現在、ハンセン病療養所・大島青松園の入所者数は121名です。700名を越えていた時期もありましたから、今や6分の1以下となりました。入所者数減に伴い大島青松園の介護士・医療関係者数の定数削減が進んでいます。そのため、大島青松園における入所者の医療介護の質をどのように維持していくかが、今問われています。
平成21年3月15日、香川県社会福祉総合センターにおいてでシンポジウム(ハンセン病問題基本法制定をすすめる会主催)が開催されました。パネリストは、全療協の神美知宏さん、ハンセン瀬戸内弁護団の神谷誠人弁護士、青松園の自治会会長の森和男さんの3人です。
神さんはご自分の被害体験に基づき社会の理解を求め、神谷弁護士は、「実に半年で94万人が請願書面に署名しましたこの法律は、法律によって人生をおしつぶされてきた被害者が、人間回復のために制定運動を行い、成立した法律です」と説明しました。
森さんは、大島青松園の実情をふまえ、次のように訴えました。
「平均年齢は79歳を超えました。毎年10名以上亡くなっています。10年後には50人前後になると予想されます。療養者たちはどのように今後生活できるのか不安です。国は最後の1人まで面倒を見ると言っていますが、具体的な提案は全くなされません。法律の施行を前に昨年11月、青松園の将来構想を考える検討会を立ち上げました。療養所を医療施設として維持していくために何か方策がないか、国の施設を誘致できないか議論しました。しかし明確な将来ビジョンを決めることがなかなかできません。それはやはり全国の療養所の中でも唯一の離島にあること、これが大きなハンディキャップになっています。何とか基本方針だけは決めました。それは、大島の地に永住すること、現在の医療介護の体制を維持するよう求めること、国が提示した具体的ビジョンについてあらためて必要に応じて検討することという点です。今後、地域の皆さんとの共生を考えていかないといけません。そのためにも、ハンセン病問題基本法について理解して頂くことが大事です。どのように地域住民の皆さんに大島青松園を開放していくのか。非常に難しい問題ですが、一緒に考えて頂ければと思います」
ハンセン病問題基本法(ハンセン病問題の解決の促進に関する法律)は平成20年6月11日に成立し、平成21年4月1日に施行されます。
「ハンセン病訴訟」は1998年、熊本地裁に国賠訴訟が提訴され、2001年の全面勝訴判決、控訴断念により解決しました。裁判等の補償問題は解決しつあります。一方で、90年以上の隔離政策を国が行い差別偏見を助長してきた「ハンセン病問題」には、いまだ解決すべき問題が残されています。この点について、ハンセン病問題基本法も前文で、「国の隔離政策に起因してハンセン病の患者であった者等が受けた身体及び財産に係る被害その他社会生活全般にわたる被害の回復には、未解決の問題が残されている」と指摘している通りです。
そして同法は、特に緊急に解決が必要な課題として、「地域社会から孤立することなく、良好かつ平穏な生活を営むことができるようにするための基盤整備」と「ハンセン病の患者であった者棟に対する偏見と差別のない社会の実現」を掲げています。
大島青松園を含め、全国13の療養所で法律を具体的に実現するためには、療養者関係者だけではなく、地域社会がとともに悩み、考え、話し合っていくことが求められています。
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