ポニョの海、埋め立て差し止め
広島県福山市の鞆の浦(とものうら)の埋め立て架橋事業について、行政訴訟法に基づき知事の埋め立て免許差し止めを求めた訴訟で、広島地裁は10月1日、免許差し止めを命じました。鞆の浦は、映画「崖の上のポニョ」の舞台としても知られるほか、万葉集にもうたわれている景勝地です。
広島地裁は、「鞆の浦の景観は、文化的・歴史的価値を有し、国民の財産というべき公益であり、景観利益は法律上の保護に値する」と判断しました。
景観利益の法益保護性については、既に最高裁平成18年3月30日判決(判時1931号3頁)が、国立市の景観訴訟で認めていました。
ただ最高裁は、「都市の景観は、良好な風景として、人々の歴史的又は文化的環境を形作り、豊かな生活環境を構成する場合には、客観的価値を有する」と判断していたものです。
つまり、「景観利益」を「都市の景観」と明言しており、「都市以外の自然景観の近隣住民まで及び得る・・余地はないわけではないが、本判決が『人々の歴史的又は文化的環境を形作』ってきたと指摘していることから、ハードルは高いであろう」(大塚直「国立景観訴訟最高裁判決の意義と課題」(ジュリスト1323号77頁)とも指摘されていましたから、広島地裁判決は、より踏み込んだ判断といえるでしょう。
また、最高裁は、景観利益が709条に規定される「法律上保護される利益」に該当すると判断しただけで、それ以外の局面における景観利益について判断したものではなかったこと、景観利益侵害に基づく差し止めまで認められるかという問題については判断していなかったこと(最高裁調査官解説・法曹時報61巻3号252頁)からも、広島地裁判決は、最高裁判決をより進めたものといえます。
このような「まるで明治維新のような画期的な判決」(原告団長コメント)が出た背景には、行政訴訟法が改正されていたこともありますが、既に前政権下においても、国土交通相が「国民同意が必要」として認可せず手続きが事実上停止していたこと、政権交代により現政府が公共事業全体に慎重な姿勢を見せていることなども、裁判長の背中を押したのかもしれません。







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