2009.10.02

ポニョの海、埋め立て差し止め

 広島県福山市の鞆の浦(とものうら)の埋め立て架橋事業について、行政訴訟法に基づき知事の埋め立て免許差し止めを求めた訴訟で、広島地裁は10月1日、免許差し止めを命じました。鞆の浦は、映画「崖の上のポニョ」の舞台としても知られるほか、万葉集にもうたわれている景勝地です。

 広島地裁は、「鞆の浦の景観は、文化的・歴史的価値を有し、国民の財産というべき公益であり、景観利益は法律上の保護に値する」と判断しました。
 景観利益の法益保護性については、既に最高裁平成18年3月30日判決(判時1931号3頁)が、国立市の景観訴訟で認めていました。

 ただ最高裁は、「都市の景観は、良好な風景として、人々の歴史的又は文化的環境を形作り、豊かな生活環境を構成する場合には、客観的価値を有する」と判断していたものです。
 つまり、「景観利益」を「都市の景観」と明言しており、「都市以外の自然景観の近隣住民まで及び得る・・余地はないわけではないが、本判決が『人々の歴史的又は文化的環境を形作』ってきたと指摘していることから、ハードルは高いであろう」(大塚直「国立景観訴訟最高裁判決の意義と課題」(ジュリスト1323号77頁)とも指摘されていましたから、広島地裁判決は、より踏み込んだ判断といえるでしょう。

 また、最高裁は、景観利益が709条に規定される「法律上保護される利益」に該当すると判断しただけで、それ以外の局面における景観利益について判断したものではなかったこと、景観利益侵害に基づく差し止めまで認められるかという問題については判断していなかったこと(最高裁調査官解説・法曹時報61巻3号252頁)からも、広島地裁判決は、最高裁判決をより進めたものといえます。

 このような「まるで明治維新のような画期的な判決」(原告団長コメント)が出た背景には、行政訴訟法が改正されていたこともありますが、既に前政権下においても、国土交通相が「国民同意が必要」として認可せず手続きが事実上停止していたこと、政権交代により現政府が公共事業全体に慎重な姿勢を見せていることなども、裁判長の背中を押したのかもしれません。

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2009.08.18

「集団訴訟実務マニュアル」の出版

0908kogabook2_2 「集団訴訟実務マニュアル」古賀克重著(日本評論社)を8月18日に出版しました。
 各集団訴訟の各裁判史はありましたが、集団訴訟全般について原告側弁護士が記した書籍は初めてとなります。

 私がかかわった集団訴訟は、薬害エイズ訴訟、ハンセン病違憲国賠訴訟、薬害肝炎訴訟、宗教法人法の華訴訟、預貯金過誤払訴訟などですが、これらの訴訟を通じて感じたエッセンスを残しておくことも少しは意義があるのではないかと思ったのが、企画の出発点でした。
 一方で、自分の体験だけにとどまる狭い内容にはしたくなく普遍性をもった記述を目指しました。そのため、サリドマイド、スモン、薬害エイズ、薬害ヤコブ、水俣、じん肺などの裁判史、参考文献、論文も可能な限り入手して目を通していきました。

 書き始めてみると大変でなかなか前に進みませんでしたが、日本評論社の編集部Tさんにも励まされつつ何とか書き終えることができました。

 内容的には、弁護団運営、原告団運営、集団訴訟の主な法的論点、書式にくわえ、支援の取り組み方、マスコミとの関係、国会対策、会計などにも言及しています。
 集団訴訟にかかわる弁護士や将来の法律家を目指す学生さん、支援者の方々、集団訴訟や司法に興味を持つ一般の方にも手にとっていただけると嬉しい限りです。

 ちなみに書籍のカバーの右上の図柄は、原告・弁護団だけではなく、支援者、学生、マスコミ、議員などたくさんの人々が関わる集団訴訟の特質から、人々が手を繋ぐイメージです。

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2009.08.06

医療ADR(仲裁センター)福岡も立ち上げへ

 福岡県弁護士会の紛争解決センター運営委員会は、日弁連の呼びかけに応じて、福岡にも医療ADRを立ち上げるべく準備を進めています。

 医療ADRの意義
 医療ADR福岡県弁護士会の取組

 訴訟前において患者サイド、医療機関サイドの仲裁をいかに図るかという点がポイントになります。そのために、患者側で医療事故を扱う弁護士、医療機関側で医療事故を扱う弁護士、中立的な立場の弁護士(元裁判官など)の3者が、それぞれ選任されるのが特徴です。
 私も患者側弁護士として仲裁人候補者になりました。

 9月には第二東京弁護士会から医療ADRの経験者を講師としてお招きして、仲裁人候補者の研修を行った上、10月1日からスタート予定です。
 福岡以外の各地でも様々なシンポジウムなどが開催予定です。

 「医療仲裁センター岡山」設立記念シンポジウム」

 平成21年8月29日(土) 午後2時~5時
 場所:ピュアリティまきび(岡山市北区下石井2-6-41)
 内容:第1部 基調講演 「医療ADRに期待するもの」
    第2部 シンポジウム 「対立から対話へ ~納得のいく解決に向けて~」

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2009.08.04

個人年金保険の銀行窓口販売に関するトラブル

 2002年10月に銀行窓口で販売開始した個人年金保険についてトラブルが増えています。
 国民生活センターの集計によれば、1398件の相談が寄せられ、特に2008年度の相談件数は477件と前年度の2・3倍に達したようです。

 被害者は70歳台が4割近くを占め平均年齢は66・8歳。被害金額で一番大きい層は、「1000万円以上」が378件、「500万円台」が217件と高額被害が特徴です。

 被害者が銀行窓口で契約するケースが61・1パーセントに達しますが、「元本は減らない」、「あなたにピッタリの新商品」、「子どもに確実に残せる上に年3パーセントの利子がつく」などと執拗な説明を長い時間受けて、高齢者が根負けして契約するケースが多いようです。

 国民生活センターは、消費者へのアドバイスとして、「販売員の説明だけで判断せず、必ず資料を確認すること」、2「理解・納得できなければ、書面に署名捺印しないこと」などを指摘しますが、さらに高齢者の方は、配偶者や子どもさんにまず相談すること、定期預金ではなくあくまで「リスクの伴う保険商品であること」を理解する必要があるでしょう。

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2009.07.31

民法成年年齢の引下げ最終報告書

 民法の成年年齢の引下げについての最終報告書(第2次案)が、法務省サイトにアップされました。
 最終報告書を取りまとめる15回会議で配布された資料ですので、若干内容は変わるかもしれませんが、大枠はこれで分かります。25頁(末尾参考資料等をいれると39頁)ありますが、わかりやすい内容にまとまっています。

  最終報告書(第2次案)

 先日のエントリーで指摘した「他の法令への波及」という問題点については、次のように注釈で指摘しています。

 なお、部会では、民法の成年年齢の引下げのみの検討を行い、その他の法令(未成年者飲酒禁止法、少年法等)については、年齢条項の見直しに関する検討委員会の決定に沿って、それぞれの法令を所管する府省庁・部局において検討が行われることと考えている。したがって、部会においては、民法の成年年齢の引下げがその他の法令に及ぼす影響については検討の対象としておらず、ここでいう民法の成年年齢の引下げは、未成年者飲酒禁止法や少年法等の年齢の引下げを含意するものではない(注2、3頁)。

 「他の法令への波及効果」が、民法成年年齢引下げ議論に後ろ向きの影響を与えないように、慎重な書きぶりで予防線を張っていますが、国会等で審議される際には、他の法令に波及させるか否かは検討せざるを得ないでしょうし、事実上、議論を引き起こしますので注意が必要です。

 18歳・19歳を成人として取引対象にすることによって拡大しかねない消費者被害対策としては、以下のように指摘しています。

 ア 若年者の社会的経験の乏しさにつけ込んで取引等が行われないよう、取引の類型や若年者の特性(就労の有無、収入の有無等)に応じて、事業者に重い説明義務を課したり、事業者による取引の勧誘を制限する、イ 若年者の社会的経験の乏しさによる判断力の不足に乗じて取引が行われた場合には、契約を取り消すことができるようにする ウ 若年者が消費者被害にあった場合に気軽に相談できる若年者専用の相談窓口を消費生活センターに設ける エ 18歳、19歳の者には契約の取消権がないということを18歳、19歳の者に自覚させるような広報活動をする オ 特定商取引に関する法律7条3号、特定商取引に関する法律施行規則7条2号では、老人その他の者の判断力の不足に乗じて一定の取引をした場合には、主務大臣が販売業者に対して、必要な措置を指示することができる旨の規定が置かれているが、ここに「若年者」を付け加えるなどの意見がだされた(16頁17頁)。

 ウ、エなどは、消費者3大被害者層(若年、高齢者、主婦)に共通な施策ですし、そもそもあまり実効性はないと思われます。
 実務的なポイントは、イの規定内容になるでしょうか。

 

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2009.07.30

「成人18歳」法制審議会(民法成年年齢部会)の最終報告

 法制審議会の民法成年年齢部会は7月29日、民法の成人は18歳が適当とする最終報告書をまとめました。ただし、法改正の時期は、国会の判断に委ねるべきとしています。

  民法成年年齢部会の名簿

 「成人」に関連する主立った現在の民法の条文は下記の通りです。

 年齢20歳をもって、成年とする(4条)

 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる行為については、この限りではない(5条1項)

 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる(5条2項)

 男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることができない(731条)

 成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない(782条)

 成年に達した者は、養子をすることができる(792条)

 未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない(798条)

 成年に達しない子は、父母の親権に服する(818条1項)

 後見は、次に掲げる場合に開始する(838条)
 一 未成年者に対して親権を行う者がないとき・・

 20歳を成年とする規定は、明治9年にさかのぼります。
 明治9年4月1日太政官布告第41号が、「自今満二十年ヲ以テ丁年相定候」としました。旧民法が、「丁年」を「成年」と改め、さらに現行民法に引き継がれたものです(遠藤浩「基本法コンメンタール・民法総則・第5版」(日本評論社、26頁)。

 江戸時代は元服すれば「大人」とみなされていましたが、明治政府は、21歳成人を主流としていた当時の欧米諸国を模倣して、「20歳成人」と定めたようです。

 では現在の各国の制度はどうなっているでしょうか。

 18歳 アメリカ(一部除く)、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、ロシア、オランダ、中国

 20歳 日本、韓国(但し選挙権は19歳から)、台湾、タイ(但し選挙権は18歳から)、ニュージーランド

 21歳 アルゼンチン、エジプト、南アフリカ、モナコ(但し、いずれも選挙権は18歳から)

 そのほか、法務省によると、昨年8月に調査した187国のうち141国が、18歳を成人としているとのことです。
 ちなみに、天皇・皇太子・皇太孫の成年は、現在も18歳です(皇室典範22条)。

 一方、引き下げによる弊害はないのでしょうか。
 確かに、大学生や20歳前半の消費者被害(呉服商法、インターネット詐欺、ネズミ講など)は、弁護士相談にも比較的多数寄せられています。成年を引き下げた場合さらに被害が拡大する可能性はあるでしょう。
 しかしこの点は法制審議会が、「引き下げで生じる恐れがある消費者被害対策の充実を条件」としており、評価できます。
 
 一番の問題は、191件にものぼるこ成人年齢に関する法律の取扱でしょう。
 例えば、少年法は、20歳未満の少年を対象としていますが、民法における成人年齢引き下げに伴い、少年年齢も引き下げるとなると、少年保護行政は根本からの大転換に迫られます。
 その他にも、公職選挙法はもとより、未成年者飲酒禁止法、未成年者喫煙禁止法、銃刀法、競馬法、モータボート競争法、医師法、税理士法などが関連してきます。

 いずれにせよ総選挙後の国会審議に委ねられますが、過去に「民法、少年法の成人年齢を18歳に」としていた民主党も、今回のマニフェストからは外しており、先行きは不透明です。
 また、今回の最終報告書はあくまで成年年齢部会のものにすぎず、正式に法務大臣に諮問されるためには、9月の法制審議会総会で可決される必要もあります。

 臓器移植法改正のときのようにバタバタと決めるよりは、民法成年年齢部会が、選挙前のこの時期に早めに国民、国会に問題提起したことは意義があるでしょう。

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2009.07.27

消費者庁はいずこへ

 8月末から9月にかけて、「消費者行政活性化事業」の一環として、福岡県消費生活相談員の研修が開催されます。今回私に講師依頼があったのは、その中の「情報通信サービスに関わる法律と基礎知識」というコマ。「情報通信サービス分野における新たなサービスの提供と新しい消費者問題について講義してください」ということですので、Twitter(ツイッター)なども取り上げてみたいと思って準備中です。

 この事業のそもそもの出発点は、消費者庁関連予算が計上されたことです。
 「地方消費者行政活性化のための基金」などに、平成20年度補正予算で255億円が計上されていました。

 消費者庁関連予算の概要

 政局の嵐の中で「消費者庁問題」はまだまだ影が薄い感じもしますし、選挙結果次第ではどこに向かうか不透明感もつきまといます。

 しかし「消費者庁設置は、消費者が主役となる国民本位の行政へのパラダイム・シフトを実現するものともいえ、その歴史的意義は大きく、戦後の行政機関の新設の中で、環境庁設置に匹敵するもの」(宇賀克也『消費者庁関連3法の行政法上の意義と課題』(ジュリスト1382号、36頁)とも指摘されています。

 消費者庁の趨勢は、裁判員制度とともに、司法が真の意味でこの社会に根付くかを問うている試金石のように思えます。

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2009.07.24

九州弁護士連合会が一斉テレビCMを実施へ

 東京の法律事務所による地方での積極的なTVCMは、弁護士広告自由化を積極的に活用する営業努力といえますが、一方で、過払い事件を念頭においた「食い散らかしではないか」という批判も絶えずつきまといます。

 この点、九州弁護士連合会(福岡県弁護士会、佐賀県弁護士会、長崎県弁護士会、熊本県弁護士会、大分県弁護士会、宮崎県弁護士会、鹿児島県弁護士会、沖縄弁護士会)は、多重債務無料相談キャンペーンにあわせて、九州各県で一斉にTVCMを放映できないか協議中です。

 弁護士会や各地弁護士連合会が主体となって法律相談の掘り起こしを行い、会全体で相談にこたえていく体制作りも、今後の一つの方向性のように思えます。

 なお、福岡県弁護士会は、多重債務相談だけではなく交通事故相談についてもCMを放映しているほか、同会広報PTでは今後、他の分野(例えば、相続遺言、家事離婚など)についてのCM放映も鋭意検討中です。

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2009.07.17

ツークリック詐欺

 メール送信した偽サイトにアクセスさせて個人情報を盗み取る「フィッシング詐欺」、ネットオークションを利用した「オークション詐欺」、クリックすると数万円の利用料金を請求する「ワンクリック詐欺」などインターネットを利用した様々な「悪徳商法」が引きも切らず発生しています。

 国民生活センターの発表している被害事例
 警視庁の説明

 「HTAを利用した新たなワンクリック詐欺」が報告されていましたが、さらに、「ツークリック詐欺」も見受けられるとのことです(トレンドマイクロの説明会

 この発展形とも言えるツークリック詐欺では、「電子消費者契約法」などを意識してか、ユーザーに同意を求める表示が何度も繰り返し表示される。およそこの手のサイトでは、じっくり契約内容や表示を読むユーザーは少なく、ダイアログが出てきてもどんどんクリックしてしまうことが多いというが、実はここに、ぱっと見ただけでは気付かれないように「入会金X万円を支払う」旨が明示されている。

 さらに、あえてコンテンツを少しだけ見せることで、「よく確認せずにクリックした自分が悪い、対価を支払わなければならない」と思わせるように仕向けるという。

 何回もクリックさせることで支払いを拒絶しにくい心理状況に陥らせる点がキモです。構造はワンクリック詐欺と全く同様であって支払う必要はありません。

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2009.07.15

解散で17法案が廃案、肝炎基本法も成立せず

 民主党などの野党が14日、首相問責決議可決を受けてすべての国会審議に応じない方針を決めたため、衆議院にかかっている法案が解散により廃案となることになりました。

 薬害C型肝炎原告団・B型肝炎原告団・日本肝臓病団体協議会が、昨年来求めていたB型・C型問わず「肝炎患者の治療費助成」などを国の責務として定める法律(「肝炎対策基本法」与党衆議院議員提出、「特定肝炎対策緊急措置法案」野党衆議院議員提出)も成立せず、廃案になります。
 本日15日15時から、薬害C型肝炎原告団代表の山口美智子さんほか3団体は、厚生労働省記者クラブで会見します。

 政局に翻弄され廃案となるのは、政府提出の17法案だけではなく、議員立法の91法案も合わせて合計108法案です。
 法案の成立率は89・9パーセントとねじれ国会前の水準に近づきましたが、法案の具体的な中身に目を向けるとかなりの重要法案が廃案になったことが分かります。

 まず、廃案となる政府提出法案の中では、共謀罪を創設する「組織犯罪処罰法改正案」、公務員などが加入する共済年金を厚生年金と統合し、保険料率を一本化する「被用者年金一元化法案」、原則1割の自己負担を見直す「障害者自立支援法改正案」、国連安全保障理事会決議によって北朝鮮に出入りする船舶への貨物検査を可能にする「北朝鮮貨物検査特別措置法案」、中央省庁の幹部人事を一元管理するために内閣人事局を新設する「国家公務員制度改革関連法案」、日雇い派遣の原則禁止を盛り込んだ「労働者派遣法改正案」などの重要法案が廃案になります。
 
 そのほかの政府提出法案は、「地方公務員法・地方独立行政法人法改正案」、「独立行政法人統計センター法改正案」、「行政不服審査法案」、「行政不服審査法施行関係法整備法案」、「行政手続法改正案」、「独立行政法人通則法改正案」、「独立行政法人通則法施行関係法整備法案」、「独立行政法人気象研究所法案」、「成田国際空港株式会社法改正案」、「確定拠出年金法改正案」、「小規模企業共済法改正案」の合計17法案です。

 政府提出法案以外では、与野党で合意できていた児童ポルノ写真などの単純所持を禁止する「児童買春・児童ポルノ禁止法改正案」が廃案になります。

 そのほか国政選挙における候補者の納める供託金を引き下げる「公職選挙法改正案」、政党が解散を決めた後に政党交付金を政治団体に寄付することを禁じる「政党助成法改正案」、企業・団体献金を禁止する民主党提出の「政治資金規正法改正案」、株価の大幅下落に備え、政府が市場から株式を買い取る仕組みを整備する「資本市場危機対応臨時特例措置法案」、後任者決定まで前任者の職務継続を認める「国会同意人事職務継続規定法案」、11月12日を休日にする「天皇在位20年記念日休日法案」なども廃案になります。

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2009.07.13

「最先端ITで弁護士育てる」

 朝日新聞の記事からです。

 「最先端ITで弁護士育てる」(7月13日朝日新聞朝刊)  テレビ電話会議システムを使った講義が九州・沖縄の4大学の法科大学院で行われている。IT(情報)を活用した遠隔授業で、質が高く、司法過疎を見据えた未来型弁護士の育成を目指す。・・・スクリーンによる授業は、九州、熊本、鹿児島、琉球の国立4大学の法科大学院が連携して勧める最先端の遠隔講義システムだ。NTTに開発を依頼し、1校あたり数千万円をかけて導入した。・・講義中、学生の手元にあるのはノートパソコンだけ・・講義はネットを通じたチャットで行った・・

 要は各ロースクールの教室をTV電話会議で結び共通の講義を行うものです。「最先端IT」というと違和感もありますが、ロースクールの学生がパソコン、ネットに慣れるという意義付けでしょうか。

 以下の指摘もありました。

 離島が多い鹿児島や沖縄では、離島の住民が法律相談をしたくても、弁護士側が「移動時間と費用がかかりすぎる」などの理由で断る場合も少なくない。・・・鹿児島大学は、テレビ電話を活用して法律相談を行い、電子データで資料をやりとりするという将来像を描く。また弁護士が少ない過疎地でも、都市部と同じレベルの司法サービスを住民に提供したいと考えている。

 鹿児島県弁護士会をはじめ九州弁護士連合会の弁護士会は、既にテレビ電話会議による会議を行っていますので、弁護士会側のシステムは利用可能です。

 一方、離島にお住まいの各家庭でテレビ電話会議システムを利用できる人(インターネット環境にある人)がどれ位おられるかというと、なかなか難しいところがあります。弁護士会が自前で、わざわざ各離島にテレビ電話会議を利用できる「法律相談場所」を提供することも非現実的です(むしろ公設事務所を出せるかどうかの問題であり、公設事務所を出せばそもそも面談相談できる)。

 となると、各行政が住民サービスの一環として庁舎内にテレビ電話会議システムを利用できる場所を設置し、それを弁護士会と結んで、テレビ電話会議を利用した法律相談を実施するということはありえるかもしれません。

 最後に残るのは法律相談料の収受。
 例えば福岡県弁護士会はチケット制度といって、行政から一定の料金をまとめて支払ってもらい、当該行政区の住民からの法律相談を無料で実施する制度を広く行っています。
 このチケット制度を利用した行政であれば、法律相談料の収受もないため利用可能かもしれません。

 もっとも行政と折衝してそこまでの「仕掛け」を作っても、ニーズがどこまであるかは検証が必要になりそうです。

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2009.07.10

ショートメッセージ(SMS)、異なる携帯会社で相互接続へ

 現在は同じ携帯電話会社でしか利用できないショートメッセージサービス(SMS)。
 ドコモが7月8日、ソフトバンクモバイル、KDDI、イー・モバイル、ドコモの4社間で、別の携帯電話会社の加入者間でもSMSを利用できる相互接続の実現のめどがたったことを明らかにしました。
 早ければ2010年度にも利用が開始します。

 確かに弁護士同士や依頼者に連絡する際も、同じ携帯電話会社か否か確認しないで済みますから便利です。

 ただ一方的に携帯にメール連絡が入るというのも億劫といえば億劫かもしれません。

 また「電話連絡されたし。連絡ない場合は職場に訪問します。090-○○○○-△△△△」というメッセージが入る、いわゆるSMSを利用した架空請求の増加が報告されています。

   宗像市消費生活センターの報告
   北海道立消費生活センターの報告
   鹿児島市消費生活センターの報告
   国民生活センターの報告

 SMSの相互乗り入れでこのような架空請求も増えると予想されますので注意が必要です。

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2009.07.09

水俣病救済法成立、あらたな始まり

 水俣病救済法が7月8日、参議院本会議で可決され成立しました。
 第2の政治決着の問題点は既に「水俣病救済法、成立へ」でまとめた通りですが、集団訴訟の歩みにとってはまた別の意義があるでしょう。

 まず一つは最高裁判所が果たした役割です。

 関西水俣病最高裁判決(平成16年10月15日判時1876号3頁)は、国と熊本県の規制権限不行使の違法を正面から認めました。
 この時点で既に当時の村山連立内閣が水俣病患者に対してあわびを表明し、チッソとの間でも協定書が調印されていました。
 ですから、既に高裁段階で原告と企業が和解していたクロロキン薬害事件において、最高裁が「極めて限界的な事例」(調査官解説)と指摘しながら国の責任を認めなかったのと同じように、水俣病訴訟でも「政治決着済み」であることで、国を免責する方向に傾きかねない(もちろん判旨に出ないにせよ)ところでした。
 しかし最高裁は正面から検討して、国の責任を認めました。
 「人の命と健康」がかかわる場面で、司法が積極的に判断していく姿勢を最高裁が打ち出し、それが第2の政治決着を引き出したということができます。

 2つめは、機能不全を起こしている行政(官僚組織)を、国会が立法によって正していくという手法です。

 ハンセン病訴訟、中国残留孤児訴訟、薬害肝炎訴訟と、行政が踏み出せないときに司法判断を参考にしつつ、国会は特別措置法などの立法によって被害回復の道筋を付けました。水俣病訴訟でも採用されたこの手法が、定着しつつあると指摘できるでしょう。

 3つめは、半世紀に渡る水俣病問題が新たなステージを迎えたということです。

 集団訴訟の先駆けとも言われる「4大公害訴訟」の一つである水俣病訴訟は、1967年6月に新潟水俣病訴訟が、1969年6月に熊本水俣病訴訟が提起されました。
 その後、未認定患者の救済を求めた「第2次訴訟」、国の責任を問うた「第3次訴訟」、そして関西水俣病最高裁判決と、今日まで紆余曲折を経ながら闘われてきました。

 訴訟を継続している原告弁護団は第2の政治決着に合意していませんし、残された課題(賠償額、訴訟の取り扱い、被害実態調査)が山積しています。
 水俣病救済法の成立は最終的な解決ではなく、問題があらたなステージを迎えたことを意味するだけであり、集団訴訟としての歩みはこれからまだ続いていくことになるでしょう。

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2009.07.07

「制度改革訴訟と弁護士の役割」(法律時報)

Houritujiho0907法律時報(日本評論社)の最新号(7月号)の特集は、「制度改革訴訟と弁護士の役割」です。
 「訴訟活動と制度改革を結ぶ担い手として、弁護士の役割に焦点をあてた」(上柳敏郎弁護士「訴訟活動と制度改革をつなぐもの」5頁)ものであり、いわゆる「集団訴訟」に対して弁護士がどのようにかかわってきたのか、現にかかわっているのか、そしてどのようにかかわるべきかをまとめています。

 淡路剛久早稲田大学教授の「被害者救済から権利拡大へー弁護士による社会運動としての「制度改革訴訟」」と題する論文(6頁)は、四大公害訴訟から集団訴訟の歴史をひもといて、その相違点・共通点を整理した後、弁護士が集団訴訟に関わる要因(動機)を分析しています。

 具体的な事件としては、薬害肝炎訴訟について、薬害肝炎東京弁護団員の濱野泰嘉弁護士が的確な論考を寄せているほか(16頁)、国籍法違憲判決、全国トンネルじん肺訴訟、貸金業法改正、生活保護、建築紛争、金融サービス、過労死などについて、それぞれ弁護士が論じています。

 最後に、梶村太一弁護士が、元裁判官の視点から「裁判官の習性」(48頁)を前提に、弁護士への注文、裁判官への期待を論じており参考になります。

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2009.07.03

民法(債権法改正)への福岡県弁護士会の取組

 民法(債権法)の改正論議が活発になってきました。
 経過は以下の通りです。

 まず、民法(債権法)改正検討委員会(鎌田薫委員長、内田貴事務局長)が2006年に発足。改正検討委員会は、第1準備会から第5準備会まで分かれて議論し、その結果が「債権法改正の基本方針」として2009年4月に発表されたものです(「総特集 債権法改正の基本方針」NBL904号)。

 今秋にも法制審議会において議論が開始する可能性がありますので、実務家の視点からも早めに問題提起していくことが必要です。
 福岡県弁護士会も司法制度委員会の中に「民法改正部会」を立ち上げ、私も委員に委嘱されました。

 消滅時効の検討において、民法724条の除斥期間の規定も検討する必要があるとして、第5準備会が検討を行っています(民法(債権法)改正検討委員会・全体会議(第5回)議事録)。

 集団訴訟の視点としてはやはり724条の解釈論が一つの大きな論点になりますから、消滅時効に関して積極的に検討を加えてみたいと思っています。

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2009.07.02

水俣病被害者救済法、成立へ

 半世紀に渡り争われている水俣病訴訟。第2の政治決着が行われそうです。

 1995年6月、当時の連立与党(村山総理)が、未認定患者を救済する政治解決を行ったものの、その後2004年、関西水俣病最高裁判決(最高裁平成16年10月15日判決判時1876号3頁)が、より幅広い症状を水俣病と認定した上で、水質二法の趣旨、目的について「この権限は、当該水域の水質の悪化にかかわりのある周辺住民の生命、健康の保護をその主要な目的の一つとして、適時にかつ適切に行使されるべきものである」として、国と熊本県の不作為を違法と判断しました。

 そのため、2004年以降も新たな被害者が追加提訴を行うなど、紛争が継続していたものです。

 与党は、民主党が求めていた5症状のうち、「大脳皮質障害による知的、精神、運動障害」を除く4症状を水俣病として法律に明記する方向で歩み寄る見込みです。
 法律に明記される4症状は、「全身性の感覚障害」、「口の周囲の触覚もしくは痛覚の感覚障害」、「舌の二点識別覚の障害」、「求心性視野狭さく」。

 なぜこの時期に合意に至ったかという背景には、選挙前に少しでも懸案を解決して得点を稼ぎたい与党、政権交代後に懸案を抱えたくない民主党のそれぞれの思惑がありました。

 民主党は、水俣病訴訟弁護団事務局長であった松野信夫参議院議員を与野党協議の窓口責任者にしていました。しかし、「チッソの分社化の是非」を巡り平行線をたどるため、与党の申し入れを受けて、山岡賢次国会対策委員長が引き取り、一気に政治決着に突き進んでいるものです。

 法律の対象となる被害者は3万人前後とも言われること、そして当初与党が法案に盛り込んでいた「地域指定の解除」が削除されること、申請期間を3年に限定する案を撤回したことなど、被害救済の側面からいえば一定に評価は下せるでしょう。

 しかし一部被害者団体が強く反対している「チッソの分社化」が容認される見込みであるため、今後に禍根を残しかねません。
 先日6月30日、薬害肝炎原告団弁護団が民主党鳩山代表と面談した際も、患者会の方々や弁護団が雨の中、衆議院議員会館の前で抗議の座り込みを行っていました。
 水俣病発生の原因企業であるチッソの分社化によって、責任の所在が曖昧にならないように、そして被害者救済を貫徹する枠組み作りが求められています。

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2009.06.30

民主党鳩山代表と面談(Twitterで速報)

 本日6月30日、民主党の鳩山由紀夫代表らと面談します。
 薬害肝炎原告団、日本肝臓病患者団体協議会、B型肝炎原告団が、肝炎基本法(肝炎患者救済法)の今国会での成立をあらためて求めるものです。

Twittetlko 丸1日スケジュールが詰まっておりブログ報告は翌日になりそうですので、Twitterを利用して速報してみたいと思います。
 右から「弁護士 古賀克重 のTwitter」ご覧ください。

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2009.06.29

少年院の今

 法曹時報61巻6号で、法務省矯正局の「矯正の現状」が発表されています。
 目を引いた数字を拾ってみると下記の通りです。

Kannbetu_2 少年院及び少年鑑別所における1日平均収容人員は、昭和59年に少年院4600人、少年鑑別所1386人とピークを記録したが、平成20年には少年院が対前年比242人減の3474人、少年鑑別所が対前年比50人減の986人になっています。

 少年院関係予算(平成21年)は、224億1023万7000円、少年鑑別所関係予算は、110億9247万3000円です(ちなみに、刑務所等の刑事施設関係予算は、2136億6215万9000円)。

 少年院の建物は、旧軍施設や昭和30、40年代に整備されたものが多く、52庁のうち、30庁が整備を必要とされています(平成21年度に整備を実施中なのは、西日本矯正医療センター(京都医療少年院)、沖縄少年院、沖縄女子学園の3庁)。

 少年院収容者の約8割が、過去に家庭裁判所の終局決定を受けていますから、少年の可塑性に配慮した段階的処遇が行われていることがうかがわれます。

 実父母の有無をみると、実父母がいる少年は約4割にとどまっています。特に、平成18年、19年と4割を切り、3割台に落ち込んでいるのが目を引きます。

 少年院新収容者の非行名は(平成19年)は、窃盗が36パーセントと最も多く、傷害・同致死、道路交通法違反、強盗・同致死傷、恐喝の順になっています。

 なお、例の少年院における暴行事件が発覚しましたが、苦情申立て制度が少年院にはないため、数字もありません。
 刑務所等の刑事収容施設の苦情不服申立件数は、年間1万件を越えており、平成20年は1万3756件の苦情が申し立てられています。そのうち、855件が告訴告発、352件が訴訟、苦情の申出が4052件となっています。
 少年院においても苦情申立て制度を導入して統計数字を取る必要があるようです。

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2009.06.25

付添人の「3種の神器」+1

 平成20年改正法を盛り込んだ『注釈少年法』(有斐閣)の第3版が発売されましたので、早速購入しました。
 執筆者が13人と大幅に増え、頁数も540頁から618頁に増えています(お値段も、400円上がって4800円です)。

Manyuaru_2 付添人活動を行う弁護士が手元に置くべき参考書としては、この『注釈少年法』にくわえ、『少年法実務講義案(改訂版』(司法協会)、そして付添人経験者によるマニュアル(『少年事件付添人マニュアル』(日本評論社)など)が3種の神器といえるでしょう。

 この三冊があれば大抵の事件は大丈夫。マニュアルは、執筆者の一員であった前記『少年事件付添人マニュアル』を強くお勧めするわけですが(笑)、そのほかにもありますので、それぞれ読み比べて使うとまた味わい深いものです(私も大半のマニュアルは入手して読み比べています)。

 あとは出来れば、『家庭裁判月報』(最高裁判所事務総局家庭局監修)の定期購読でしょうか。
 付添人は、「最近の調査官の判断はステレオタイプだ」とつい批判しがちですが、一方で、調査官からは、「付添人は、要保護性の見立てや事件の筋見が甘くステレオタイプだ」と言われがちです。
 家庭裁判月報の審判例に日頃から目を通すようにしておくと、ある程度の実務感覚は養われると思われます。

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2009.06.24

育児介護休業法、改正案が成立

 ねじれ国会、鳩山大臣辞任など政局に左右され、今国会でもB型、C型問わず、すべての肝炎患者に対する治療費助成などを盛り込んだ肝炎患者支援法など重要法案が先送りされています。
 その中で、育児・介護休業法の改正法案が、衆議院厚生労働委員会で共同修正さ、24日参議院本会議でも可決し、成立しました。

 TBSニュース

 改正育児介護休業法には、以下のような制度が盛り込まれています。

・短時間勤務制度(3歳未満の子どもがいる従業員を対象にした短時間勤務制度<1日6時間程度>を導入することを義務づけるとともに、従業員の希望により残業免除も義務付け)

・育休の拡充(現行法の「子ども1歳まで」を「1歳2か月まで」でとする)

・看護休暇の拡充(現行法は、子どもの人数にかかわらず、年5日までであるのを、小学校前の子ども2人以上なら年10日とする)


 育休復帰後の解雇(いわゆる「育休切り」)を防止し、職場復帰を確実にするために、付帯決議で「事業主は育休期間を明示した書面を本人に交付するよう厚労省令に明記すること」とされました。法律から「事業主が書面を提示する義務」を導入するよう野党が求めましたが、与党が応じず、協議の末、付帯決議という処理がされたものです。

 また、育休切りを行った企業が、厚生労働大臣の勧告にも従わない場合には、企業名を公表する制度も導入されました。当初、この公表措置が法交付から1年以内とされていましたが、野党が育休切り防止の取組を強めるように要請した結果、「3か月以内」に前倒しすることで、与野党が合意したものです。

 今後、育休を取る従業員が将来の職場復帰に不安が残る場合は、「育休期間であることを明示した書面を頂けますか」と職場に申し入れておくことになるでしょう。

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セブンイレブン、弁当等廃棄分15パーセント負担ではだめ

0906711 公正取引委員会から独占禁止法違反で命令を受けたセブンイレブンは、加盟店が全額負担してきた弁当などの廃棄分の原価について15%負担すると発表しました。

 セブンイレブンは、記者会見で「廃棄することを怖がり、加盟店が萎縮した気持ちになることを懸念した」とコメントしたようです。しかし、公正取引委員会の命令の前から、加盟店は、全額廃棄分を負担してきていたのですから、「廃棄することは恐がり」というコメントは、良く意味が分かりません。

 加盟店による「見切り販売(値下げ販売)」が広がるのを押さえる意図があるのは明らかでしょう。

 しかし、本部の年間負担額が約100億円(15パーセント)見込みということは、全加盟店で約567億円(85パーセント)も廃棄損額が発生し続けることになりますから、見切り販売の動きは収まらないと思われます。

 そして、FC契約において「対等の関係の共存共栄」をうたっていること、見切り販売を抑制するのはブランドイメージを確保することが目的であると述べていることからすると、15パーセントという負担は余りにも小手先のものであって、50パーセント位は負担すべきものでしょう。

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2009.06.23

セブンイレブン、弁当見切り販売制限に排除命令

 公正取引委員会が、セブンイレブンに対して、優越的地位を濫用したとして独占禁止法違反を認定して、排除措置命令を出しました。セブンイレブンの加盟店が、消費期限の迫った弁当やおにぎりを値引き販売する、いわゆる「見切り販売」を禁止していた点に対する命令です。

 この問題の背景には、「共存共栄」を図るといいながら、フランチャイズシステムがその運用次第では、本部のみが一人勝ちする問題点があります。

 フランチャイズ契約とは、フランチャイズを運営する本部が、加盟店に対してそのノウハウを提供するかわりに、加盟店が本部に対して対価を支払う関係にあります。
 その対価の一つがロイヤルティです。
 大手コンビニでは、総売上利益に対する一定率とする方式(総売上利益方式)が採用されています。
 このロイヤルティの計算式こそが、本部の利益を生み出す道具になっているのです。

  総売上利益 = 売上高 - {売上原価 -(廃棄商品額 + 棚卸ロス商品額)}

  総売上利益 × ○○パーセント = ロイヤルティ

 ポイントは、ロイヤルティの基礎になる利益が、売上高から売上原価を控除したいわゆる粗利益ではないことです。粗利益に、売れ残った廃棄した商品額等を加えたものを基礎に計算されるわけです。
 その結果、売れ残って廃棄した商品額が大きければ大きいほど、加盟店の支払うロイヤルティが増え、本部は、「もうかる」ということになります。一方、加盟店は、1店舗あたり年平均約530万円という廃棄商品の負担にくわえて、廃棄商品額を上乗せした総売上利益に対するロイヤルティという二重の損失を被ります。

 加盟店は、廃棄商品額を少なくするためには、値引きしてでも商品を売ってしまう必要があるわけですが、セブンイレブンは、それを禁止していたというわけです。

 セブンイレブンの指導していた「値引き販売禁止」は、この加盟店の自助努力を禁止し、本部の利益を確保していたというものですから、公正取引委員会の排除命令は、遅きに失したとはいえ当然の措置といえるでしょう。

 なお、裁判例においては、ローソンの採用する「総売上方式」自体が、公序良俗に反して無効ではないかと争われたものがありますが、大阪地裁平成8年2月19日判決(判例タイムズ915号131頁)は、「直ちに私法上違法評価をもたらすものではない」と判断しています(なお、セブンイレブンの契約書の解釈として、総売上利益方式が許容されるか争われた平成19年最高裁判決もあり、不当利得返還請求を認めて加盟店の請求を認めた原審を破棄して、契約解釈上許されるとしています)。

 このローソン事件は、加盟店による見切り販売はされていたものの、計算式自体の違法性を争った事例です。
 セブンイレブンは、見切り販売を禁止していたわけですから、加盟店が本部を提訴した場合、今回の公正取引委員会の措置もふまえると、損害賠償が認められる余地があるといえるでしょう。

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2009.06.22

ストリートビューは合法と総務省

 総務省が6月22日、ストリートビューは個人情報保護法違反には当たらないとする見解をまとめました。総務省の作業部会レベルの判断のようで、今後、8月に正式の判断をとりまとめるようです。同作業部会は、住居の外観や自動車のナンバープレートが写真に写っていても「個人の識別性がなく、個人情報には該当しない」と判断するとともに、プライバシーや肖像権についても「ぼかし処理を施すなど適切な配慮がなされている限り、サービスの大部分は違法となることはない」と判断したようです。

 個人的には違法とは考えませんし、サービスの中止までの必要性はないでしょう(サービスの中止を求める福岡県弁護士会の声明はこちら)。

 ただし、総務省の作業部会の見解の「適切な配慮がなされている限り、大部分は違法となることはない」はその通りですが、「適切な配慮がなされていなければ、違法」となる場合もありえるわけですから、適切な配慮を自主的に行うようグーグルに強く求めていくべきではないかと思います。

 ネットを利用している人は、自分の生活圏付近のストリートビューを確認して改善申し入れをすることも可能ですが、ネットを利用していない人は、確認することもできず放置されてしまいますし、そもそも自分の生活圏以外の場所でたまたま顔などが撮影された場合、改善申し入れをしようにもできないからです。

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2009.06.16

福岡県弁護士会、裁判員制度に関する市民モニター制度導入

 福岡県弁護士会は、裁判員制度に関して「市民モニター制度」を導入します。全国で初めての試みです。
 一般市民に裁判員裁判を傍聴してもらい、検証してくことを目的にするものです。

 事前登録した18歳以上のモニターから選ばれた市民1人が、福岡地裁等で行われる裁判員裁判を初公判から判決まですべて傍聴して、数十項目のアンケートに答えてもらいます。また、モニターの目から判決も予想して頂きます。
 6月29日に福岡県弁護士会館において希望者向けの説明会を開催します。

 「裁判員制度」市民モニターへのご協力のお願い   
                 福岡県弁護士会会長 池永 満
           
 このたび福岡県弁護士会では,下記の要領で裁判員制度に関する市民モニター制度を導入することとなりました。

 裁判員制度という新しい制度について市民の皆様から意見を頂くためには,実際に裁判を第1回から判決まで通して見て頂き,その率直な感想を伝えて頂くことが最も有意義だと考え,この度の市民モニター制度の創設に至りました。是非,多くの市民の方々にご参加頂きたく,ご案内申しあげている次第です。
 当会にて予定している市民モニターは,福岡県内在住の18歳以上の方で,年齢以外の要件については裁判員法に定める裁判員の資格を有する方を予定しております。

 市民モニター制度に興味を持たれた方がおられましたら,ご足労をおかけいたしまして誠に恐縮ではございますが,平成21年6月29日(月)午後3時から午後5時まで,福岡県弁護士会館にて開催される説明会にお越し頂けますようよろしくお願いいたします。

 なお,市民モニターとしての裁判傍聴は,原則として1つの事件について1人以上を予定していますが,福岡における想定事件数と名簿登録者の人数の関係等から,市民モニターとしてご登録を頂いた後,実際にモニターとしての傍聴機会を準備できない可能性もございます。その点については予めご了承下さい。


*定員に達した場合は、お断りする可能性もございます。(予約不要・先着順)
*説明会当日は、30分前より開場致します。
*駐車場はございませんので、公共交通機関を使って起こし下さいますようお願いします。

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「加藤一郎先生の人と業績」~集団訴訟の視点から

 最新号のジュリスト(1380号)が、「加藤一郎先生の人と業績」という特集を組んでいます。

 加藤一郎氏は東大教授として不法行為論などを研究するとともに、法務省の法制審議会の委員、民法部会長なども務めて、1983年に東大を定年退職した後は、母校の成城学園の理事長に就任するとともに、法律事務所を開設し、「様々な団体の役員、政府の委員を務められ、一時はその肩書きは130を越えた」(ジュリスト1380号11頁)そうです。

 一方、集団訴訟を扱う弁護士にとっての「加藤一郎氏」というと、なんと言っても水俣病訴訟を巡っての「加藤・松野論争」を思い浮かべます。

 ジュリストの特集号では一切触れられていませんので、若干長くなりますが触れてみたいと思います。

 事の発端は、加藤氏が、判例タイムズ782号2頁(1992年6月20日)にのせた「司法と行政-水俣病をめぐって-」という論文でした。

 当時、水俣病訴訟は、東京地裁、熊本地裁、福岡高裁、福岡地裁の順に相次いで和解勧告が出されてて、福岡高裁でも和解協議が開始された時期でした。しかし、福岡高裁における和解協議に国は加わらず、結局、東京地裁が平成4年2月判決を下し、国と熊本県の責任を否定するに至ります。
 この東京地裁判決を特集した判例タイムズに、加藤氏は論文をのせます。

 その論文の内容は、裁判所による和解の強要は不適切であるとした上で、国に和解勧告を強く勧めた裁判所を非難するといっていい内容でした。

 水俣病訴訟で、裁判所が、和解に入ることを当事者、特に国に強く求めたことは、その点で、法的に司法の枠を越えたものであり、実質的に見ても、和解の見通しの立たないまま和解勧告をしたことについて、裁判官の見識が疑われるものであった。

 そして、論文の最後を次のように締めくくり、司法消極主義を高らかに宣言しました。

 要するに、司法、すなわち裁判官は、法による救済を与えるのが困難ならば請求を棄却するほかはないし、そうすればよいのである。あとの被害者救済が必要かどうか、必要だとすればどういう方策をとるかは、行政や立法の仕事だと割り切って考えるほかはない。

 当時は、福岡高裁で和解協議中でしたから、高名な研究者のこの論文が、訴訟当事者にどのような思いで迎えられたかは想像に難くありません。

 この論文の4か月後の判例タイムズ792号52頁(1992年10月15日)で、水俣病訴訟弁護団の松野信夫弁護士(現在、衆議院議員)が、「加藤論文は・・・そのまま容認できないような問題点も存すると思われるので、加藤論文に反論を加えつつあわせて判決と和解をめぐる司法の役割について触れてみたい」として、反論の論文を掲載しました。

 加藤論文は、要するに水俣病訴訟などは裁判所で解決することはできないのであり、一応和解勧告するにしても、国が拒否した以上、さっさと和解を打ち切って判決をすれば良いし、全体的な解決はあとの行政や立法に任せておけば良いのである、ということのようである。司法はその限界をわきまえて、あとは高みの見物に徹せよとでも言うのであろうが、これは現場の裁判官の悩みや痛みをまったく考えていないと言わざるを得ない。

 加藤論文はこの点、伝統的司法消極主義的な観点にとらわれすぎているようであり、しかもいくら加藤氏が法務省の顧問をしているとはいえ、これは国の代理人が書かれたのかと一瞬疑ったほど国の側に立って国の意図を見事に代弁している。加藤氏自身、・・・利益衡量論を標榜し、一方的な姿勢をとることを極力避けてきたと主張されておられることからすると、いささか不可解な感がぬぐえない

 

 福岡高裁の裁判長として加藤氏の批判を受けた友納治夫氏も、その後、次のように反論しました(水俣病訴訟弁護団編『水俣病救済における司法の役割』(2006年、花伝社)95頁)。
 

 福岡高裁での和解協議の進行中に、元東大総長の加藤一郎先生が・・水俣病訴訟のように広くかつ根深い事件を和解で解決するのは無理なのであり、国が拒否しているのに裁判所が和解に入ることを強くもとめたのは司法の枠を超えたもので、和解の強要は憲法の精神に反する、という趣旨の批判をされました。
 水俣病訴訟が広く根深い大事件であることは私も同感ですが、だからといって、この事件を和解で解決しようと試みたことが間違っていたとは考えておりませんし、先ほど述べたような経緯から、裁判所が国に対して和解への参加を何度も呼び掛けたことが和解の強要で司法の枠を超えたものであったとは全く考えておりません。

 また、元仙台高裁長官で大学教授の田尾桃二先生も、全国裁判所書記官協議会の総会で、・・この事件の和解の勧試も国への参加のすすめも悪いこととは思えないと語っておられます・・そういうようなことも励みになって、私共としては最後まで和解の協議を続けさせていただいた・・

 その後、関西水俣病最高裁判決が、国の責任をそもそも認めたこと、司法改革が進み裁判所への期待がより高まっていること、薬害HIV、薬害やコブなど裁判所がイニシアチブをとって国を説得して和解を成立させる集団訴訟が相次いでいること等からして、加藤一郎氏の論文は、残念ながらその内容、発表した時期、そしてその後の司法の流れからしても、正鵠を得ていないものであったと評価せざるをえないでしょう。
 

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2009.06.15

B型肝炎訴訟、最高裁判決3周年の厚生労働省前集会

 厚生労働大臣は、訴訟中は「裁判が係争中なのでお会いできない」と面会を拒絶する一方で、最高裁判決で責任が認められた後も、結局は面会を拒絶して現在に至っています。

 今年に入り舛添大臣は次のようにコメントしましたが(4月3日ぶら下がり)、それからでさえ既に2か月以上経過してしまいました。

 B型肝炎訴訟原告団弁護団は、16日、「最高裁判決3周年厚労省前集会」を開催し、早期全面解決を訴え原告のリレートークと支援団体からの訴え等を行います。

(記者)B型肝炎訴訟で、札幌の原告に大臣が会われるという意向を示されていましたが、それについて。

(大臣)今、こういう国会日程で大変タイトなんですが、時間が許せばお会いしたいと思っております。訴訟中の方にお会いすることは裁判に影響を与えますが、訴訟が終わって最高裁の判決が確定していれば三権分立の立場からも問題ありません。時間が許す限り、難病の患者の方であれ、どんな方であれ会えるだけお会いしていますから、それはお会いしてちゃんとお話するのは時間が許せばお会いしたい思っています。

(記者)B型肝炎の方も国の責任等が焦点になっていますが、それについてやはり本格的に取り組むということでしょうか。

(大臣)これは、今、与野党の皆さん方でも議論をしてもらってます。与野党の議論も踏まえた上で、何ができるか、また、何ができないか色々な問題点もあると思いますから検討させていただきます。

 

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2009.06.12

模擬医療ADR 岡山

 東京三会を皮切りに全国の単位会でも検討が進みつつある「医療ADR」。岡山弁護士会が模擬医療ADRを実施します。

 事案は、「女性(60歳)が脳ドックの検査を受けたところ、脳動脈瘤が見つかる。担当医は、破裂の危険があるということで、開頭手術を実施したが、翌日、女性はスムーズに言葉が出なくなり、その左手足には麻痺症状が出る。病院と女性は話し合いをしたが、前に進まない。
 そこで、このトラブルが、岡山弁護士会の医療仲裁センターに持ち込まれた・・」というもののようです。

 医療ADRの意義
 医療ADR福岡県弁護士会の取組

 6月14日(日) 午後2時~5時  参加費 無料
 場所 岡山衛生会館三木記念ホール(岡山市中区古京町1-1ー10)
 主催 岡山弁護士会   共催 岡山大学大学院法務研究科

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2009.06.11

「少年院4教官逮捕」の深層と対策

 広島少年院の4名の教官(田原克剛43歳、野畑勝也32歳、松本大輔29歳、菅原陽26歳)が、2008年3月から2009年3月にかけて、16歳から17歳の少年4名に対して、暴行を加えていたとして逮捕されました。
 暴行の内容は、殴る、蹴る、首を絞める、紙おむつをはくように強要し拒絶すると顔を殴る、トイレに行かせずに失禁させるというものです。

 調査の結果、2008年度の1年間にわたり、収容されている少年の約半数50名に暴行を加えていたことも判明しているようです。しかも、「少年院の秩序維持に都合がいい」ということで、他の教官達も事実上、黙認していた疑いも持たれています。

 注意すべきは、逮捕した4教官の前任地でしょう。少年院教官は、転勤で他の少年院を歴任します。田原容疑者が43歳、野畑容疑者が32歳ということは、ある程度の経験があると思われ、他の少年院でも暴行を行っていた疑いも捨て切れません(全国の少年院一覧)。

Manyuaru_2 平成11年から平成12年にかけて九州管区の少年院(佐世保学園、福岡少年院、大分少年院、人吉農芸学院、中津少年学院、)を視察訪問しました(詳しくは、『少年事件付添人マニュアル第2版』(日本評論社)241頁参照)。
 その時印象的だった佐世保学園の教官の言葉は次のようなものでした。
 「ここに来た少年は必ず今よりよくなります。その自負は私たち少年院も持っています。しかし問題は少年院を出たあとなんです。身につけた自尊心、習慣、前向きな心、人を思いやる気持ち・・それが社会でも継続できるか。そこは自信がありません」

 そのほかにも私が個人的に知り合った少年院の教官は、いずれも能力が高く、少年に寄り添う姿勢が顕著な方ばかりでしたが、今回のような事件が起きると、少年院の教官や制度そのものに対する疑念が生まれかねません。

 動機の解明、黙認していた他の教官の処分、そして他の少年院時代の同種暴行歴の有無など徹底的に捜査して頂きたいと思います。

 なお、法務省は、少年院に収容されている少年が処遇上の苦情や不服を申告できる制度を導入する方向で、少年院法の改正検討を開始したようです。

 付添人が就任していたケースについては、付添人が少年院を訪問して面会してあげたり、そこまで難しくとも、退院した後、状況を尋ねたりしていれば、本事件も、より早く発覚していたかもしれません。私もそこまでできていませんので、今後担当した少年で収容された子については、何らかのアプローチをしてみようかなと自省をこめて思ったりしました。

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2009.06.10

「日本弁護士連合会」の60周年

Building  日本弁護士連合会が2009年9月に創立60周年を迎えるようです。日弁連から全国の弁護士会に「日弁連創立60周年記念無料法律相談を実施してほしい」という要望がありました。
 福岡県弁護士会も法律相談センター委員会でこの要望について議論した結果、無料法律相談を実施することにしました。

 ですが、「日弁連60周年無料相談会を開催!」とうたっても、ニュース価値がなく、広報手段が限られるため、相談者はあまり来ません。

 結局、弁護士会が設置している法律相談センターに相談申込みのあった相談者に対して、「○日は無料でやっていますからいかがですか」と誘導して、その日の枠をうめる、しかも担当弁護士の日当は各地弁護士会の負担なので、弁護士財政としては赤字になるという具合です。

 そもそも「50周年」とか「100周年」なら多少は意味があるかもしれませんが、「60」という数字もまた中途半端。日弁連は、「60周年記念オリジナル切手」を発売したり、ホテルオークラで記念式典をするようですが、無駄な費用という気がします。

 弁護士には「弁護士自治」があり監督官庁がありません。だからこそ、刑事弁護や集団訴訟で国相手に徹底的に争ったり、その他あらゆる分野で弁護士が、独自の見解を述べ、独自の活動を取ることができます。
 日弁連の存在意義は、究極的には、この「弁護士自治」を継続するために社会的理解を得る活動といっても過言ではないでしょう。

 高い費用をかけて(監督官庁がないということは、予算も自弁ということです。日弁連の会計も、全国の弁護士の会費によってまかなわれます)、ホテルでわざわざ記念式典をするのであれば、このような「弁護士自治の意義」をアピールできるような、対外的にも工夫した式典にして頂きたいものです。

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2009.06.09

臓器移植法改正案の成立

 今国会で成立するか大きな注目を集めているのが、臓器移植法改正案です。

 A案(提出者中山太郎・自民党、福島豊・公明党)、B案(石井啓一・公明党、阿部俊子・自民党)、C案(阿部知子・社民党、枝野幸男・民主党)、D案(根本匠・自民党、笠浩史・民主党)と4つの法案が提出されるという異例な展開をたどっています。この「異例な展開」を招いたのは、やはり、「人の死」についての社会的合意が得られておらず、かつ、議論が余りにも性急だからといえるでしょう。

Card_softbank 最初に提出されたA案は、移植学会などが支持しているようです。ところが、A案は、脳死を「人の死」とするため反発を受け、その後の3法案提出という事態を招きました。
 A案を支持する議員は、「本人が拒否できるのだから、一般的に脳死を人の死と考えるものではない」と主張したり、一方で、別の議員は、「脳死は一般に人の死と社会的にほぼ合意できている」、「脳死を人の死と認めていないのは日本だけ」(5月27日付け毎日新聞・冨岡勉議員発言)と主張するなど、主張の論拠がぶれています。

 いずれにしろ、A案は、原則として脳死を「人の死」とした上で、本人が拒否することもできるとする「例外」を認めるもので、脳死を人の死とする根本的な考え方であることは間違いありません。
 そして、「人の死」をどのように考えるのか、という死生観にかかる根元的な重要論点について、「拒否することもできる」という例外を設ける技巧的な方法をもって、批判をかわそうとしているにすぎません。
 人の死をどのようにとらえるか国民的合意がまだあるとはいえず、脳死を人の死とする「立法事実」はないというほかありませんから、個人的には大いに疑問符がつく案です。

 一方で、臓器移植を待つ患者さんからは、現在の臓器移植法による「15歳以上」という提供年齢では、日本内での臓器移植が不可能で海外渡航するほかない、という切実な訴えがあるのもまた事実です。

 B案(提供可能年齢を引き下げ12歳以上とする)・C案(現行法と同じ)では、その訴えにこたえているとはいえないでしょう。

 この点、D案は、脳死の位置づけについては現行法と同様にとらえつつ、提供可能年齢は、A案と同じく制限なしとして大きく広げます。
 そして、「15歳未満」の場合は、「本人の意思表示」が有効とはいえませんから、家族の同意とともに第三者機関の了承を条件とするところが特色です。

 脳死を一般的に「人の死」とすることは避けつつ、臓器移植提供の条件について、「第三者機関の了承」という技巧的な手当をするものです。
 「技巧的な手当」をする点は、A案と同じですが、それが、「脳死が人の死か」という根元的な論点ではなく、「提供の条件」という論点についてですので、D案なら現行臓器移植法の「改正」として受け入れる余地があるのではないかと思います(もっとも、D案に対しては、子どもが死亡しているかを「親の判断」に委ねるものであって、酷であるという有力な批判もあります)。

 またそもそも、脳死移植件数が1999年以降わずか81例にとどまっており、日本人の国民性からして、法改正でも移植が劇的に増えるとは言えないとも指摘されています。今国会での実質議論がわずか「9時間」であることもふまえると、4案ともに廃案として議論を継続して、国会内合意、国民的合意を模索することも一つではないでしょうか。

 皆さんはどの案を支持されるでしょうか?いずれにしろ今月中旬にも採決が行われる見通しです。

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2009.06.08

福岡少年鑑別所と新型インフルエンザ

 福岡少年鑑別所に来ています。福岡市南部の静謐な住宅街の片隅に遠慮がちにたたずむ、かなり老朽化した平屋建ての建物ですが、非行を犯し審判を待つ少年がじっくりと自分自身を振り返るには良い環境かもしれません。Kannbetu_2

 そんな福岡少年鑑別所の受付で「マスクを持参されてますか?」といきなり尋ねられました。「?」という顔をしていると、「新型インフルエンザの対策として、弁護士さんにはマスク持参をお願いしてます」ということです。次からは持参してくださいと言われて、鑑別所の用意したマスクを渡されました。

 マスクをしたまま別棟の四畳半ほどの狭い面接室で少年と向き合います。面接室に入って来るなり少年は、私のマスク姿をみてくすくす笑い出しました。
 「マスクしていると話しにくいよね」と言うと、少年も「そうですよね」ということで、マスクをはずして1時間ほどの面接を終えました。「マスク」のつかみ(?)のおかげか、幼い少年もいつもよりスムーズに色んな話をしてくれた気がします。

 新型インフルエンザの過剰反応もここまで来たかという感じですが、なぜか鑑別所内を行き交う職員は皆さんマスクをしていませんでした。

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2009.06.05

楽天が顧客情報売却

W107 6月5日読売新聞夕刊が、「楽天が顧客情報売却」とトップで報じました。
 記事によると、楽天は、東証1部の上新電機を含む9社の出店企業に対して、商品購入者などのクレジットカード番号とメールアドレスを1件10円で提供していたようです。
 上新電機によれば、「自社でカード決済をした方が手数料などの面で有利なため購入している」ということですから、楽天は、取引先の便宜のために、個人情報を売却し、かつ、利益を得ていたことになります。

 これに対して、楽天は、サイトの中で、読売新聞記者の実名をあえて指摘した上で次のように反論してます。

 読売新聞の記事に関しまして

 本日の読売新聞に、「楽天が顧客情報提供」という記事が掲載されました。
 上新電機様をはじめ9社の企業様に対しては、お客様が購入されます買い物かごのステップで、「例外的にクレジット番号の開示を受け、独自に決済処理を行っております。(http://www.rakuten.co.jp/com/faq/information/20050916.html)」というお断りをさせて頂いた上で、店舗様において独自に決済を行っております。
 尚、例外となっている取引先9社に関しては、上場企業などでやむを得ない事情のある企業と当該情報の取り扱い等に関し、覚書を交わした上で、非常に限定的かつ厳格に行っており、セキュリティーに関しては細心の注意を払っております。

 読売新聞社の東京本社社会部の河村武志記者には繰り返し、上述のようなご説明をさせて頂きましたが、このような消費者の不安を煽るようなミスリーディングな記事を掲載されたことは大変残念であり、誠に遺憾です。

 個人情報の保護に関する法律は、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない」(23条1項本文)と定めています。
 「本人の同意」は、経済産業省ガイドラインによれば、本人から口頭または書面で同意する旨を確認することのみならず、本人による同意する旨の確認欄へのチェック、本人による同意する旨のウエッブ画面上のボタンのクリックも含まれます。

 楽天のコメントによれば、当該業者の商品を購入しようとする顧客に対しては、買い物かごのステップで「例外的にクレジット番号の開示を受け、独自に決済処理を行っております」という「お断りをさせて頂いている」と主張するようです。
 実際に上新電機の商品購入画面まで行ってみたところ、以下の記載を前提に、配送日などを指定して、「次へ」のボタンで進んでいくことになっています。

 ※クレジットカード番号がショップに渡ることはありません。
 ※ご本人様名義のカードをご利用ください。
 備考:当店は楽天株式会社より例外的にクレジットカード番号の開示を受け、独自に決済処理を行っております。詳しくはこちら

 つまり、「お断りの表記」はしているものの非常に分かりにくく、しかも、経済産業省ガイドラインによる「同意する旨の確認欄へのチェック」はなく、個人情報保護法23条1項の同意を得ているといえるか疑わしいと考えられます。

 この点、堀部政男一橋大学名誉教授(情報法)は、読売新聞で次のようにコメントしてます。

 規約に断り書きがあるとはいえ、楽天は一度は店舗へ提供しないと発表しており、利用者への十分な説明努力を求める個人情報保護法のガイドラインに反する。

 楽天が、2005年に顧客情報を大量に流出させた事件を受けて、カード番号とメールアドレスを企業に提供しない旨発表していた方針は、下記の通りです。

 今まで楽天市場でご注文いただいた際に、お客様が入力された以下の個人情報がありました。

 ・名前  ・住所  ・電話番号
 ・メールアドレス  ・クレジットカード番号

 名前、住所、電話番号は「商品の発送」に、メールアドレスは「注文後の連絡」に、クレジットカード番号は「決済」に必要でした。

 しかしながら、個人情報の流出の可能性を出来る限り低減させるために「商品の配送」に必要のない個人情報(メールアドレスおよびクレジットカード番号)を各店舗に提供しないサービスに切り換えます。

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医療裁判と医療ADRについて考えるシンポジウム

 医療ADRに関するシンポジウムが増えてきました。
 医療裁判と医療ADRについて考えるシンポジウム「医療事故と被害者の思いから学ぶ」が、大阪で開催されます。

 6月27日(土) 午後13時30分~16時45分
  エル大阪6階大会議室  参加費 1000円(資料代込)

 第1部 被害の実情を知る当事者からの発言
 ~ 私たちはなぜ提訴したのか、しなかったのか~

 第2部 有識者による講演
 岡本佐和子さん(元ジョンズ・ホプキンス病院 ペイシェント・アドボケイト) / 石川寛俊さん(弁護士) / 加部一彦さん(愛育病院新生児科部長) / 稲葉一人さん(元裁判官)

 第3部 質疑応答とパネルディスカッション

 会場定員:200名 主催:医療情報の公開・開示を求める市民の会

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2009.06.04

原爆症認定集団訴訟、原告が座り込みへ

 原爆症認定集団訴訟・東京高裁は5月28日、9人の原告を原爆症と認める原告勝訴判決を下しました。

 翌5月29日、与党PTは、官邸・厚労省・法務省に対し、懸案だった肝機能障害や甲状腺機能障害を認定の対象に拡大すること、がんを幅広く原爆症と認定することなど認定基準の改訂と訴訟の一括解決を勧告。与党PTの南野知恵子座長(元法務大臣、自民党、衆議院比例、当選3回、元看護師)は、「今回の判決は世界の手本。被爆国という観点からも政治的判断をふまえ解決すると思う」とまで述べました。

 これに対して、河村健夫官房長官(元与党PT座長、自民党、衆議院山口3区、当選6回)は、「早期解決に向けて加速させる必要がある。総合的解決を考える時期にきた」とコメントしつつも、参議院予算委員会では「(原告の求める一括救済は)政治的に難しい面もある」と述べるにとどまっています。

 官僚主導といわれる麻生内閣が、厚生労働省官僚の抵抗を乗り越えて、政治主導で政策決定できるかが今問われています。

 被爆者の皆さんは今回の東京高裁判決を全面解決につなげるため、日比谷公園で座り込みを開始する予定です。

 原爆症認定集団訴訟・全面解決を求めて第2次座り込み

 厚生労働省は、被爆者・原告との約束を反故にし、今週の大臣面談を拒絶しました。こうした状態を打開するため、原告・被爆者は、6月9日からふたたび座り込みに入ることを決断しました。
 舛添厚生労働大臣は、東京判決直後、「原告のみなさんとお話をして要望をお聞きしたい」と述べていましたが、6月2日になって、会うのは「上告期限の11日以降に」と言い出しました。被爆者はそんなに待てません。舛添厚生労働大臣は、まず、被爆者・原告と面談してその声を聴くことを要求します。

 厚労省は、東京高裁判決に対して上告の可否を検討するだけで、全面解決について何も考えていません。
 6月2日の厚生労働省と原告らの交渉で、厚生労働省の担当者は、「上告もありうる」と発言し被爆者の怒りをかいました。全面解決の中身については、何一つ発言がありませんでした。厚労省に任せていては訴訟は解決しません。

 座り込みは以下の日程でおこないます。
 (当面9日~12日までの4日間、日比谷公園のかもめ広場、厚労省側にて。)

 6月9日(火) 11時座り込み開始
 6月10日(水)・11日(木) 10時~17時
 6月12日(金) 10時~16時
              
 日本原水爆被害者団体協議会/原爆症認定集団訴訟全国原告団
 原爆症認定集団訴訟全国弁護団/原爆症認定集団訴訟を支援する全国ネットワーク

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2009.06.03

医療ADR福岡 その2

 福岡県弁護士会が検討している医療ADR(Alternative Dispute Resolution)は、既に平成19年9月から東京三弁護士会の仲裁センター(東京第一弁護士会、東京第二弁護士会)、紛争解決センター(東京弁護士会)の中に設置されて運営されています。

 平成19年9月から平成20年8月まで1年間の申立件数は51件、相手方応諾率は63パーセント、終了件数は24件、うち和解成立数は16件(67パーセント)になっており、和解金額は、20万円台から500万円台です。

 この医療ADRのメリットは、当事者の負担する費用が訴訟より安く済み、かつ、審理回数が1回から数回と比較的短い期間で済むことと指摘されています。そして、医療機関側が過失を激しく争うなど紛争性が高い事案は、医療ADRには適していないと言われています。
 しかしながら、過失を認めているケースだけの処理であれば、現在の調停でも解決可能です。過失に争いがあるものの双方が歩みよる余地があるような事例について解決できるかが、医療ADRの一つの意義でしょう。

 また、厚生労働省が現在議論を進めている医療関連死モデル事業とのリンクも指摘されています。
 すなわち、診療中の患者の予期せぬ死亡(診療関連死)の死因究明と再発防止を目的に、医師と法律家による事案検討がなされていますが、この事業は、2010年度に「医療版の事故調査委員会(医療版事故調)」としての開始を目指しています。
 この医療版事故調は、医療的判断まで行いますが、一方で損害額の認定など法的判断までは行いません。医療版事故調が明確にした事実関係・医療的判断をベースに、当事者が医療ADRを申し立てることもあるでしょう。このように、医療ADRの意義としては、医療版事故調の受け皿ということも考えられるところです。

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2009.06.02

福岡県弁護士会ほか弁護士会によるTVCM

 福岡県弁護士会が、全国に先駆けて「多重債務のTVCM」を開始して3年目になります。昨年度は、多重債務だけではなく「交通事故無料相談のTVCM」も放映しました。
 九州弁護士連合会所属の各県弁護士会では、福岡のTVCMを利用して多重債務相談のCMを一斉に流す企画も検討しています。

Cmbanner

 そのほか、山形・大阪・仙台等の弁護士会でもTVCMを放映しています。福岡県弁護士会山形県弁護士会大阪弁護士会の各CMは、それぞれサイトから閲覧できます。

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2009.05.27

裁判員裁判(模擬裁判)の成果と課題

 裁判員裁判が開始しました。弁護士会・裁判所・検察庁は、全国で500回以上の模擬裁判、240回以上の模擬選任手続きを行ってきました。
 しかし実際の裁判員裁判では様々な問題が噴出するでしょうし、法曹3者に対する「不満、幻滅、失望」も広がるでしょう。
 いずれにしろ確実に出る「不満・幻滅・失望」をどのように解消していくかが、裁判員制度「存続」の鍵と思われます。

 この点、最高裁判所事務総局刑事局がまとめた「模擬裁判の成果と課題」(判例タイムズ1287号8頁)が、現時点の問題点をうまくまとめており参考になります。50頁弱ですが、マスコミの方も読んでおくと報道する際のヒントになるのではないでしょうか。
 例えば下記のような感じです。
 

 弁護人において、被告人の犯人性を争う根拠として、被告人の善性格を主張しようとした例もあったが、このような主張を許容するとなれば、検察官による被告人の悪性格の立証を認めることにも繋がりかねないこともあり、相当ではない場合もあり得ると思われる(12頁)

 直接主義・口頭主義の観点からも・・立証は基本的には人証によって行われることが中心になろう・・(しかし)例えば・・被害者の受傷状況は、殺意の有無を判断するに当たって重要な事柄であるが、写真を用いないとすれば、裁判員が、的確な心証を取ることは困難と思われる。各地で行われた模擬裁判でも「被害者の傷の状況について医者の供述調書のみによる立証となったため、傷の箇所のイメージをつかむことができなかった」との報告がなされている(14頁)。

 各地で行われた模擬裁判でも、「裁判員からは、当事者の主張立証の中には判決の結論にどのように影響するのか不明なものも多かった、裁判所は判断すべき争点をもっと絞って欲しいなどの意見がでた」との報告が多くなされている(15頁)。

 裁判員にメモを含めた資料の持ち帰りを認めるかという問題もある。・・配布資料やメモ等には関係者のプライバシーに係わる事項のほか、裁判員の心証や評議の内容が記載されることも考えられるところであり、・・資料の持ち帰りについては慎重である必要があろう(20頁)。

 プレゼンテーションソフトの使用については裁判員役は、概ね、分かりやすいとの感想を述べているが、冒頭陳述はあくまで証拠に基づくものでなければならず、例えば、再現ビデオ的なアニメーションを用いることは、あたかも主張の場である冒頭陳述で立証がなされるようなイメージをもたれ易く、事後の立証との関係からして相当でない場合もあろう。・・プレゼンテーションソフトの画面と話者とが離れた位置にある場合、視点を一点に集中させにくいなどの感想が述べられることがあり・・(22頁)。

 模擬裁判において、尋問がポイントを絞ったものになっていなかった場合、裁判員役からは、「何を聴きたかったのか分からなかった。」との感想が述べられることが相当にあった(24頁)。

 模擬裁判では、裁判員役から、被告人が反省していることは有利な事情として考えるべきではないとの意見が述べられたことがある。被告人質問等に際して、このような意見を裁判員が有していることを感得した場合は、弁護人としても、そうした意見に対しては、弁論の中で特別予防の観点からの的確な説明をするなどの工夫をすることになろう(28頁)。

 左陪席については、もっと裁判員と随時会話をし、その疑問に答え、あるいは注意を喚起するという非定型的な接触を図ってもよいであろうし、それに右陪席が随時加わっても差し支えないものと思われる。なお、模擬裁判では、左陪席が評議で出された発言の内容をパソコンに入力することに専念しすぎてしまい、裁判員役から裁判官の在り方としていかがなものかとの疑問が呈されたことがある。・・左陪席をこうした「書き役」と位置づけることは相当でないと思われる(37頁)。

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2009.05.26

原爆症認定集団訴訟の全面解決

 原爆症認定集団訴訟は、5月28日に予定されている東京高裁判決が注目されています。原爆症対策に関する与党プロジェクトチーム(いわゆる与党PT)が、28日の東京高裁判決を機に、原告の全員救済と認定基準の再改訂を政府に求める勧告案をまとめているからです。

 そもそも原爆症認定集団訴訟はどのような経過をたどっているのでしょうか。
 「原爆症」と認定されるためには、被爆者が厚生労働省に申請して、病気が原爆放射線の影響に基づくものであること(放射線起因性)等の要件を満たしていると認められる必要があります。認定されなかった被爆者は、却下処分の取消を求めて訴訟を提起するほかありません。

 2000年7月の長崎訴訟最高裁判決が、「機械的な運用では被爆の実態を十分に説明できない」と批判したため、従来の認定基準の変更を迫られた厚生労働省は2001年5月25日、「科学的な基準に改める」として「原爆症認定に関する審査の方針」を導入します。ところが、この「審査の方針」が導入された2001年の原爆症認定率は、30パーセントを切り、その後も、2002年19パーセント、2003年24パーセントと推移し、いわば認定申請者の4人に3人が切り捨てられる事態が発生したのです。

 そこで、認定制度を変えていくことを目指し、7名の被爆者が2003年4月、札幌、名古屋、長崎の各地方裁判所に訴訟を提起し、ここに原爆症の集団訴訟が開始しました。
 その後も全国各地で集団訴訟が提訴され、原告は、13地裁、7高裁、1最高裁、合計279名(2009年3月末現在、日本被団協調べ)となっています。

 原爆症集団訴訟初の判決となった2006年5月12日大阪地裁判決(原爆症近畿判決)は、原告9名全員について、却下処分の取消請求を認容しました。
 国は2008年4月、原爆症認定の審査基準を改め、がんや白血病など5つの疾病のいずれかを発症した場合には、原爆症と認定するようになりました。しかし一方で、肝機能障害、甲状腺機能低下症などについては、要件にしておらず、今も被爆者が訴訟を継続しているわけです。

 原爆が広島と長崎に投下されてから既に60年以上がたった今も、全国の被爆者が、厚生労働省の認定基準の見直し、被爆者援護対策の一括解決などを求め、裁判所で争わざるを得ない状況は異常というほかありません。世界唯一の被爆国である国には、原爆症問題の早期全面解決に向けた真摯な努力、迅速な対応が求められているというべきです。

 東京高裁判決の結果がどうであれば、国は、肝機能障害や甲状腺機能障害を追加するなど、幅広く被爆者を救済する枠組みを、しかも直ちに作るべきです。仮に、政府が選挙向けに「検討に着手する」と打ち上げただけで、解決を先送りするのであれば誰も納得しないでしょう。今われわれ国民が政治に求めているのは、耳障りのいい「言葉」や「キャッチフレーズ」ではなく、「行動」なのですから。

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2009.05.25

医療ADR福岡

 福岡県弁護士会は、年内にも医療ADRを設置するため、準備を進めています。
 「ADR」とは、Alternative Dispute Resolution、直訳すると、代替的な紛争解決になりますが、裁判外紛争解決と訳されています。

 ADR法が2004年11月に成立し、2007年4月1日に施行され、最近注目されているADRですが、裁判所の「調停」や交通事故紛争処理センターなどもADRですから、「古くて新しい問題」(和田仁孝「新しいADRの世界をみる」(法学セミナー631号、2007年)16頁)ということができます。

そして、医事紛争、医療事故においても、裁判以外の解決ができないか、そういう視点で注目されているのが「医療ADR」になるわけです。

「医療ADR」は、(1)裁判所主導によるパネル方式(アメリカ型)、(2)民間=医師会主導による仲裁・鑑定方式(ドイツ型)、(3)行政機関主導による仲裁・鑑定方式(フランス型)が代表的と言われています(植木哲『医療の法律学・第3版』(有斐閣、2007年)72頁)。

弁護士会に設置する医療ADRは、(2)の民間型に含まれると言えるでしょう。
 この民間型医療ADRの取組としては、茨城県医療問題中立処理委員会の活動があげられますが、医師会内部における斡旋・調停機関としての制約(批判)は払拭されていないとの指摘もあります(植木哲「医療ADR機関設立の試み-千葉県の場合」(判例タイムズ1271号、2008年)47頁)。

つまり、医療ADRがその機能を果たすためには、「中立性」をいかに実現するかがまず問題になるわけです。弁護士会に設置する医療ADRにおいても、患者側で医療過誤を扱う弁護士、医療機関側で医療過誤を扱う弁護士、さらに、裁判官・学者経験者の弁護士を仲裁人に選任するなど、その中立性の確保に力を注いでいます。

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2009.05.22

新型インフルエンザ報道・対策に関する緊急アピール

 新型インフルエンザに関する報道が紙面、画面に流れないことはない昨今です。新型インフルエンザが現時点で弱毒性であると指摘されていることからすると、各県で患者が出るたびに右往左往する報道は、首を傾げざるを得なく思っている方も少なくないのではないでしょうか。
 九州薬害HIV原告団・弁護団が5月21日、緊急アピールを発表しました。

 「新型インフルエンザ対策 及び 報道に関する 緊急アピール」

 4月末にメキシコでの豚インフルエンザ発生が報じられて以来、厚生労働省及び自治体はインフルエンザ対策に奔走し、マス・メディアは連日のようにこのニュースを大々的に取り上げています。5月9日には、日本における最初の感染者が確認され、18日には兵庫、大阪の2府県で計2664校の休校が決定されたと報じられています。

 私たちは、このような行政やマス・メディアの対応をみるにつけ、1980年代後半のエイズ・パニックを思い起こさざるを得ません。
 感染の恐怖を煽ることを感染症対策の柱とした行政と、それに無批判に乗ったマスコミの過剰報道により、感染者たちは、職場や学校から排除され、医療からさえも拒まれました。1989年にはエイズ予防法が成立し、圧倒的多数の感染者は、感染の事実を誰にも告げることができず、社会からの孤立を強いられました。この状況は、いまもなお続いています。この時期に社会を席巻したHIV感染者に対する差別・偏見は、いまもなお日本社会に根深く残っているのです。
 同様のことは、ハンセン病問題にも言えるはずです。
 1996年に成立した感染症予防法が、その前文で、「我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。/このような感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められている」と謳っているのは、このような過去の感染症対策に対する反省があったはずです。

 ところが、今回の新型インフルエンザに対する行政、マスコミの対応には、そのような過去の感染症対策に対する反省が全く活かされていません。
 感染者は、何よりもまず「治療を必要としている患者」として扱われるべきであり、「社会防衛の対象となる感染源」として扱われるべきではありません。感染源としての扱いは、感染者が医療にアクセスすることを妨げ、結果的には感染者の潜伏に繋がります。感染者の人権に配慮しない感染症対策は、感染症予防策としても拙劣です。
 私たちは、行政担当者及びマス・メディアの方々に、過去の感染症対策の反省と、新型インフルエンザの感染力・毒力の正確な評価に基づいた冷静な対応を強く求めるものです。

 九州薬害HIV訴訟原告団 / 九州薬害HIV訴訟弁護団
 連絡先: ちくし法律事務所 092-925-4119

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2009.04.29

体罰に関する初の最高裁判断

 最高裁が4月28日、体罰を認定していた1審・2審を破棄して、逆転で体罰ではないとの初判断を示しました。

 そもそも学校において、教師から子どもに対する体罰は法律上許されているのでしょうか。
 学校教育法は、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、学校、生徒及び児童に懲戒を加えることができる」とした上で、「ただし、体罰は加えることはできない」と明記しています。つまり、体罰は法律上許されていないのです。
 しかしながら、「体罰」についての具体的な規定がないため、学校現場においては、教師もどこまでの行為が許されるのか悩み、また訴訟においても、当該行為が「体罰」に当たるか否かが争われることになるわけです。

 法務庁(昭和23年当時)の見解は、「身体に対する侵害を内容とする懲戒(なぐる・ける)が該当することはいうまでもない」とした上で、「このような身体侵害を伴わなくても、肉体的苦痛を与えるような懲戒」も体罰にあたるとします。
 本件最高裁以前の裁判例では、東京高裁が、教師が平手及び軽く握った右手の拳で生徒の頭を数回たたいたというケースについて、「有形力の行使でも、教師が個人的感情を抑制することに配慮し、口頭による説諭と同一視できる程度の軽微な侵害の場合に限り、教育的効果が期待できる」との判断を示しています。
 この東京高裁に対しては、文部省からも、「教育的効果という主観的な基準では教育現場での判断材料にはならない」という強い批判が出されていたところです。
 そして文部科学省は2007年2月、「身体の侵害や長時間の正座など肉体的苦痛を与えるものは体罰」とした上で、「(その他は)年齢、健康、心身の発達状況、場所や時間の環境などの諸条件を総合的に考え、個々の事案ごとに判断する」との通知を出していました。

 この点、本件最高裁は、「本件行為は、その目的、態様、継続時間等から判断して、教員が児童に対して行うことが許される教育的指導の範囲を逸脱するものではなく、学校教育法11条ただし書にいう体罰に該当するものではないというべきである。」として、「体罰」の判断基準として、「目的、態様、継続時間」等をあげていますが、その基準自体は、妥当というべきでしょう。

 では本件具体的事例に照らしてはどうでしょうか。原審で認定されていた事実は概ね以下の通りです。

・子どもは身長約130㎝の小学校2年生、身長167㎝の教員は3年生の担任だった
・子どもと教師は面識がなかった
・教師は、休み時間に廊下でだだをこねる別の3年生の男子を、しゃがんでなだめていた
・通りかかった子どもが、教師の背中に覆いかぶさるようにして肩をもんだ
・教師が離れるように言っても肩をもむのをやめなかったので、教師は、上半身をひねり右手で子どもを振りほどいた。
・そこに6年生の女子数人が通り掛かったところ、子どもは同級生の男子1名とともに、じゃれつくように同人らを蹴り始めた。
・教師はこれを制止し注意した。
・その後、職員室へ向かおうとした教師に対して、子どもが後ろから教師のでん部付近を2回蹴って逃げ出した。
・教師は、これに立腹して子ども追い掛けて捕まえ、被上告人の胸元の洋服を右手でつかんで壁に押し当て、大声で「もう、すんなよ。」と叱った。
・子どもは、同日の夜自宅で大声で泣いて、母親に対し、「先生から暴力をされた。」と訴えた。

 最高裁は、具体的なあてはめにおいて、「本件行為は、児童の身体に対する有形力の行使ではあるが、他人を蹴るという被上告人の一連の悪ふざけについて、これからはそのような悪ふざけをしないように、被上告人を指導するために行われたものであり、悪ふざけの罰として被上告人に、肉体的苦痛を与えるために行われたものではないことが明らかである。Aは、自分自身も被上告人による悪ふざけの対象となったことに立腹して本件行為を行っており、本件行為にやや穏当を欠くところがなかったとはいえないとしても、本件行為は、その目的、態様、継続時間等から判断して、教員が児童に対して行うことが許される教育的指導の範囲を逸脱するものではない」として、体罰ではなく、したがって国賠法上の違法でないと判断しました。

 教師と子どもの間には面識がなかったこと、教師が一度注意したこと、それにもかかわらず子どもが指導に従わず、教師の臀部を蹴って逃げたこと、そのため教師としても引き続き教育的措置を採る必要があったことなどが、体罰ではない方向に働く大きな事実だったように思われます。

 なお、ある学校関係者の「教師と生徒の人間関係の中で、指導のために胸ぐらをつかむ程度のことは必要」というコメントを目にしましたが、最高裁が、「一般的に、胸ぐらをつかむ行為は体罰ではない」とか、「一般的に、教師が子どもの胸ぐらをつかむ行為は、許される」と判断したものではもちろんありません。
 事案によっては、胸ぐらをつかむ行為も体罰になることもありますので、注意を要します。

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2009.02.09

薬害肝炎最新情報

 薬害肝炎全国原告団・弁護団の情報を随時お伝えしていく「薬害肝炎最新情報」のコーナーです。2月9日時点の情報をお伝えします。前半が九州原告団の動き、後半が全国の動きです。

 長崎・肝炎医療講演会
 2月15日(日)、ウイルス性肝炎の最新の治療法などに関するC型肝炎医療講演会が、長崎市茂里町の県総合福祉センターで開かれます。長崎医療センターの八橋弘医師が「ウイルス性肝炎の最新治療とこれからの課題」 と題して午後2時から5時まで講演します。
事前予約は不要で入場無料。「肝炎対策基本法(肝炎患者支援法)」の制定を目指す日本肝臓病患者団体協議会などが主催する「肝臓患者支援のための全国キャンペーン」の一環です。

 大分県庁への要請行動
 2月6日、薬害肝炎九州原告団が大分県庁に、肝炎ウィルスの検査体制や治療費助成制度の拡充、支援を求める要請行動を行いました。薬害肝炎九州原告団は、九州沖縄山口全県に対して要請行動を行ったことになります。現在、結果を集計中ですのでいずれ公表予定です。

 沖縄・肝炎医療講演会
 3月8日(日)、沖縄で肝炎医療講演会を開催します。場所は、八汐荘(沖縄県那覇市松尾1-6-11)。13時30分から15時までハートライフ病院佐久川廣先生に講演をして頂くとともに、15時15分頃から16時まで「沖縄県における肝炎医療体制の現状と今後について」行政担当者からも説明を頂きます。

 都道府県衛生担当課長会議
 2月6日、都道府県衛生担当課長会議が厚生労働省内で開催され、2009年度の肝炎対策についての説明がなされました。議題内容は、「肝疾患地域連携拠点病院の指定と予算配分の変更」、「インターフェロン治療費助成期間の条件付き変更」、「インターフェロン治療費助成における所得の把握について(変更)」、「肝炎ウイルス検査の医療機関委託事業の1年延長」などです。

 肝機能障害の評価に関する検討会(第3回)
 1月29日(木)14時から16時まで厚生労働省内の会議室で開催された、肝機能障害の評価に関する検討会の配布資料が公表されました。

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2009.02.06

少年法改正対応、「少年事件付添人マニュアル」第2版

Manyuaru_2 少年法は平成19年、平成20年と重要な改正が続きました。特に、平成20年改正は、被害者が少年審判を傍聴できる制度を創設するなど、非公開を原則とする少年審判に変容を迫るものといえます。付添人弁護士としては、少年法の目的である「少年の性格の矯正・環境調整に関する保護処分」(1条)に支障が出ないように、活動していくことが求められます。

 この度、好評で売り切れていた「少年事件付添人マニュアル」に、平成19年改正・平成20年改正分を加筆して第2版として出版しました(日本評論社・子どもの権利委員会編・定価2000円・税別)。
 平成20年改正部分は、第169回国会の国会審議録を読み込み、国会審議の内容・政府側答弁も引用するほか、被害者傍聴の対象事件を刑法犯と特別刑法犯毎に一覧表にまとめるなど、大変読みやすくなっています。

 また、末尾の「九州管区少年院 探訪レポート」は、少年院にアンケートを行って最新情報を反映させるほか、平成12年改正少年法施行から平成18年までの最新統計資料(最高裁調べ)も盛り込みました。
 もちろん、付添人達の「少年のパートナー」として豊富な活動経験は、初版に引き続きふんだんに記載されています。

 日本評論社の編集者のご努力・アドバイスもあり、ようやく出版にこぎつけた第2版少年事件付添人マニュアル。2月10日すぎから配本されますので、ぜひ手にとってご覧頂ければと思います。

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2009.02.04

「薬害肝炎訴訟」最新情報

 薬害肝炎に関する最新情報をまとめてお伝えします。これからも「薬害肝炎最新情報」のコーナーでは、薬害肝炎全国原告団・弁護団の情報を随時お伝えしていきます。

・福岡地裁での和解
 福岡地裁で34名の和解が成立しました(3部に継続し、1月30日と2月3日の期日の合計)。これで福岡地裁の原告300名のうち202名が和解成立したことになります。
 今後も以下の和解期日が予定されています。
 3月2日(月)15時・6民(第7回)   3月12日(木)13時半・3民(第10回)
 4月22日(水)10時半・2民(第5回)/11時・3民(第11回)/11時半・6民(第8回)

・東京高裁・東京地裁
 1月27日東京高裁にて、日本製薬に対して原告2名が請求放棄手続を行いました。
 同日東京地裁では、33被害者が和解成立しました。東京は原告414名のうち218名が和解成立したことになります。

 糊の進捗状況
 フィブリン糊を使用された原告のうち、輸血がない事案でについて、1名が和解成立しました。ただし、輸血併用事例については、昨年11月の期日での回答と同じく、国は「3月までに何らかの回答を出したい」という回答に終始しました。

・仙台地裁和解
 1月30日、仙台地裁において5名の和解が成立しました。薬害肝炎東北弁護団の原告80名のうち43名の和解が成立したことになります。

・島根地裁和解
 2月2日、松江地裁で3明の和解が成立しました。松江地裁は、薬害肝炎大阪弁護団の支部になります。

・名古屋高裁
 2月3日、名古屋高裁において、日薬原告(1名)が、日薬に対する請求を放棄しました。仙台、東京についで3箇所目となります。名古屋高裁訴訟は、すべて終結となりました。

・静岡地裁提訴
 2月4日、原告5名が静岡地裁に提訴しました。薬害肝炎東京弁護団支部の静岡弁護団による提訴です。(肝硬変1名/慢性肝炎2名/無症候/急性肝炎2名)
 入廷行動・記者会見には、ほぼ全ての地元テレビ・新聞が参加し、関心の高さがうかがわれました。今後も掘り起こし追加提訴を行っていきます。

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2009.01.10

産科医療補償制度と医療過誤

 産科医療補償制度が平成21年1月からスタートしました。同制度は、出産の際に出生児が重度脳性麻痺になった場合、医療機関・医師の過失の有無を問わず、3000万円の補償金が支払われる制度です。
 制度の概要は以下の通りです。

 補償対象は、
 1 出生体重が2000グラム以上かつ在胎週数33週以上
 2 身体障害者1級か2級相当の重症児

 以下の個別審査で補償の対象になることもあります。
 1低酸素状況が持続して臍帯動脈血中の代謝性アシドーシス(酸性血症)の所見が認められる場合(pH値が7・1未満)
 2 胎児心拍数モニターにおいて特に異常のなかった症例で、通常、前兆となるような低酸素状況が、例えば前置胎盤、常位胎盤早期剥離、子宮破裂、子癇、臍帯脱出等によって起こり引き続き、次のア~ウのいずれかの胎児心拍数パターンが認められ、かつ、心拍数基線細変動の消失が認められる場合
 ア 突発性で持続する徐脈
 イ 子宮収縮の50%以上に出現する遅発一過性徐脈
 ウ 子宮収縮の50%以上に出現する変動一過性徐脈

 補償金額は、600万円の一時金と20年に渡り毎年120万円を支払うものです。
 なお、平成21年1月1日以降の出産が対象ですが、当該医療機関が制度に加入していないと支払われません。

 産科医療補償制度の導入で医療過誤訴訟の抑制になることを期待しているようです。しかし、出生児が障害者1級、2級相当の障害を負えば、その損害は3000万円を優に超えます。したがって、産科医療補償制度にて補償金を受領しても、それとは別に、医療機関側の過失を立証して、3000万円を超える損害について、賠償請求(示談・訴訟)することは当然認められますから、医療過誤訴訟の抑制になるとは思われません。

 同制度の目的としては、不幸にも重度脳性麻痺を負担した家族の救済こそ第一の目的に位置づけなければなりません。
 そのためには、同制度に加入する医療機関を増やすことにくわえ、補償対象が、1級か2級に限定されているのは見直しの余地があります。
 そして、個別審査においては、患者家族救済の視点での運用がのぞまれるといえるでしょう。

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2009.01.09

証券集団訴訟

 サブプライムに関連するアメリカの金融危機が広がる中、アメリカの投資家が欧米の金融機関を訴える証券集団訴訟が急増しているようです。

 米スタンフォード大学ロースクールが集計した。「情報開示が不十分で損失を被った」などとして08年に米連邦裁判所に訴えた証券集団訴訟の総数は210件(推計)と前年比2割増えた。このうちサブプライム関連訴訟は97件と約半分を占め、件数は前年の2・5倍となった・・・サブプライム関連では経営が悪化した金融機関だけでなく、金融機関が販売した金融商品を巡る訴えもあり、訴訟のすそ野が広がっている。(日本経済新聞・1月8日より)

 アメリカでのサブプライム関連集団訴訟の動きが、そのまま日本に波及するとは思われません。サブプライム商品はさほど日本に出回っていませんし、そもそもアメリカの集団訴訟は日本とは制度が異なり、被害者を代表して一部の被害者が訴訟を起こすことができ、しかも判決の効力が被害者全体に及ぶ「クラスアクション(class action)」を採用しているからです。

 ですが、日本でも一般投資家からの法律相談は増えており、従前の枠組みでの証券会社等への提訴は、日本でも若干増えると予想されます。なお、従来の論点としては、適合性原則違反、説明義務違反、断定的判断の提供、無断売買・一任売買、過当売買などが争われています。

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2009.01.01

謹賀新年 2009

2009alan明けましておめでとうございます

 旧年中は大変お世話になりました。今年もニーズに沿った的確な法的サービスに努めてまいりたいと思いますので、依頼者、顧問先の方々におかれましては、今年も古賀克重法律事務所をご愛顧ください。

 また薬害肝炎訴訟を支えてくださった支援の皆様にも長年に渡り大変お世話になりました。
 2003年4月の提訴以来、九州訴訟では、九州肝臓友の会をはじめとする患者の方々、医療関係者、スモン訴訟・HIV訴訟・ハンセン病訴訟の原告さん、大学・ロースクールの学生さん、一般の方々の熱心な支援を受けてまいりました。昨年はようやく薬害肝炎救済法の成立、企業との基本合意、和解成立に至ることができました。
 心より御礼申し上げます。

 肝炎問題の課題は山積みですが嬉しいこともありました。
 九州第一陣原告の山口さん、福田さんに続き、出田さん、小林さんもインターフェロン治療を開始。ウイルス陰性化の報告を受けたことです。まだまだ予断を許しませんが、九州訴訟を6年前から引っ張ってきた第1陣の実名原告さんが治癒すればこんなに嬉しいことはありません。
 さらに匿名原告の4番さん、16番さん達も強い副作用に耐えながら治療中です。原告だけではなく一人でも多くの患者さん方が治癒されることを祈念して、年賀の挨拶にさせていただきます。

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2008.11.28

弁護士会のCM

 福岡県弁護士会では、平成19年6、7月に初めてラジオおよびテレビCMを実施しました。本年も引き続き、ラジオは9か月間、テレビは年4回(1回につき、2週間から4週間)を放映中です。CMの内容は、多重債務の無料法律相談についてです。
 CM効果として、19年4月から9月までの6か月間でサラ金相談件数は6117件となり、18年度の1年分である5854件を大きく上回り、さらに1年間では実に1万1265件となりました。Cmbanner

 今後の検討課題は、多重債務者の救済が進むほど相談件数も減少するため、費用対効果との関係で多重債務問題のテレビ・ラジオCMを継続するかにあります。

 ですが、弁護士会の活動は、多重債務相談だけではありません。交通事故無料相談、子どもの人権相談、一般民事の相談、当番弁護士・当番付添人、高齢者・福祉の相談、外国人の相談など多岐に渡ります。
 今後は弁護士会(弁護士)自体の認知を高める視点でのCM継続が求められていると思われます。

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2008.11.22

最近の悪徳商法

 「最近の悪徳商法 ~その被害と対策」と題して、宗像市消費生活センターのお招きで講演を行いました。天気の悪い中、たくさんの方々が熱心に耳を傾けてくださいました。
 最近の傾向を一言でいえば、架空請求の深化と巧妙化と言えるでしょう。2003年頃から被害が出始め、それ以来毎年250億円もの被害が報告されています。

Kouen 「オレオレ詐欺」「ボクボク詐欺」「振り込め詐欺」・・・色んな表現がされますが、要するに、嘘の請求の総称です。家族を騙る、友人を騙る、警察・行政を騙る、法律事務所を騙る。何でもありの状況ですが、要は、いったん立ち止まって確認さえすれば被害は避けられます。

 中には「あなたはカニが好きですか?」というアンケートのような電話があり、「嫌いじゃないですけど・・」と応えると、いきなりカニが送りつけられ、後から代金名目の高額な金員を請求されるという被害も報告されています。
 年末から年始にかけて何かと動きのでる時期ですから注意が必要ですね。

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2008.10.30

医療事故・医療過誤の法律相談について

 「自分の受けた治療は正しかったのでしょうか」、「この後遺症は避けられなかったのでしょうか」、「家族が亡くなったのは本当にやむを得なかったのでしょうか」
 福岡県を含め九州沖縄山口地区でも、そんな医療事故、医療過誤についての法律相談が増えています。

 まず、医療事故、医療過誤について弁護士に相談する際には、次の事前準備をしておくと的確なアドバイスを受けることができるでしょう。

 経過をまとめる(日時・時間、症状、診断名、手術、検査の処置)
 医療機関から受けた説明の内容
 疑問点をまとめておく

 医療事故法律相談を受ける前に、この経過表だけでもFAXないしメールで伝えておくと、弁護士も多少の事前調査をした上で相談にのぞめます。

 また、カルテ(診療記録)を医療機関から入手しましょう。10年前まではカルテを入手するのも一苦労。必ず裁判所に証拠保全手続きをかけていました。しかし最近ではカルテ開示が浸透していますから、医療機関の医事課などに尋ね、定型書式で開示を申し込んでください。

 もちろんカルテ開示の場合には医療機関による「偽造」という問題は残ります。しかし大半の医療機関はそのような行為は行いません。当初からの対応に疑問がある、カルテ開示に拒否反応を示しているなど徴候がうかがえる場合には、弁護士に相談して証拠保全手続きを取ったほうが良いケースもあります。

 法律相談だけで結論が出ない場合は、弁護士に医療調査を依頼することになります。医療過誤事件として請求できるのか否かは、カルテを精査し、医療文献・過去の裁判例を調べるとともに、必要に応じて当該医療機関からの聴き取り、さらに協力してくれる第三者の医師からのアドバイスを受けるなどの調査を行わなければ分かりません。

 医療過誤事件は被害が大きいため、請求金額がえてして高額になります。請求金額が高額ということは弁護士費用も高額になりかねません(弁護士費用は、請求金額=経済的利益として、算出しますから、一般的には比例します)。

 そこで一定の調査を行う調査として受任して(費用は安くて済みます)、一定の方向性を出してから受任するのが、患者側として医療過誤を専門に取り扱う弁護士の通常のスタイルです(ただし、医療機関の責任が明白であり、医療機関側も損害賠償する意向を示しているような場合は、損害額が争点になりますから、損害賠償請求事件として当初から受任することになります)。

 調査が終了すると調査結果報告書を書面でお渡しします(口頭で説明するだけの弁護士もいるようですので、調査を依頼する時に確認しましょう)。
 この調査結果報告書には、損害賠償請求の可能性について理由とともに説明した上で、調査した医療文献、判例なども添付します。そして最終的に医療機関に損害を請求するのか否かを判断して頂くことになります。

 

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2008.08.30

少年事件と被害者

 20年8月29日、福岡県弁護士会の少年付添人研究会のアドバイザーとしてコメントする機会がありました。少年付添人研究会は、福岡県弁護士会の若手有志(主に60期)が毎回テーマを決めて事例報告を行い、先輩弁護士のアドバイスを受けるという勉強会。非常に熱心な活動を行っており、「季刊刑事弁護」にも活動レポートが掲載されています。

 今回は「少年事件における示談、被害者」がテーマ。
 平成20年少年法改正をふまえた「付添人マニュアル」(日本評論社)の改定作業を私が担当者としてすすめていることから、指名が来たようです。

 新人弁護士の場合、被害弁償・示談は行うものの、少年事件における位置づけが弱いことも少なくありません。
一昔前までは、裁判官や調査官から「弁護士さんは示談さえすれば少年の処分が軽くなると思っており、困る」と良く指摘されていたものです。
 周知の通り、少年法は、成人の刑法・刑訴法と異なり、保護主義が採用されています。したがって、謝罪や被害弁償が、少年の要保護性(累非行の危険性、保護相当性、矯正可能性と考えるのが通説)解消との関係でどのように位置づけられているのか。謝罪・被害弁償を通じて、少年の累非行の危険性は減少したのか、保護相当といえるか、矯正可能性はあるのか。
 つまり、示談・謝罪をすれば要保護性が直ちに減少するものではなく、示談(少年が分割で支払うのか、両親が支払うのであればそれに対する感謝や反省があるか)や謝罪(被害の重大性に目を向けているか、被害者の立場を理解しているか)の意味を少年に理解させ、少年の内省を深めて、「要保護性」の減少に結びつけることが必要になるわけです。

 一方で、被害者保護の流れの中で、少年事件においても、被害弁償・示談を積極的に行うこと自体も強く求められるようになってきています。例えば「被害弁償はどうなっていますか、まずは示談を進めてください」と調査官から端的に指摘されることも増えています(「被害者問題における少年事件の刑事事件への接近」とでも言いましょうか)。
 そして今年6月には、与野党のねじれ国会の余波を受け、あっという間に「少年法改正」が行われてしまいました。改正法は今年12月1日施行ですから、12月から一定の重大事件の被害者が少年審判を傍聴するケースが出てきます。

 以上の流れを中心にアドバイザーとしてコメントしましたが、弁護士(付添人)としても、被害者傍聴ケースにおいては、十分な勉強と準備、そして少年と被害者双方に対する配慮が求められそうです。
 このような実務に直結する問題点を中心に「付添人マニュアル」を改定する予定です。

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2007.08.07

平成18年の訟務事件の概況

 法曹時報59巻7号(19年7月号)より。 
 


Mailmaga2平成18年度の民事法務行政の歩み(法務省民事局)

 「平成18年末の司法書士登録者総数は1万8521人となっている。また同年末における司法書士法人の総数は195法人。司法書士の簡裁代理権について法務大臣の認定を受けたものは、平成18年度969名、総数は1万679名となっている。」

 つまり、平成18年度時点にて、司法書士の6割近くが簡裁代理権を付与されていることになる。

 「平成18年1月20日の筆界特定制度運用開始から平成18年度末までに約3300件の申請がなされて順調に運用されている。」

 不動産登記法等の一部を改正する法律が成立し、平成18年1月20日から施行されている。この改正法により筆界特定制度が導入された。これは、筆界特定登記官(法務局の担当官)が、土地の所有者等の申請によって、申請人・相手方らに意見及び資料を提出する機会を与えた上、外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて、筆界の現地における位置を特定するものである。最近の法律相談でも、この筆界制度を使いたい、筆界申請がなされていきなり法務局から通知が来たがどうしたらいいか、というものが目に見えて増えている。

 筆界申請を申し立てる場合には法務局のパンフレットなどを参照するといい。

 筆界申請を申し立てられた相手方の場合、法務局から「意見聴取等期日通知」が送付され、資料提出や意見書の提出、そして意見聴取期日を指定した書面が送付される。資料には番号をふることが要求され、資料説明書(いわゆる民事訴訟の証拠説明書と全く同じもの。資料番号、資料の表示、作成者、作成日、資料提出の趣旨)の提出を求められる。
 従来の境界紛争の場合、専門家でない法律家が、裁判所に境界確定訴訟を提起するほかなかったが、この筆界特定制度の導入により、迅速かつ適正な特定を目指している。但し、筆世特定の結果に不満がある場合には、従来の境界確定訴訟を提起することができる。


Mailmaga2平成18年における訟務事件の概況(法務省大臣官房訟務企画課)

 100頁程度の枚数を使って平成18年の訟務事件の概況(国が被告となった訴訟の簡単な内容と結果)が記されており、参考になる。ただし、棄却判例(つまり自分の主張が認められた場合)に枚数をさいており、バランスを失している。読者としてはむしろ認容判例にこそ意味がある。

 例えば、B型肝炎の最高裁判決にいたっては、ページ数にして1頁しか記載がなく、余りに露骨というか、最高裁の影響力への敬意が足りない。薬害肝炎訴訟については、2頁程度さいているものの、大阪判決にしか記載がなく、責任範囲を拡張した福岡判決はあえて無視している。

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2007.08.04

家庭裁判月報(59巻7号)


Mailmaga2現住建造物等放火保護事件の保護処分決定(初等少年院送致)に対する抗告事件において、抗告を棄却した事例(名古屋高裁平成19年1月25日決定)

 養護学級に在籍する中学3年生が、学内での不安感・教師の叱責等からストレスを高めて、2店舗において放火を行った非行事件。少年には非行歴がなく、保護者が少年に愛情をもって接していることなどを考慮しても、要保護性は見逃せないと判断した。
 重大非行の場合、要保護性の高さが事実上推認されてしまう。裁判所としても事件の筋として施設処遇に傾きやすい。付添人としては被害弁償と要保護性の解消をからめながら、調査官・裁判官を説得していく必要がある。少年に軽度の精神発達遅滞があることからしても、十分社会内処遇も可能であった事案ではないだろうか。


Mailmaga2窃盗保護事件により保護観察決定を受けた少年について、後件の犯人隠避等保護事件の調査・審判を通じて身代わり犯人であったことが判明したため、裁判所書記官の報告に基づき、保護処分取消事件を立件した上、当該決定を取り消した事例(大阪家裁平成17年12月16日決定)

 少年は、友人をかばったり、非行事実についても警察の言われるがままに認めてしまう傾向が強い。このケースも、少年が親友をかばって原付窃盗事件の保護観察処分を甘んじて受けていたものの、その親友が少年の鑑別所入所を言いふらしたり、被害者から損害賠償請求がなされたことから、真実を述べるに至ったもののようである。なお、裁判所書記官が、窃盗保護事件の保護処分取消しに関する立件報告書を作成し、これに基づいて裁判官が立件命令を発している。


Mailmaga2離婚の訴えにおける別居後離婚までの間の子の監護費用の支払を求める旨の申立てと裁判所の審理判断の要否(最高裁平成19年3月30日判決)

 本最高裁は、「離婚の訴えにおいて、別居後単独で子の監護に当たっている当事者から他方の当事者に対して、別居後離婚までの期間における子の監護費用の支払いを求める旨の申立てがあった場合には、裁判所は離婚請求を認容する際に、人事訴訟法32条1項所定の子の監護に関する処分を求める申立てとして、その当否について審理判断しなければならない。」と判断した。

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2007.07.28

判例タイムズ(1239号)


Hanreit1239Mailmaga2上部内視鏡検査を受けていた患者が前処置としての局所麻酔(キシロカイン)の投与によりショック死した場合、担当医師らに問診義務違反、観察義務違反、救命措置義務違反があったとして、病院側の不法行為責任が認められた事例(福岡高裁平成17年12月15日判決・判例タイムズ1239・275)

 私も原告代理人の一人としてかかわった裁判。カルテの一部が破棄されているなど、病院側の対応に問題があると指摘し続けた事件。地裁はあっさりと原告の主張を排斥したが、高裁では原告側が申請した麻酔科医師の証人尋問を実施した上、逆転勝訴判決となった。被告は、キシロカインショックではなく脳幹部脳梗塞が死因であると主張したが、「その可能性はずれも単なる憶測や意見にすぎない。・・脳幹部脳梗塞を積極的にうかがわせる事情はなくむしろこれに疑問を生じさせる事情が認められる」と判断した。そして、カルテの一部が破棄されている点についても、「心電図モニターの記録用紙も紛失したとして提出されないばかりか、救命措置の時間的経過に関する客観的な証拠も全く提出されていない。・・このように救命措置の客観的資料を何一つ提出できないという事態は、現場の混乱ぶりを如実に示すとともに、何らかの不自然さをぬぐうことができないばかりか、本件訴訟における注意義務違反の立証に関する不利益を被告が負うべきである」と踏み込んだ判断を行った。
 キシロカインショックを巡る医療過誤訴訟は少なくなく、先例として東京高裁平成6年10月20日判決・判例タイムズ883・231、東京地裁平成5年3月5日判決・判例タイムズ883・238などがある。


Mailmaga2墓地使用権および墓碑等の承継者を原信販が被相続人の長男と定めたのに対し、抗告審が長女に変更した事例(東京高裁平成18年4月19日決定判例タイムズ1239・289)

 祭祀承継者について被相続人が指定しておらず、祭祀を主宰すべき者を定めるべき慣習も存在しない場合、家庭裁判所が定めることになる(民法897条)。祭祀承継者は、その性質上、被相続人と密接な生活関係・親和関係にあって、被相続人対する慕情、愛情を最も強く頂く者を選ぶべきとされる。
 本件は、長男ではなく、被相続人とは別姓の娘を承継者に指定した事例であり、事実認定と結論の導き出しが参考になる事例判決である。

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2007.07.27

判例時報(1967号)


Hanreij1964Mailmaga2飲酒運転事故の被害者に遷延性意識障害等の後遺障害(1級3号)が残った場合、加害運転手に対して総額3億円の賠償支払いが命じられた事例(千葉地裁佐倉支判18年9月27日判決判時1967・108)

 高額賠償を命じた裁判例でマスコミでも大きく取り上げられた。ただし、損害の算定項目はいたってオーソドックスなものであり、原告代理人の立証の成果に負うところが大きいのではないか。ついつい争いの激しい責任論にばかり力が入り、損害立証が薄くなることがあるが、その意味でも参考になる裁判例である。
 また、つい控えめな算定に終始しがちであり、「被害者の被害回復」という視点に欠けがちな裁判実務への問題提起としても意味がある。

 治療費  1570万6686円  入院雑費   44万8500円
 入院付添費 194万3500円  症状固定後の治療費 707万5775円

 治療費は原則として症状固定日までだが、その支出が医師の指示によるなど相当な場合には認められる場合がある(名古屋高判平成2年7月25日判決判時1376・69など)。

 休業損害 239万1868円  傷害慰謝料 350万円
 逸失利益 7244万1811円  後遺症慰謝料 3200万円

 通常後遺症1級の後遺症慰謝料は3000万円であるが、原告は3500万円請求。

 将来の付添介護料 1億3441万1340円  将来雑費 1556万4870円
 家屋改造費用 2370万円

 家屋改造の改築工事提案書を提出。その9割を認容。

 車両改造費  421万2313円  介護用品代 453万2876円
 介護ベッド代 80万4382円  車椅子代  121万0950円
 入浴担架代  96万3467円  空気清浄機代 28万7897円
 痰吸引機代 112万2119円 など。


Mailmaga2長年夫婦同然の関係にあった女性に対する所有不動産の一部の死因贈与が公序良俗に違反しないとされた事例(東京地裁平成18年7月6日判決判時1967・96)

 不倫関係を継続するための贈与や保険金受取人の指定は公序良俗に反すると解されているが(東京高裁判例平成11年9月21日など)、本件は、男性が自分の死亡後の女性の生活を案じて、事実上夫婦関係にあった女性に対して不動産を贈与したものであり、その動機・経過に照らして公序良俗に反しないと判断した。


Mailmaga2整理解雇が無効とされ、慰謝料請求が認容された事例(東京地裁平成18年11月29日判時1967・154)

 整理解雇のリーディングケースである東洋酸素事件(東京高裁昭和54年10月29日判決判時948・111)が示した4要件に従って判断した。つまり、整理解雇が有効となるのは、使用者において人員削減の必要性、解雇回避努力を尽くしたこと、人選の合理性を主張立証すべきである、労働者において、手続きの不相当性等使用者の信義に反する対応等を主張立証することになる。

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2007.07.26

RKBラジオ(最近の労働問題)

 RKBラジオの番組に出演し、最近の派遣・契約社員を巡る法律問題について質問を受けました。概略下記の内容のコメントをしました。


Radio_img<最近の労働問題に関する法律相談の傾向は?>
 従来の労働問題相談の御三家は、1 解雇、2 労働条件の引き下げ、3 賃金・残業代の未払だった。
 ところが、最近では、「長時間労働」や「派遣・契約社員」の相談が急増している感がある。

<派遣・契約社員の相談が増加している社会的背景とは?>
 派遣・契約社員相談が増加している背景には、不況などから会社側が雇用調整を容易にする目的があると思われる。
 平成15年の厚生労働省の調査によれば、全国の労働者の割合は、正社員が65・4パーセント、非正社員が34・6パーセントになっている。
 前回平成11年の調査と比較すると、非正社員(特に、パート、契約社員、派遣労働者)は7・1ポイントも増加している。

<契約社員の法律相談>
 契約社員となる場合、正社員と異なり、複数の会社で働ける・勤務時間を選べるというメリットもある。ただし、契約期間が1年から3年ということが多い。そのため、「契約満了直前に更新しないと言われた」という相談が多いものの、契約社員は雇用期間に定めのある契約なので、期間満了によって終了するのが原則。このように生活が不安定になるデメリットは内在的に抱えているためあらかじめ注意が必要だ。

<派遣労働者の法律相談>
 注意を要するのは、派遣労働者の場合、雇用契約を締結するのは派遣元であることだ。派遣先に問題があれば、派遣社員は派遣元に対して是正を申し入れることも可能である。
 一方、業務上の指揮命令は、派遣先が派遣社員に対して行うことになる。
 逆に、 派遣先との間においては、直接の雇用契約がないため労働基準法が適用されない。しかし、派遣法では、一方的な解約を禁じるなど雇用契約に近い保護が与えられている。例えば、派遣先は、契約期間中は、正当な理由なく派遣契約を解約することはできない。

<労働問題の解決方法は?>
 何よりも会社側・労働者側の双方が十分な話し合いを持つことが前提だが、それでも解決しない場合には以下の方法が考えられる。
 1 労働基準監督署
 残業代の未払等に関しては効果的。労働基準法違反で送検されるケースも出ている。
 2 裁判所
 仮処分 →福岡県下であれば弁護士会が設置する各法律相談センターで相談して欲しい。
 3 労働審判
 2006年からスタート。3名が合議で判断、期日3回を原則、3~4か月で解決する。会社側・労働者側にとっても使い勝手が良い制度。ぜひ有効活用して頂きたい。
 なお、「労働事件審理ノート」(判例タイムズ社、福岡地裁判事山口幸雄ほか編)が使い勝手の良い参考文献。

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2007.06.17

弁護士会のテレビCM

070616saimu 皆さんが日々目にするテレビCM。その中でも「弁護士会」のCMをご覧になったことはありますか。
 弁護士会のCMは全国的にもほとんど例がありませんが、福岡県弁護士会は、6月16日から2週間、テレビCMを流しています。

 これは、福岡県弁護士会が開設する20か所の法律相談センターにおいて、「多重債務に関する法律相談料30分5250円」を、一律無料化にしたことを広報するためのCMです。

 「30分5250円」といえども、多重債務に苦しむ方々にとってはアクセス障害の一因とも指摘されているため、全面的に無料化にふみきるものです。
 一方、「30分5250円」といえども、年間にすれば総額2000万円以上の相談料を無料にすることになります。(相談料から、職員の人件費、20か所の法律相談センターの賃料、施設維持費をまかなっています。)
 よって、かなりの覚悟のいる判断でした。

 しかし、「200万人」とも言われる多重債務者を救済するために、弁護士会としても主体的に関与していくことを決めたものです。
 一人でも多くの方々に知っていただくために作成した多重債務広報CM、ぜひご注目ください。

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2007.03.28

東京判決後の動き(九州弁護団より)


 弁護士 石田光史

 東京判決から一夜明けた24日。
 各新聞朝刊の1面を原告勝訴の記事が飾りました。社説で取り上げてくれた新聞も複数ありました。ネットニュースを引用したブログも数十に上っています。弁護団のホームページにも、判決後多数の訪問がありました。いかにこの問題に対する社会の関心が高いかが分かります。

 さて。24日の朝刊のある記事を読んで、私は目を疑いました。厚労省幹部の言葉として、「3連敗どころか、大きな前進だ」というセリフが載っていたのです。
 ・・・一体、どこをどう解釈したら、あの判決を受けて「前進」などという言葉が出てくるのでしょうか。
 確かに大阪・福岡両判決と今回の東京判決の判断枠組みは異なりました。しかし東京判決は、明確に国の違法を認定しています。不適切な使用が繰り返されていたのに何の対策も取らなかった、「ここに本件薬害の本質がある」と言っているのです(ちなみに、大阪・福岡の判決文には「薬害」という言葉は使われていません。東京判決は、本件が国と企業に責任がある「薬害」であることを明言した画期的な判決です。)。

 自身の行為が違法であった、そのせいで重篤な疾患であるC型肝炎に感染させられた多数の被害者がいる。そのように認定されたことを、厚労省は一体どう考えているのか。厚労省はこの問題をどう解決しようとしているのか。そもそも解決するつもりがあるのか。
 国に責任があると明確に断じたという最も重大な事実を棚に上げて、個々の判決理由の細部に一喜一憂している。このような厚労官僚には、この問題を解決する意思も能力もないのではないかと疑わざるを得ません。

070323giin 24日は、昨日の判決を受けての今後の活動について、原告団・弁護団で会議を持ちました。大阪・福岡に続いて三度国の違法を断罪した本判決をてこに、全国350万人のウイルス性肝炎患者を含めた解決を絶対に勝ち取りたい。そのために原告団・弁護団は、精力的な活動を開始しています。
 今後もいろいろな動きがあると思いますので、みなさん、ぜひ引き続き薬害肝炎問題にご注目・ご支援をお願いいたします。


 弁護士 中山篤志

 三度の国への勝訴の結果を受けて、弁護団・原告団は、政治による早期解決を図るべく、あわただしく様々なアプローチを行いました。

 先ずは、厚生労働大臣への面談の実現を要請しました。
 大臣が政治解決をする気が全くなくて原告に会うことは無いから、大臣面談が実現すれば、政治解決の方向性が見えてきたことを意味するのです。
 しかも3月27日までを回答期限とし、それまでに誠実な回答がなければ、厚生労働省前の日比谷公園で座り込みを決行することにしました。
 そのため、急遽、座り込み実行委員会を組織して、設備やマスコミ対応などの準備が急ピッチで行われました。最大の問題は、大勢の応援する人が駆けつけてくれるかです。原告が座り込みをし、その周りに大勢の応援する人が囲んでいる絵が、マスコミの報道などで紹介されれば、国に対して相当にプレッシャーを与えることができるはず・・そのためには、東京を中心に大勢の人に応援を呼びかけなければなりません。そのために実行委員では手分けしての電話掛けやチェーンメールによる告知をするなどの対応に追われました。

 水面下では、政治解決の途をつけるべく、国会議員に対するアプローチをしました。
 それは、大阪判決後の全国会議員へのローラー作戦で種をまき、その後も個別の議員面談をセットして協力者を増やして水を撒きながら、判決前の3月初旬にも絞り込んでローラーを行ってきたことを踏まえてのものでした。
070322giin 3月初旬に絞り込んだ国会議員との個別面談を再度セットしました。また、民主党などのヒアリングだけでなく、与党である自民党や公明党のヒアリングも実現しました。野党の議員からは、国会で肝炎問題の質問をしたいからということでの面談も組まれました。

 私は、27日の早朝にこの原稿を書いています。以上の動きが実を結んでいますことを祈ります。

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2007.01.27

近未来通信・九州地区第1回説明会

 近未来通信による被害は、さらに広がりを見せています。最近では別会社を作った上、費用の支払いを要求したりしているので注意が必要です。
 九州沖縄山口地区の相談も250件を超えました。福岡県弁護士会の消費者委員会、HP委員会所属の10名の弁護士にて被害実態の調査を継続しています。
 この被害の広がりをふまえて、明日2007年1月28日(日曜日)、13時から15時、TKP博多シティーセンターにおいて説明会を実施します。
 近未来通信関係の出資をされてきた方々は2次被害に注意された上、全国各地の弁護団の相談窓口にまずは相談して下さい。

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2006.12.12

近未来通信弁護団

061213kinmirai 近未来通信に関する九州地区の相談は継続しています。既に九州地区の常設電話(092ー735ー1193 平日9:00~18:00)には、200件を超える相談が寄せられています。
 九州沖縄地区については、福岡県弁護士会の消費者委員会・HP委員会のメンバー10名で継続して相談にあたっています。今後も、東京(全国)弁護団(代表紀藤正樹弁護士)とともに被害回復に努める予定にしています。
 被害に合われた方はまずはご相談いただくとともに、内部情報の提供も受け付けております。

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2006.12.04

「近未来通信」被害110番

 IP電話会社の近未来通信が問題になっています。近未来通信は、規制緩和を受けて新規参入した通信のベンチャー企業です。IP電話サービス事業を展開するとして投資家から多額の資金を集め、その額は200億円とも言われています。ところが近未来通信は、18年11月20日、都内の本社や子会社等を一斉に閉鎖。
061201kinmirai 同月22日には、東京都と中央都税事務所が、国税徴収法に基づき近未来通信本社を調査したほか、同月27日には総務省が、電話サービスの利用状況等の事業報告に不備があったとして立ち入り調査を実施しました。

 そして、ついに本日12月4日には、警視庁捜査2課が、同社本社や全国の支店など関係先約20か所を詐欺容疑で一斉捜索しました。

 福岡県弁護士会ホームページ委員会が、12月1日(金)に、「インターネット被害110番」無料電話相談(092-735-1193・古賀克重法律事務所)を実施したところ、相談総数43件の内、実に37件が近未来通信被害でした。
 そこで、同日、九州地区における近未来通信の被害実態調査を行うことを目的に、被害者弁護団を立ち上げました。
 その上で、無料電話相談窓口を常設(092-735-1193・古賀克重法律事務所)したところ、本日12月4日も、52件の相談が寄せられました。明日以降も、引き続き被害相談を受け付ける予定です。

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2006.12.01

中国残留孤児訴訟(神戸地裁速報)

0612011 18年12月1日、中国残留孤児訴訟神戸判決が下されました。昨年7月の大阪地裁判決は、原告らの請求を全面的に棄却していましたが、神戸地裁は、一連の残留孤児訴訟において、初めて国の責任を認めました。61人に対し、国に総額4億6860万円の支払いを命じる画期的な判決です。

 争点は、敗戦後、旧満州からの速やかな帰国促進義務や永住後の自立支援義務を怠った点など。これら国の早期帰国促進義務・自立援助義務を導く根拠としては、「先行行為に基づく条理上の作為義務」が主張されています(なお、先行行為に基づく作為義務については、中国人強制連行判決(東京地裁平成13年7月12日・判タ1067・119頁)などで認められています)。0612012jpg

 残留孤児らによる集団訴訟は、全国15地裁、1高裁で争われており、来年1月30日には東京地裁判決、4月25日には広島地裁判決も予定されています。なお、本日18時30分から神戸地裁判決報告集会が星陵会館(東京)にて開かれます。

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2006.11.26

進路講座

061125fusetsu 18年11月25日(土)は、朝から母校での講演のため久留米へ。中学3年生と高校1年生の生徒を対象にした「進路講座」です。私を含めた12名の卒業生が、1時間2こまの講義を行いました。自分の将来を考えてもらうという趣旨のようです。薬害肝炎訴訟や司法制度改革の話をしましたが、皆さん、熱心に聞き入ってくれました。私が中学生・高校生の時よりみんな真面目かな。
 驚いたことが2つ。1つは、男子校だった母校に女子生徒がいたこと。そういえば男女共学になるという噂は聞いていましたが、もう実現していました。圧倒的に多い男子生徒の中でなかなか大変だと思いますが、新しい歴史を築いて欲しいものです。
 1つは、いつもお世話になっているK弁護士の息子さんがいたこと。講義が終わった後、話をしましたが、笑顔の素敵な素直な子でした。いつの日か福岡で弁護士登録して、一緒に集団訴訟したりしているかもしれませんね。

061125kouen その後、福岡に戻り、福岡県保険医協会の第40回定期総会に出席。弁護士会に招待状が来ていたので、私が「弁護士会事務局長」の肩書きで出席したものです。
 実は、福岡の保険医協会・歯科保険医協会さんとは、以前から交流がありました。患者の権利オンブズマンでの講演を行っていただいたり、保険医協会の刊行誌である月刊保団連では、薬害肝炎問題も取り上げて頂いたこともあります。
 薬害肝炎九州訴訟の支援活動でいつもお世話になっている、歯科保険医協会のOさんほか面識のある方々とも歓談でき、貴重なひと時を過ごすことができました。こんな会合ばかりだと、弁護士会の会務も楽しいのですが・・・明日はまた毎週1回の執行部会議で一日つぶれます。

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2006.11.18

第2回 インターネット被害110番

051217_1440 福岡県弁護士会にホームページ委員会が立ち上がって丸5年。今では弁護士会HPもブログを導入し、職員や弁護士の手で日々更新が行われるなど隔世の感がある。
 昨年の年末は、ホームページ委員会主催で、インターネット被害110番を始めて実施した。北九州のプロバイダのビックウエーブについて多数の相談が寄せられ、一部は訴訟にまで発展するなど成果を見せた。
 そこで今年も福岡県弁護士会ホームページ委員会所属の5名前後の弁護士が、IT業者の協力も得ながら、被害110番を実施することになった。

  平成18年12月1日(金) 13時から16時まで
   相談電話番号 092-735-1193(古賀克重法律事務所)

 無料の電話相談が実施されるので、プロバイダとのトラブル、掲示板・ブログにおけるトラブル、インターネット・オークションによるトラブル等、インターネット関連の相談について、遠慮なく相談していただきたい。

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2006.11.16

福岡県弁護士会 ~教育基本法改悪に反対する会長声明~

 18年11月16日、福岡県弁護士会は、教育基本法の改悪に反対する会長声明を表明しました。

 福岡県弁護士会の意思決定機関である常議員会でも、細部にわたり議論を行いました。その中で多数を占めた意見は、「与党は国民に対して議論の場を設定していない」、「立法事実に対する調査が極めて不十分であって、お粗末である」というものです。
 法律家の中でも教育問題はホットな話題ですが、少なくとも現在の政府の、結果ありきの法改正には納得できません。

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2006.11.11

福岡県弁護士会 ~弁護士による法律相談~

 法テラスの開業効果でしょうか、他県からの電話相談がよくかかります。弁護士が事件処理する場合、必ず依頼者と面談します。面談して入念に事実関係を聞き取るとともに、面談によって信頼関係を醸成する必要があるからです。ですから「地元の弁護士さんに相談されるのが一番ですよ」と勧めるのですが、「地元の弁護士さんに相談する窓口がありません」とか「弁護士会の窓口は予約がなかなか入りません」と言われることも少なくありません。弁護士会によっては、法律相談窓口が貧弱で、市民のニーズにこたえきれていないのでしょう。

061111soudan この点、福岡県弁護士会は、県下に20箇所もの法律相談センターを開設しており、全国一の水準を誇ります。この法律相談センターは、弁護士の会費等により運営されています。3か月先まで担当弁護士を割り振り、ほぼ365日(年末年始、正月、ゴールデンウイーク除く)、事前予約制で、30分5250円の法律相談を受け付けています。
 福岡県弁護士会が初めて法律相談センターを立ち上げて既に20年経過しましたが、今年も、古賀市に玄界法律相談センターを開設するなど、福岡県民の皆さんへのリーガルサービスの拡充に努めています。

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2006.05.22

原爆症認定集団訴訟・全面勝訴

 原爆症認定集団訴訟で、大阪地裁は、原告9名の全面勝訴判決を言い渡しました。今日も厚生労働省前で、座り込みを敢行しています。


 原爆症認定集団訴訟・全面勝訴!!~厚生労働大臣は控訴しないで!~

 日時:5月22日 午前11時~15時 5月23日 午前11時~15時 場所:厚生労働省前
 全国から被爆者・弁護士・支援者らが集まります。

 2006年5月12日、大阪地裁は原爆症認定訴訟について、原告9名全員の全面勝訴判決を言い渡しました2003年に集団提訴した原爆症認定訴訟は、現在全国171名の原告がいます。しかし、既に原告のうち26名が亡くなっています。被爆者には時間がありません。これ以上被爆者を苦しめないでください。厚生労働大臣は控訴しないでください。皆さん、被爆者の最後のたたかいに力を貸してください。22日、23日に厚生労働省前に集まってください。お願いします。
 詳細は原爆症認定訴訟のホームページをご覧下さい。 ホームページブログ

 1945年8月、広島市及び長崎市に投下された原子爆弾という比類ない破壊兵器は、幾多の尊い生命を一瞬にして奪ったのみならず、たとい一命をとりとめた被爆者にも、生涯いやすことのできない傷跡と後遺症を残し、不安の中での生活をもたらしました。
 ところが、国・厚生労働省は、原爆被害の実態を軽視しつづけました。机上のシミュレーション「計算」や疫学調査による「確率」によって「基準」を作り上げ、被爆者を切り捨てました。しかし、社会全体を壊滅させ、人間が人間であることすら許さなかった原爆被害の実態を、「計算」や「確率」によって計ることができるのでしょうか。まったく血の通っていない、単に被爆者を切り捨てるための基準です。

 大阪地裁の判決は、原爆被害の実態を直視し、被爆者の苦しみを真摯に受け止めました。そして、厚労省が設定した「基準」の機械的適用を非難しました。これまでの厚労省の「基準」によれば認められるはずもなかった遠距離被爆者(爆心地から2km以遠)や入市被爆者について、被爆の実相に即した判断をして、原告らの疾病を原爆症として認めました。まさに、被爆者に生きる勇気と希望を与える判決でした。
 今回の判決は、全国13地裁171人の原告でたたかわれている原爆症認定集団訴訟に大きな影響を与えるものです。しかし、集団提訴をしてからすでに26名が亡くなっています。被爆者には時間がありません
 我々は、控訴断念と、早急な被爆者問題の解決を求めています。そして、原爆症認定行政の抜本的改革を行い、世界で唯一の被爆国として責任ある被爆者行政を実現することを目指しています。皆様のご支援が被爆者行政を動かす大きな原動力となります。

 原爆症認定集団訴訟全国支援ネット 原爆症認定集団訴訟近畿弁護団
 原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会


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2006.05.04

福岡県弁護士会 ~博多どんたくと弁護士~

060503dontaku 本日、5月3日から4日にかけて博多どんたく港祭りが開催されます。毎年200万人が参加するどんたく。毎年混雑を避けて家でのんびりするか旅行するのですが、今年はなんとパレードに参加することに。

 「裁判員制度を支える市民ネットワーク・福岡」が、「裁判員制度」の広報をかねてどんたくパレードに参加。それに福岡県弁護士会の有志が参加することになったものです。今年の弁護士会執行部は、会長・副会長・事務局長など役員全員が個人として参加しました。検察庁からも検察官有志が参加するほか、西南大学・九州大学等のロースクール生も一緒に練り歩きました。

 この博多どんたくは、800年前から続けられてきた「松ばやし」という博多の名物踊りを起源とします。明治維新後、新政府の指示で一時禁止されます。その後、「どんたく」と名称を変えて再開しました。ちなみに、どんたくとは、オランダ語で「休日」という意味。

 どんたくは、市民が思い思いの格好で、のんびり福岡市街を練り歩く、ただそれだけといえば、それだけなのですが、福岡では、5月の「どんたく」、7月の「山笠」の季節になると街がざわざわと浮き立ちます。Saibanin_symbol
 こんな祭り好きの気性が、当番弁護士制度、当番付添人制度、民事における福岡方式など次々と斬新なアイデアを提供し続けてきた福岡県弁護士会の根っこにあるのかもしれません。

 16時に冷泉公園前からスタート。思ったより風が強く寒い位でしたが、100人を超える仲間と楽しく歩いてきました。

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2006.04.30

家庭六法

060430_1006 1か月ほど、日本経済新聞の「家庭六法」というコーナーを担当しました。日曜の家庭欄で、弁護士が特定の法律問題について4~5回連載するコーナーです。
 福岡勤務時代から知己のあるI記者からの依頼で、二つ返事で受けたものの結構大変でした。1000字弱という短いものですが、ブログで書きなぐるのとは異なり(笑)テーマ選択に気を使うこと、1週間ごとに締め切りがくることなどです。締め切りを何度も超えて、I記者にはご迷惑をおかけしました。

 「医療問題」をテーマにして、カルテ開示、医療過誤における医療調査などを取り上げました。本日の日本経済新聞に「医療トラブル 患者の権利 問われる実践」として最後の記事を載せていますので、ご覧ください。

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2006.04.29

福岡県弁護士会 ~事務局長就任~

 本年度は、福岡県弁護士会の事務局長に就任し、役員の一員として弁護士会会務にかかわることになりました。薬害肝炎訴訟も全面解決の年を迎え、肝炎事務局長との兼任は最後まで悩みましたが、せっかくの機会ですのでお引き受けすることにした次第です。「2兎を追う者は3兎を得る(?)」くらいの気持ちでこの1年間をがんばりたいと思っています。

 3月から4月にかけてブログの更新がかなり滞ったのも事務局長兼任のせいでした。
 3月は、会務は前年度執行部との引継、肝炎は結審後110番で調査希望の方の調査(事務局で150名の方の病院に調査をかけました)。4月は、会務は、挨拶回り(150か所以上を回ります)・常議員会(弁護士会の意思決定機関です)の準備、肝炎は進行協議の準備。Fben0604

 4月が終わってようやくペースがつかめてきたところです。なかなか外側には伝わりにくい、「弁護士会」の活動について、このブログで「福岡県弁護士会日誌」としてレポートしていきます。

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2006.01.14

行政書士と非弁活動

 行政書士が交通事故の無料相談を行うとの報道を目にしました。相談窓口が広がることは一見すると消費者にプラスになりそうです。しかし大きな落とし穴があります。

Continue reading "行政書士と非弁活動"

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2005.11.18

裁判員のいる風景 ~どげんする?選ばれたら~

051118saiban
 最近の家族での話題。

 「裁判員に選ばれたら拒否できるの?」
 「普通はできん」
 「弁護士の妻ってのは理由にならないの?」
 「利害関係がなければ難しいね~」
 「犬の世話は誰がするの?」
 「・・・・」

 最近の世論調査でも裁判員制度の意義は認めながらも、選ばれたくないという人の数が圧倒的でした。どうして今、裁判員制度なのか、どこに意味があるのか、そんなことを一緒に考えてみませんか。
 福岡県弁護士会主催による裁判員制度シンポジウム、「知っとう?裁判員~どげんする?選ばれたら~」が、明日11月19日(土曜日)エルガーラホール中ホールにて、12時30分から17時まで開催されます。
 12時30分から中村雅俊監督主演の「裁判員制度」ビデオを上映した上、13時30分からシンポジウム。シンポでは、司法制度改革推進本部の委員を務めた共同通信社論説副委員長の土屋美明氏の基調報告に続いて、福岡地裁の裁判官、中学校教諭、弁護士、RKBプロデューサーなどによるパネルディスカッションが予定されています。

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2005.06.13

弁護士、週末の読書(2) ヴェネツィアの宿

 薬害肝炎の九州訴訟が始まって2年になる。月2~3回の定例弁護団会議、班会議、講演などが続くため、なかなか休みが取れない。裁判期日終了後の週末は、走り回る愛犬の相手をしつつ、ため込んでいた本に目を通す。

050613souri「日本の歴代総理大臣がわかる本」(岩見隆夫・三笠書房)
 岩見氏は毎日新聞の週末のコラムがおもしろい。批判一辺倒ではなく、過去のエピソードを織り交ぜてながら、政治家の裏側にコメントする。そんな岩見氏らしい、ふんだんにエピソードを盛り込んだ歴代総理大臣評。

050613souri2「総理の値打ち」(福田和也・文春文庫)
 ベストセラーになった「作家の値打ち」の総理版。岩見氏のそれと違うのは、100点満点で点数を付けていること。福田氏の論評は相変わらず手厳しいが、コンパクトにまとまっている。顔写真も付いており、イメージしやすい1冊。ちなみに山形有朋85点、田中角栄57点、小泉純一郎29点。

050613vene「ヴェネツィアの宿」(須賀敦子・文春文庫)
 「ミラノ 霧の風景」「コルシア書店の仲間たち」など海外を題材にした作品を数多く残し、98年に亡くなった須賀氏。少し長目の読みにくい文章を「さわやかさ」で読みにくく感じさせない独特の文章。「どれほどの時がすぎたのか。やがて劇場の横の路地を通る三々五々の人声が、石畳にひびく靴音といっしょに、開けたままの窓を通して部屋にはいってきた」「路地の音に耳を傾けるうちに、窓も5階の高さもすっと融けてしまって、私も音楽会帰りの群衆のひとりになって窓の下を歩いている」ヴェネツィアは訪問したことがあり大好きな街の一つだが、その風景が広がるような文章が続く。

050613tumawata「妻と私 幼年時代」(江藤淳・文春文庫)
 江藤氏といえば論客というイメージがあるが、ガン闘病を行う妻を必死に看取る実話を綴った「妻と私」は、妻への思いがヒシヒシと行間から伝わる異色の作品。石原慎太郎が追悼記で記した、自殺に至る経緯も痛ましい。
 

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2005.05.27

外国為替証拠金取引に注意

 外国為替証拠金取引の被害相談が増加中です。平成17年7月1日以降は、外国為替証拠金取引について、訪問・電話による勧誘が禁止されるとともに、断定的判断の提供が禁止されます。そのほかにも書面の交付義務や自己資本比率の規制などが設けられます。
 したがって7月1日以降は、外国為替証拠金取引から撤退する悪質業者も増加すると予想されますが、一方で、この時期をねらって、駆け込み的に強引な営業をする業者や弁護士から返還を求められても無視する業者が出てきています。

 「同じ高校の同窓です」「今が最後のチャンスです」「ちょっとだけでも話を聞いてください」「損はしませんから」こんな電話がかかってきたら、悪質業者と思ってください。

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2005.04.13

安部氏弁護人の不見識

 薬害エイズ事件で血友病患者へのHIV感染を助長したとされる元帝京大学副学長の安部英に対する刑事事件。一審は木を見て森を見ず、という論理で無罪判決を下していました。

 控訴審では「必ず結論が変わるはず」。そのような被害者の思いもむなしく、安部氏の健康状態を理由に、公判停止されていました。

 元厚生省官僚松村氏の一部無罪を受け、安部氏の弁護人が、安部氏にも無罪判決を言い渡すように申し立てていたことに対して、東京高裁は、「現時点で公判停止決定の取り消しも、(検察側の)控訴棄却の判決もしない」とする見解を発表しました。

 注意義務が発生する立場が違うわけですから当たり前。安部氏の弁護人の見識が疑われます。
 松村氏に対する判断と安部氏に対する判断が異なるのは、法律家からすると当たり前の結論であって、あえて今回の申立をする弁護人の意図に不快感を感じざるを得ません。

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2005.04.03

弁護士、週末の読書(1) 日経新聞は信用できるか

 弁護士登録以来、新聞5紙を取っている。薬害エイズのときには読売新聞、ハンセン病のときには毎日新聞と熊本日々新聞が秀逸だった。現在の薬害肝炎訴訟では西日本新聞が熱心に取材してくれている。論点によって各社の力の入れ方が異なるため、スクラップのために幅広く紙面を集めるためだ。
 各紙を比較するとそれぞれの特徴が際だちおもしろい。
日本経済新聞は信用できるか
「日本経済新聞は信用できるか」(東谷暁・PHP研究所)
 筆者が関わったアンケートによれば、「日経新聞はしばしば事実であるかのように映る観測記事を掲載する」との指摘が多かったという。そして、「日経新聞の不見識と無節操がなによりもよく現れたのはIT革命を巡る報道キャンペーンだった」とも指摘する。「観測記事」は新聞報道に内在するもので日経新聞に特有とは思わないが、確かにIT革命を巡る報道は社をあげてのものだった。ちょうど福岡県弁護士会がHP委員会を立ち上げたころだったが、日経新聞の紙面では寝ても覚めてもITという字が躍っていたのを記憶している。
 同様のキャンペーンを張ったのがバブル、土地神話だった。1999年から同紙で連載された「検証バブル犯意ない過ち」では、バブルを振り返り、当時バブルを拡大させた宮沢総理を厳しく批判しつつ、同紙の行った「バブルキャンペーン」への言及はない。
 その意味で筆者の指摘は正鵠を得ている。

 私に身近な分野で日経新聞がキャンペーンを打ったものに、司法制度改革がある。司法 経済は問う
「司法 経済は問う」(日本経済新聞社)
 弁護士の競争を即し、情報開示をもとめるという視点は率直におもしろかった。一方、この連載には決定的な視点が欠けていたのも事実だ。それは、一般の弁護士が公的活動を行い、国選弁護や扶助事件にかなりの労力を取られているという実態だ。「経済は問う」というより、「経済界の利益追求のために使い勝手のよい司法改革にしたい」という本音が垣間見られた。インタビューは企業サイドの弁護士のみであり、消費者サイドの弁護士の声は全く聞こえてこない。
 例えば、「変わるPL訴訟 流れは消費者優位」との項目では、「司法が消費者寄りに軸足を移し始めた今、企業も意識を変えていかないと、とんだ身勝手のツケが待っているかもしれない」と一見、企業サイドに警笛を鳴らす表現を用いながら、実は司法への警戒感をにじませている。今の司法が「消費者優位」などという客観的認識を持つ弁護士はいない。

 様々な立場の声を集めるのが新聞の特性でもあり、日経新聞だけに問題があるのではない。われわれ読者の方が、冷静に紙面の方向性や裏の意図を読みとる努力をしなければ、簡単にミスリードされる可能性もある。むしろ各報道の裏の意図を読み取る作業こそが、新聞読みの楽しさともいえる。

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2004.10.20

外国為替証拠金取引、弁護士会110番

 外国為替証拠金に関する被害110番を実施したところ、多数の相談が寄せられました。
 全体的な傾向は次のようなものです。

 「外貨預金のようなものだから、この低金利時代にはぜひとも利用してください。」
 「1日で利息1万くらいつきます」
 「アメリカ大統領選挙というこんな時期を逃すのは損ですよ。私に任せてください。」
 「300万円(証拠金)はすぐ戻りますから。戻った後の利息だけでも預けて頂き、長いつきあいをしましょう。」

 このように、外国為替証拠金取引の仕組みを説明しない、業者手数料・スワップ金利などの説明はもちろんしない、追証が必要になることも説明しない、虚偽の利益誘導をする、断定的な判断を提供する・・・こういったところが、外国為替証拠金を進める業者の手口です。

 しかも、決済を申し出ると、何かと理由をつけて引き延ばす、営業社員を訪問させる・・・決済拒否も特徴です。

 小泉内閣も、10月12日、電話や訪問に基づく勧誘を禁止するなど、金融先物取引法の一部を改正する法案をこの臨時国会に提出しました。早ければ来年7月からの施行を目指しています。それにもかかわらず、この時期に至っても電話や訪問による勧誘を行っている業者は、確信犯ということがいえるでしょう。まず信用せずに、お近くの弁護士会にすぐに相談してください。

 最近は、「悪徳な業者が多いですから注意してください。うちは違いますから」という業者も増えています。
 良く言うのですが、「詐欺師ほど紳士的な人間はいません」。

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2004.09.07

対馬当番弁護士

 大型台風が九州に接近する中、昨日は、対馬へ当番弁護士として出動しました。対馬は釜山の夜景が間近に見えるなど、九州よりむしろ韓国の方が近い、そんな地理的関係から昔から防人(さきもり)の島。今も自衛隊が駐屯しています。90パーセントが山に囲まれ、人口はわずか4万人。

対馬の名所
 そもそも対馬は長崎県ですが、福岡空港から30分、長崎の大浦から40分ということから、福岡県弁護士会から当番弁護士に出動する仕組みになっています。

 福岡空港から朝7時の飛行機が飛んだのはいいですが、着陸する際、大揺れ。ジェットコースターに久しぶりに乗った気分。しかも山岳空港のため、着陸寸前にも風にあおられ、片足で着陸し、すさまじい衝撃を受けました。
 空港から車で30分かけて拘置所まで面会へ。特に争いもない事案で、被害弁償の方法や謝罪の方法などをアドバイスし、面会は30分ほどで終了。

対馬→長崎の上空 空港までとって返すと、なんと福岡までの飛行機が欠航!福岡まで2時間かかるフェリーも予定が未定のこと。気流の関係で、長崎空港までの飛行機が一便まだ飛べるということで、きゅうきょ長崎に飛ぶことにしました。39名乗りのプロペラ機は、当然のことながら大揺れ。

 プロペラ機内の子どもの絶叫が耳に残ったまま、長崎から福岡までは高速バスに飛び乗ります。台風の横殴りの雨を受けながら、高速道路を、ゆるゆる低速で走るバスの中に、客は私一人だけでした。
 何とか事務所にたどり着くと、午後14時。朝6時に事務所を出て既に8時間が経過していました。

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