厚生労働省に設置されている医療ADR連絡調整会議(座長一橋大大学院山本和彦教授)の第4回会議が、6月13日開かれ、各地弁護士会が行っている医療ADRについてのヒアリング・意見交換を行いました。
ADRとは裁判外紛争解決機関のこと。
日弁連は医療問題解決の選択肢を広げるため医療ADRの設置を奨励し、現在、福岡県弁護士会を含む11弁護士会に設置されています。
この日は愛媛弁護士会、岡山弁護士会の医療ADRの実践例が報告。
愛媛弁護士会の医療ADR(2010年3月設置)は、申立件数6件で、うち4件は不応諾、1件は取り下げという状況です(不応諾というのは医療ADRでの話し合いのテーブルに着くこと自体を拒否すること)
一方、岡山弁護士会の医療ADR(2009年9月設置)は、13件の申し立てのうち、8件は不応諾、応諾は3件にとどまるようです。
私も福岡県弁護士会の医療ADRの患者側仲裁員として関与していますが、担当した5件のうち応諾1件(和解も成立)。医療機関側の理解を広げ、応諾率の上昇が課題であることは間違いないでしょう。
もっとも福岡県弁護士会の医療ADRの応諾件数は、愛媛・岡山より多いようですから、それなりの成果が出ているほうかもしれません。
またそもそも、過失の有無、因果関係などが激しく争われる事案は、医療ADRになじまず、訴訟手続きが不可避。その意味で医療ADRには内在的な限界があります。
過失に争いがなく損害額に若干の開きがあるケース、過失・損害に争いはないが事案解明・謝罪を求めるケースなどには使い勝手の良い制度。
患者側・医療機関側にとって、「選択肢の一つであること」自体にそれなりの意義があるのだと思います。
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小山信彌構成員は、所属する日本病院団体協議会が会員病院に行ったアンケートの結果を引き合いに、医療側が考える医療ADRのデメリットとして、『医療上の内容討論がなされないまま、金での解決となるため、(医療側の)当事者としては不本意』『賠償金額について患者側と歩み寄りが可能な事案では有用だが、そうでない場合は“訴訟の前段階”という印象』などの意見が上がったことを紹介し、「中立的な医療ADRの話し合いであれば、ゼロ円から始まるべきでは」と述べた。
また前田津紀夫構成員(全国有床診療所連絡協議会)は、同協議会の会員のほとんどが医師会に所属しているため、医事紛争となった場合には日本医師会の医師賠償責任保険から補償額を出すことになると指摘。そのため、「金で決着させる現時点の(医療ADR)の在り方では、まず(医療側の)担当弁護士から応諾することを止められる」「日医の理解と協力がなければ難しい」と述べた(6月13日付キャリアブレイン)
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