2の政治決着に合意していませんし、残された課題(賠償額、訴訟の取り扱い、被害実態調査)が山積しています。
 水俣病救済法の成立は最終的な解決ではなく、問題があらたなステージを迎えたことを意味するだけであり、集団訴訟としての歩みはこれからまだ続いていくことになるでしょう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.08

「クレジットマスター」でカード番号不正利用

 クレジットマスターで他人のカード番号を不正に割り出し商品を購入したとして、大阪市の女性(21歳)が窃盗と電磁的記録不正作出・供用の罪で起訴されたようです。

 「クレジットマスター」とは以下の手口です。
 まず、クレジットカードの規則性を悪用する自動ソフトによって「存在する可能性の高いカード番号」を抽出します。そして、「カード番号」と「有効期限」だけで購入できる通販サイトを利用し、アットランダムに打ち込んでいきます。使えるカード、つまり実在の他人名義のカード番号にたどりついたところで、不正利用するというものです。

 かなり前から報告されていますが、逮捕起訴されたのは初めて。

 消費者は被害を避けようがありませんし、誰もが被害者になる可能性があります。
 カード明細(請求書)を見て身に覚えのないカード利用があれば、直ちにカード会社に申告して引き落としを止めるほかないでしょう。引き落としを受けた後でもカード会社に申告すれば、大抵のカード会社では、カードの不正利用についての補償制度が設けられています。

 このように、消費者はカード明細さえ把握していれば過剰に反応する必要はありませんが、便宜さを追い求めている「通販サイト」が暗証番号入力を要求するなど、対応を行う責務があるといえそうです。

 ちなみに、クレジットマスターのみの被害額は不明ですが、日本クレジット協会の調査では、今年1月から3月までのカード不正利用による被害額は25億9000万円といいますからかなりの社会的損害です。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

2009.07.07

「制度改革訴訟と弁護士の役割」(法律時報)

Houritujiho0907法律時報(日本評論社)の最新号(7月号)の特集は、「制度改革訴訟と弁護士の役割」です。
 「訴訟活動と制度改革を結ぶ担い手として、弁護士の役割に焦点をあてた」(上柳敏郎弁護士「訴訟活動と制度改革をつなぐもの」5頁)ものであり、いわゆる「集団訴訟」に対して弁護士がどのようにかかわってきたのか、現にかかわっているのか、そしてどのようにかかわるべきかをまとめています。

 淡路剛久早稲田大学教授の「被害者救済から権利拡大へー弁護士による社会運動としての「制度改革訴訟」」と題する論文(6頁)は、四大公害訴訟から集団訴訟の歴史をひもといて、その相違点・共通点を整理した後、弁護士が集団訴訟に関わる要因(動機)を分析しています。

 具体的な事件としては、薬害肝炎訴訟について、薬害肝炎東京弁護団員の濱野泰嘉弁護士が的確な論考を寄せているほか(16頁)、国籍法違憲判決、全国トンネルじん肺訴訟、貸金業法改正、生活保護、建築紛争、金融サービス、過労死などについて、それぞれ弁護士が論じています。

 最後に、梶村太一弁護士が、元裁判官の視点から「裁判官の習性」(48頁)を前提に、弁護士への注文、裁判官への期待を論じており参考になります。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.06

毎日新聞もTwitter(トゥイッター)

 朝日新聞に続いて毎日新聞もTwitter(トゥイッター)を開始したようです。
  毎日新聞

 朝日に比べて毎日は、題名を「つぶやき」っぽく設定するなど工夫しているようですね。

 といっても朝日も当初サッカー日本代表戦でかなりおもしろい?生中継をしてネットでも評判を呼びましたので、秋から再開する日本代表の親善試合(次は10月10日スコットランド戦?)に注目でしょうか。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

宮崎、佐賀、肝炎基本法制定を求める意見書採択

 6月の宮崎県議会、7月3日の佐賀県議会において、肝炎基本法制定を求める意見書が採択されました。
 佐賀は、薬害C型肝炎原告の藤原和子さん、予防接種B型肝炎原告の梁井さんらが精力的に動いた成果です。
 以下は佐賀県で採択された意見書です。

   肝炎対策のための基本法の制定を求める意見書

 我が国のB型およびC型ウイルス肝炎患者・感染者数は、B型が110万人~140万人、C型が200万人~240万人存在すると推定されており、国内最大の感染症として抜本的対策が求められている。多くの患者は、輸血、血液製剤の投与、及び注射針・筒の連続使用による集団予防接種等の医療行為によって肝炎ウイルスに感染した。その中には、医療・薬務・血液行政の誤りにより感染した患者も含まれており、まさに医原病といえる。

 B型、C型肝炎は、慢性肝炎から肝硬変、肝がんに移行する危険性の高い深刻な病気である。肝硬変・肝がんの年間死亡者数は4万人を超え、その9割以上がB型、C型肝炎ウイルスに起因している。また、すでに肝硬変・肝がんに進展した患者は長期の療養に苦しみ、生活基盤を失うなど経済的にも多くの困難に直面している。

 平成20年度から、国の「新しい肝炎総合対策」(7ヵ年計画)がスタートしたが、法律の裏付けがない予算措置であるため、実施主体である都道府県によって施策に格差が生じている。適切なウイルス性肝炎対策を全国的規模で推進するためには、肝炎対策に係る「基本理念」や、国や地方公共団体の責務を定めた「基本法・根拠法」の制定が必要である。

 よって、本議会は、すべてのウイルス性肝炎患者救済のため、国に対し緊急に下記の施策を講ずるよう強く要請するものである。

                            記
ウイルス性肝炎対策を全国規模で等しく推進するために、肝炎対策のための基本法を早期に成立させること。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

2009.07.03

民法(債権法改正)への福岡県弁護士会の取組

 民法(債権法)の改正論議が活発になってきました。
 経過は以下の通りです。

 まず、民法(債権法)改正検討委員会(鎌田薫委員長、内田貴事務局長)が2006年に発足。改正検討委員会は、第1準備会から第5準備会まで分かれて議論し、その結果が「債権法改正の基本方針」として2009年4月に発表されたものです(「総特集 債権法改正の基本方針」NBL904号)。

 今秋にも法制審議会において議論が開始する可能性がありますので、実務家の視点からも早めに問題提起していくことが必要です。
 福岡県弁護士会も司法制度委員会の中に「民法改正部会」を立ち上げ、私も委員に委嘱されました。

 消滅時効の検討において、民法724条の除斥期間の規定も検討する必要があるとして、第5準備会が検討を行っています(民法(債権法)改正検討委員会・全体会議(第5回)議事録)。

 集団訴訟の視点としてはやはり724条の解釈論が一つの大きな論点になりますから、消滅時効に関して積極的に検討を加えてみたいと思っています。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.02

水俣病被害者救済法、成立へ

 半世紀に渡り争われている水俣病訴訟。第2の政治決着が行われそうです。

 1995年6月、当時の連立与党(村山総理)が、未認定患者を救済する政治解決を行ったものの、その後2004年、関西水俣病最高裁判決(最高裁平成16年10月15日判決判時1876号3頁)が、より幅広い症状を水俣病と認定した上で、水質二法の趣旨、目的について「この権限は、当該水域の水質の悪化にかかわりのある周辺住民の生命、健康の保護をその主要な目的の一つとして、適時にかつ適切に行使されるべきものである」として、国と熊本県の不作為を違法と判断しました。

 そのため、2004年以降も新たな被害者が追加提訴を行うなど、紛争が継続していたものです。

 与党は、民主党が求めていた5症状のうち、「大脳皮質障害による知的、精神、運動障害」を除く4症状を水俣病として法律に明記する方向で歩み寄る見込みです。
 法律に明記される4症状は、「全身性の感覚障害」、「口の周囲の触覚もしくは痛覚の感覚障害」、「舌の二点識別覚の障害」、「求心性視野狭さく」。

 なぜこの時期に合意に至ったかという背景には、選挙前に少しでも懸案を解決して得点を稼ぎたい与党、政権交代後に懸案を抱えたくない民主党のそれぞれの思惑がありました。

 民主党は、水俣病訴訟弁護団事務局長であった松野信夫参議院議員を与野党協議の窓口責任者にしていました。しかし、「チッソの分社化の是非」を巡り平行線をたどるため、与党の申し入れを受けて、山岡賢次国会対策委員長が引き取り、一気に政治決着に突き進んでいるものです。

 法律の対象となる被害者は3万人前後とも言われること、そして当初与党が法案に盛り込んでいた「地域指定の解除」が削除されること、申請期間を3年に限定する案を撤回したことなど、被害救済の側面からいえば一定に評価は下せるでしょう。

 しかし一部被害者団体が強く反対している「チッソの分社化」が容認される見込みであるため、今後に禍根を残しかねません。
 先日6月30日、薬害肝炎原告団弁護団が民主党鳩山代表と面談した際も、患者会の方々や弁護団が雨の中、衆議院議員会館の前で抗議の座り込みを行っていました。
 水俣病発生の原因企業であるチッソの分社化によって、責任の所在が曖昧にならないように、そして被害者救済を貫徹する枠組み作りが求められています。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2009.07.01

鳩山民主党代表に要請

 薬害肝炎原告団10名、日肝協2名、B型肝炎原告団2名、薬害肝炎弁護団が6月30日、民主党本部において鳩山代表と面談して、肝炎患者支援法の今国会での成立を改めて要請しました。
 民主党側は鳩山由紀夫代表にくわえ、藤村修ネクスト厚生労働大臣、仙石由人議員、山井和則議員、菊田真紀子議員。

 まず山口美智子薬害肝炎原告団代表からこれまでの肝炎患者支援法の全国キャンペーンの状況、各自治会決議が続々とあがっている状況などを説明しました。Hatoyama_mendan
 続いて日肝協の幹事の方も、「肝炎患者はもう待ったなしの状況です。インターフェロン治療の助成も6万人の予算が使われずに終わりそうです。8割の国民が肝炎ウイルス検査を受けていません。法律でガードして頂き、治療体制の整備を勧めて欲しい」と訴えました。
 B型肝炎原告さんも、「提訴準備中や裁判中に亡くなる方も出てきています。最高裁判決にもかかわらず、国は何も動かなかった。B型肝炎の大半の患者は抗ウイルス薬を一生飲み続けないといけないんです。その累積医療費はIF治療をしのぐほど高額になります。是非とも法律を作って頂きたい」と述べました。


 これら3団体の訴えを受けて鳩山代表は、「本日来てくださったことに感謝しております。皆さんの話をうかがいながら、1人1人の気持ちを大事にする政治をしていかないといけないと痛感しました。民主党政権を取った暁には国の責任を明記した法律を成立させます。ただ、まだ時間は残っていますので、藤村議員・山井議員に粘って頂いて、民主党の法律に従わせる形でも成立するように、努力を惜しまずにやっていきたい」、「これを機会に自分自身も勉強して先頭にたってやっていきたい。治療体制の整備などお約束していきたい」とこたえました。

 藤村議員も、「明日も理事懇談会が予定されている。最後まで諦めずに明日も民主党としては、自民党に対して今国会での成立を提案したい」と述べました。

 国民の命と健康にかかわる問題を放置せずに最後まで全力を尽くす気概があるのか。
 「政権を取れたらする」「政権を取れないとしない」では国民の理解は得られません。
 民主党の対応を注視したいと思います。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« June 2009 | Main | August 2009 »